2011年1月31日月曜日

『月刊アフタヌーン』2011年3月号

 『月刊アフタヌーン』2011年3月号、発売されています。表紙は『爆音列島』、暴走族に所属する少年たちを描いた漫画なんですが、主人公でいいのかな? パクられてしまいまして、鑑別所にいくことになったのです。で、表紙。その少年、手錠かけられた両手をぐっと前に突き出して、くわえタバコ。いいですね、喧嘩売ってます。そのふてぶてしさ、結構いかしますね。

『ぼくらのよあけ』、新連載なんですが、宇宙ものというかSFでありますね。今から28年後、というか2010年起算だから27年後か。2038年の7月の日本を舞台にして、宇宙に興味を持っている少年ゆうまが主人公です。で、この時代にはオートボットという自律したロボットが家庭にいて、ゆうまのうちにいるのはナナコという女の子のロボット。家事の手伝いから、話し相手、遊び相手にもなってくれるというすぐれもの。で、このナナコを仲立ちとして地球外の知性とコンタクトするっていうんですね。皆で宇宙に出るのか!? なかなかに壮大なファンタジー。これ、なかなかに面白そうですよ。

無限の住人』、吐鉤群、追い詰められて、もうえらいことになってますね。逸刀流を逃がさないために、港に停泊している船という船、その乗員を片っ端から切り捨てさせるという、身柄の確認もせずに、ただ居合わせたというだけで切り殺されるっていうんですね。で、最後に、中国船か? 手応えあるやつらが出てきたと思ったら、そいつらも片付けられて、と、なんか様子が違うよ……? ええ、これまでの描写は、この人を際立たせるためだったというんですね。見開きで登場。乙橘槇絵! ですよ。ああ、これは次号、えらいことになる。吐鉤群とも激突するのか。ええ、ものすごいことになりそうです。

『アストライアの天秤 — プルシアンブルーの過ち』、裁判員裁判の様子を描く法廷もの、新作ですよ。今シリーズ、主役はヤメ検、っていうのですが、それだけでなく冤罪を扱ったものでもあるって感じです。優秀だったけれど、一度の失敗で検事を辞めることとなった西郷夏海が主人公。やる気がない、というか、法廷を怖れている? 冤罪を出してしまったという経験が、わだかまりとなって彼女の気持ちを重くしている。でも、半ば強引に法廷に立たされて、そしてスイッチが入るんですね。ちょっと強引な人でもある。けれど、敵もさるもの、自分を陥れた相手。その対決、復讐はむしろ重要ではないのだけれど、いずれそれも見せ場になっていくのでしょうね。しかし、それ以上に、ヒロインの立ち直りや、被疑者の隠している気持ちが開かれていく、そのプロセスに期待しています。

百舌谷さん逆上する』、酷いことになってますよ。とりあえず、千鶴が酷い。手段を選ばなくなってきて、竜田を探るだけでなく、例の会長を手先として、竜田百舌谷のハロウィンデートを妨害しようっていうんですね。その手先どもの駄目さがまた酷い……。けど、その妨害が効果的に竜田の株を上げるように働いて、これは面白いな。少し前には、番太郎の株があがるような、それこそ自分の身を犠牲にしても百舌谷さんを助けたい、支えたいんだという、献身の愛が描かれたものですが、今回はなにがあろうと俺が守ると、欠点さえも裏切りさえもすべて抱きかかえてやるよという、抱擁する愛が描かれるというんですね。まあ、多少勘違いした結果って風でもあるんですが、それで次回、竜田と番太郎が激突するの? しかも、いろいろ思惑を持って動いている人がいる状況で? これはちょっと面白そう。楽しみに待ちたく思いますよ。

2011年1月30日日曜日

『まんがタイムオリジナル』2011年3月号

『まんがタイムオリジナル』2011年3月号、先日の続きです。

『社長サマは無計画』、社長の無謀な仕入れ。海外で、ええと出張なのか? 視察なのか? それともただの個人旅行? たまたま食べたクッキーがおいしかったから、コンテナひとつ分ほど買ってみたという、その思い切り、無茶さが炸裂して、この顛末は面白かったです。会議を開いてなにをするかといったら、社長を説教。よっぽど信用がないようで、いや、でも、そりゃそうだろうなあ。結局、真琴の工夫、大和田さんの機転でなんとかなるんですが、それにしても危うい社長です。この社長の、こういう無茶さ。まさにタイトルにあるとおり。なかなかによかったです。

『文豪ちゃん』、第2回目。文豪を性別逆転させて小学生にしましたといった漫画です。前回は、どうなるのだろう、まだよくわからないなんていってましたが、今回の読んでみたら、ええ、面白かったですよ。ちゃんとといったものか、モデルとなった作家その人のキャラクター、それっぽさをうまいことアレンジして、漱石はラノベ、紫式部はtwitter、清少納言はBlogなどなど、それっぽくいろいろやってるのですね。しかし面白かったのは、漱石ですよ。病気がち。視力悪く、痔を患っていて、胃弱、運動不足って、いずれ大量に血を吐いたりすんじゃないかって予感がしますよ。あのストーキングしてるのは、石川啄木ちゃんでよかったのでしたっけ。前回のお茶漬けもそうでしたけど、なんか強烈にキャラづけされていて、すごくいい。けど、実際の啄木ってどういう人だったのか、いまいちわからないものだから、このキャラクター、妥当なのかどうなのか、ちっともわからないのが残念です。

