2011年12月19日月曜日

『まんがタイムきららMAX』2012年2月号

『まんがタイムきららMAX』2012年2月号、発売されました。表紙は『きんいろモザイク』。着物すがたのカレンとアリスなんですけど、これがまたどえらい可愛くて、美しいなあ。桜のあしらわれたアリスの着物、ちんまりとして可愛くて、かたやカレンは袴にブーツですね。手に扇子持ったりして、落語家みたい。元気さ感じさせる、素敵な対比ですよね。しかしふたりともに、ぱっと周囲をあかるくさせるような華やかさ、晴れやかさがあって、本当に素敵。最高です。

で、本編『きんいろモザイク』なんですけど、扉の三人、日本人組はちょっとビクトリアン? そんな格好していて、可愛いなあ。これ、背後に原稿用紙が散っていて、今回のテーマ「物語」を扉時点で提示しているんですね。漫画に影響されて眼帯したり、けど孫の手っていったいなんなんだ? そんなカレンからエピソードが開かれて、物語、創作のストーリーを考えてみようよって展開になるんですが、烏丸先生の想像がひどいぞ。だって、猫や兎ならともかく、狸って! いや、でも、けど、まあ、愛らしい。

今回の話は、忍がですね、いつもどことなく残念というか、そんな描かれかたしてしまう娘ですけれど、そんなしのの思わぬ才能が語られて、ああ、よかった、ちょっとおじさん安心した。この子、このまま大人になったら、どうやって暮らしていくのだろう。そんな心配、いやしてないけどさ、 — そんな心配が消えました。この子にも秀でたところがあり、そしてアリス、忍の友情の強さの確認されたかのようなラスト。振り返って笑う忍が素晴しい。やっぱりちょっと残念かも知れない子だけれども、でもすごくいい話でした。

『ご注文はうさぎですか?』、これ、また、もう、素晴しいな。扉にチノとココア。手にしているパズルのピース、ああ、ここでも今回のテーマが扉に提示されている。うまいですよね。イラストとしての魅力、ピースに見える紅茶、うさぎのシルエット、それも素敵なら、分割されたタイトルのロゴ。タイトルロゴをイラストの要素に取り込んで、しかも分割してしまうこの大胆さ。すごいよ、ほんと、これまでにも通常のロゴや日本語タイトルを使わなかったりしたことありましたけど、それでもしっかりタイトル、扉としての機能をはたしている。表現の工夫、まとめ方、見せ方の上手が、タイトルがきちんと表示されない不利を上回って機能しているんですね。これはイラスト、一枚絵で表現することの上手がゆえなんだろうな、そう思わされます。素晴しい。

でもって、本編もよくできてる。ぷくつーん、はいいとして、いや、もう、可愛いなあ、ってのもいいとして、勝手に組み立てられたジクソーパズルが発端ですね。よかれと思って、いらんことしてしまうココア。楽しみをとられてしまって、機嫌そこねてしまったチノ。ひとつの出来事から、こうしたキャラクターの個性を引き出して、しかもそれが突飛なものではなく、共感できる、ああわかるよその気持ち、読み手からしても近しく感じられるものであるというのがいいですね。続きの8000ピースの展開も最高で、急にネガティブになりだした…、これはあかん、千夜の突然かつ急激に落ち込むその意外さ、対して冷静な判断にとどまるシャロ、何度見ても笑ってしまう。機能してますよ。キャラクター性、それが見事にテーマにそいつつ、互いに働きかけながら、生き生きとしている。ほんと、見事だと思います。24、25ページをまたぐ2本の落ちの繰り返し、とても綺麗で、紆余曲折へてのチノとココアの仲直り、それも自然ですっと心にはいってくるかのようだった。最後には、なくしたピースが見付かって発端となった問題も解消するし、さらにまた同様の展開があると予感させるエピソードでしめて余韻を残す。ほんと、コメディとしての理想的パターンを描いたんじゃないかと思います。絵が綺麗で、登場人物が可愛くて、これだけキャラクター性をエピソードにそって展開して、話としてのふくらみもばっちり。構成も力強い。見事だと思います。

『LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす』は、合宿ですね。部活のイベントをしっかり盛り込んで、けど今回はまだ本番じゃない。本番は次回、なのでその前にちょっと息を抜きましょう、そんな回でした。こうしたイベントが丁寧に描かれるのは嬉しいなって思います。季節にそって進行するのも季節感感じさせていいんですが、ひとつひとつのエピソードに回数重ねて、いろいろ掘り下げてくれる。この漫画なら、椿の自分のまだ能力の足りていないこと、それにショックを受けて、焦って、そして今回は、そんな自分の途上であること、受け入れてるんですね。来年まで待ってください。決して納得できてるわけじゃないけど、でも焦ったり無茶したり、そんなことはなさそう。こういう気持ちの感じられるところが気にいっています。って、千社札とか、よくあるパターンを予想させて崩してくるところ。浅見さんがやたら可愛かったところ。陸上以外にも見どころたくさんでした。扉絵のくびれのない腰とか反則ですよね。

『うちのざしきわらしが』は、『きらら』からのゲストですか。あのみかんで作るわらとか、面白かった。しかし今回は、ゲスト回だからでしょうか、学とわら、ふたりの対話中心で、ぐうたらだらけてるふたり、そうした姿勢にダメージ受けてる学がいいですよね。それから、あのわらの、これやるから元気だすのじゃ〜、ちょっとじんとした。まあ全然持続しないんですけどさ。ふたりの年越しのほのぼの、ずいぶん打ち解けたというか、仲よくなってるところとか、これがいい。学の、わらにそばを用意してやったり、餅つきやってるの見つけて起こしてやったり、楽しませてやろうっていう気持ちが見える。いいお兄ちゃんじゃん。そんなふたりの育ってきた関係、しみじみとしていいなって思わされるんですよ。

  • 『まんがタイムきららMAX』第9巻第2号(2012年2月号)

引用

  • Koi「ご注文はうさぎですか?」,『まんがタイムきららMAX』第9巻第2号(2012年2月号),22頁。
  • てっけんとう「うちのざしきわらしが」,同前,60頁。

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