2011年11月20日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2012年1月号

『まんがタイムきららMAX』2012年1月号、昨日の続きです。

『ふわふわ科学』、今回は燃焼、酸化がテーマですね。サツキの家で鍋をやろうというのですが、使い捨てカイロから錆び、酸化皮膜など、酸化によって発生する現象のいろいろが説明されます。火鉢に炭をおこしてスルメを焼く、その炭もまた酸素と反応しているのだというような話をポイントポイントに差し込みながら、基本は鍋をめぐるやりとり。あの、ナベ奉行とアク代官、チエはマチ娘というの、なんだろう、うまいですね、無闇に面白かったです。扉のね、鍋におさまった面々、ちょっとちんまく描かれてて、これが可愛かった。常にはない、そんな雰囲気がよかったです。

『ヒメとトノ』、最終回でした。って、おお、扉を見ればわかる、夫婦になって、お父さん、お母さんになったのか。娘の名前はコヒメ、ってことは御姫コヒメなのか? このヒメ、トノといった名前の面白さは子の世代にも受け継がれてるようで、そうか、央司でおうじくんなのか。しかし見事に大団円。ふたりの久々のデート、ドーナツ店でのトノのクセ、その理由など語られて、ええい、なんだ、ラブラブじゃないか。見事なハッピーエンド。ええ、とにかくしあわせの三人エンド。あの後ろ姿なんてね、ほんといいラストであったと思います。

『マンガ家暮らしのミソ』、ゲストです。高校生で漫画家の蔵志野みそ、彼女が主人公です。学校はマンガ部にて、友人白岸ないとを手伝いに原稿作業をしているっていうんですね。わいわいとうるさいないと。漫画のモデルは彼女、ないとであるのだそうです。で、みそ、授業中に寝る。原稿作業中に寝る、完成しても寝る。話を盛り上げるというよりも、ふたりの展開するでも発展するでもないやりとりに生じるおかしみを描こう、そんな感じみたいですね。今はふたりだけの登場人物。この先、続くとなれば、増えたりするのでしょうか。けれど、この雰囲気では増えたり発展したりではなく、ミニマルな、うちうちに向かう関係の漫画という感じがします。

お願い神サマ!』、最終回でした。柚梨子と実優の決意。それを告げようという段になって、告白じゃないかと誤解があったり、譲り合いがあったり、そうしたところはいつもどおりであったのですが、けど、違いましたね。あの、きっぱりとふたりが自分の思いを伝えた、その瞬間の描写。雪の落ちて立てた音が決然としたふたりの状況あらわして、その緊張の緩和される次の段。ほっとさせたところに、シリアスなふたりのやりとりが続く。素晴しい展開でした。それからラストにいたるまでは、むしろコミカルな描写が中心となって、けれどそこにはふたりの思い、これまで積み上げられたものが濃密。力いっぱいの画面にぐいぐい引き込まれました。ほんと、いいラストだった。これまでが語られて、今が語られて、そして未来が語られている。きっちりと終わりつつ、未来に開かれている。そんな感触が素晴しいです。

『忍パラサイト』も最終回。こちらはこちらでまた思い切りましたね。瑠璃の修行態度に問題ありと、里から警告が。ミッション、良いニオイのする乙女を連れて帰る、そいつをとっととやりとげろというんですね。で、瑠璃は破門を選ぶのか、と思ったら、なんてこった、反逆の狼煙があがりそうだよ。それで最後ですよ、まさか、俺たちの戦いはこれからだエンドを持ってくるとは思いもしませんでした。えええ! あえてこれを選んだというのですか。ちょっとびっくりして、面白かった。今度出る単行本には描き下ろしが、っていいますが、それって続き、というか、この後の顛末が描かれたりするのかな。だとしたら、ちょっと楽しみ。でなかったとしても、面白い描き下ろしが追加されたらいいなと思って期待しています。

  • 『まんがタイムきららMAX』第9巻第1号(2012年1月号)

引用

  • 田仲康二「ふわふわ科学」,『まんがタイムきららMAX』第9巻第1号(2012年1月号),118頁。

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