2011年8月16日火曜日

シュガービーチ

 『シュガービーチ』、これ、大変に素晴しい。ビーチバレー部の漫画。ヒロインみなとが入部したビーチバレー部は、部員不足で廃部の危機にあった。とかいわれると、なんだかよくあるパターン、そんな風に思われますが、いや実際私もそう思ったんですが、でも読み進めていけば、なんだか違うぞ、この漫画の個性というものに気付けるのですね。なんといっても部長が可愛い。見た目に凛々しく、ともすればいい加減に流されていく部員たちに厳しく接する部長なのに、可愛いもの好き、なんだか寂しがりや? 言動のはしばしにこの人の正体にじみ出ていて、ああもう本当に可愛い人だな。気付けば、部長がヒロインだと思ってしまっていたくらいです。

でも、ヒロインはみなとなんです。というのは、1巻最後に収録されてエピソードを見ればわかるんですが、しかしそれにしても部長が可愛い。そして、みなとの幼なじみであるエミ、この子が可愛い。みなとのお隣さん。みなとと違い、しっかり者、すごくきちんとした子なんですけど、みなとのことがほっとけない。因果な子だなあ、みたいに思うんですけど、だからといっていいように使われてるみたいなところは皆無。ええ、この漫画の登場人物。部長やみなとをはじめ、5人が5人とも、みんな自分のやりたいことやってる。もちろん部活ものなので、さぼりたいの遊びたいのいいながらも、部長のもと、厳しく練習させられたりするんですけど、そうした状況においても皆の個性、押し出されてきて、面白いんですね。

面白いといえば、たまに出てくる部長の引き抜きを狙っているバレー部部長、北条とかもいいキャラクターしていて、ライバルなんだそうですが、どう見てもファンだよな。病弱お嬢様、なこと御付きのSPもいい味出してて、SPふたりは後になるほどによいな。そんな感じ。だんだんにキャラクター、それぞれの味が出てきて、そうそうそういえば、ちくらちゃん、不思議系というか、それでいて万能? みたいなキャラクターなんですけど、もっと目立ってもおかしくない、そんななのに、意外に目立ってないよね。それは、それだけキャラクターひとりひとりが立っている、負けていない、というか部長ひとり勝ち? ええ、ほんと、部長、いいキャラしてます。

もちろん、部長だけじゃないんですけどね。けど、どうしても部長に注目してしまう、そんな魅力のあるキャラクターです。あ、それと、もしみなとが男子だったらという妄想にひとりやられてしまってるエミ、彼女も見事だと思います。

あ、そうだ。中表紙のみなと。素晴しかった。ああ、この子、本当にヒロインなんだ! 心の底から思えた、そんなイラストでした。

  • 下村トモヒロ『シュガービーチ』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

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