『あかるい夫婦計画』、「妻のニュアンス」、面白かったです。誉めてるようで誉めていない、にこにこしながら怒っている。いえね、怒ってる時に丁寧な言葉づかいしたり、にこにこ笑ったりっていうの、いわゆる反動形成なんでしょうけど、あの、振り返った妻の背後に黒々と陰りが見える、その表現がうまいこと怒りを表現していて、目で見てわかる面白さでした。他に「妻のたくらみ」とか、にこにこしてる方が怖いっていう、そういう機微、面白いです。シンプルでわかりやすい、けど描かれてるのはシンプルばかりでない、その塩梅がとてもよいです。

  • 『まんがタイムオリジナル』第30巻第3号(2011年3月号)

2011年1月29日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年3月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年3月号、昨日の続きです。

『inote! — アイノテ!』は、ラブレター話であります。ななせの下駄箱にラブレターが入ってた。それを見て、当然女子からだと思ってるななせっていうのもすごいものがありますね。過去、どれほどに女子からのラブレターを貰い続けてきたというのか。ですが今回は、はじめての男子からのラブレター。それだけでも驚き、話が動き出そうものですが、よりによってカヤコに目撃、現認されてしまっている。口止めしても無理。ななせがおおいに悩んでいるというその最中、あちこちにいいふらしているっていうのね、むごいわ。しかし、放課後、ラブレターの男子と会っている最中にどしどし押し寄せてくる娘ども、めちゃくちゃ面白い。あの、ちえたちと喧嘩して、ななせのファンになった彼女もやってきて、竹刀装備って何事。その上、竹槍、バットか? さらにやってくるっていうのね。ほんと、面白かったです。

アクアリウム』、ゆうさんのりのり! ではアクアリウム喫茶がいいと思う人ー!! ものすごく可愛いな。でもね、望みかなわず。それでも元気に振る舞ってるゆうなんですが、ゲージが下がってるっていうの、わお、それゲージだったんだ! もう、ものすごく面白いです。しかし、気落ちしてるゆう、よしあきの誤解、そういうのも面白かったのですが、やっぱり生物部の呼び掛け、これに応えようとしてゲージ上げてからが面白い。クラスでは、クールでかっこいい、てなことにされてしまってるさおり、なんでもできるとか思われてるんだっけか、当然メイドとして矢面に立たされることになっていて、いやもう大変そうなんだけど、面白い。でもってアクアリウム喫茶に誘われる。すごくいいですね。ゆうの描かれ方、動きのある絵もいきいきとして、見ていてすごく気持ちいい。ええ、ものすごく面白い。そして、次回、アクアリウム喫茶に取り組もうという様子、それもきっと面白いに違いない、そんな風に思わせてくれる回でした。

『アヒルの多い雑貨店』、ホエホエのお姉さんの経営している雑貨店、いつも暇だっていうんですが、それが今日に限って大混雑。ホエホエひとりでてんてこ舞い。なので、急遽あひるとバンビも働くことになってという、ちょっとドタバタなお店切り盛り話。面白かったですよ。バンビが有能なのはいうまでもなく、けど適材適所で頑張ってるあひるもよいですね。子供からお姉ちゃんと呼ばれて嬉しそうにしてるところとか、あひる、バンビだけでなく、読んでる私もなんだか微笑ましいと感じて、ええ、ちょっとにぎやか、楽しい話でした。それで、あひる、バンビ、ホエホエも、お店で働くことになるみたいですね。これは楽しそう。働くことになるとは思ってなかったのだけど、これだと雑貨店にいるというの、自然ですものね。いや、あひるはカネトン目当てに毎日通ってたみたいですけど、だからバイトでなくても特段変ではないみたいなんですけどね。

『ねこのひたいであそぶ』、どんぐりの話でした。秋、どんぐり、焼いて食べよう! っていうんですね。灰汁抜きとかしなくていいんだ。椎の実が甘いの? こういういろいろを知ってる苗、ちょっとかっこいい。そして、それを実際にやってみようっていうみんな、この前向きさ、なんでも楽しんじゃおうっていう気持ちがすごくいいですよ。うきうきしてくるんですよね。自分もやってみたいなって思うんですよね。ほんと、すごく楽しそう。人生を楽しんでますよね、みんな。で、どんぐり、虫とかいるよなあ、と思ったら、おお、こんにちは。やっぱりちゃんとそういう話出てきて、水に漬けて虫食いをはじくんですね。でもって、炒って、食べて、こういうの、実際にやったらいい経験になるだろうな、そう思いましたよ。楽しい経験、それをちょいとお裾分けしてもらってる気分。いい漫画です。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第3号(2011年3月号)

引用

  • 博「アクアリウム」,『まんがタイムきららキャラット』第7巻第3号(2011年3月号),177頁。

2011年1月28日金曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年3月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年3月号、発売されました。表紙は『Aチャンネル』。スケート? かと思ったら、靴が普通ですね。凍り付いた池かなにかなのでしょうか、転んでしまってるユー子とトオルであります。ちょっと慌てているトオル、けどユー子はえらく楽しそうで、これ、ユー子がトオルを引き倒してしまったってことなのかな。仲のいいふたり。ええ、たしかに暖かであると感じます。

『ごきチャ』、ゲストです。って、おおう、ちょっと前に話題になったゴキブリ擬人化か。人間の友達を作りたいとの一心から、ゴキブリのいない北海道にやってきたゴキ娘。なんというのだろう、可愛く描いてある、思いの届かない、ちょい不憫な小娘が頑張るコメディといった風、そんなには悪くない、と思うのだけれど、なんというのだろう、ちょっと複雑です。いえね、なんか擬人化される前のそれをふと想起して、うう、むむむむ、ってなっちゃう瞬間があるんですね。私はわりとましな方なのですが、それでもあの虫は嫌いです。となったら、もう見るのも考えるのも嫌いって人には、このページはホッチキスどめしたいくらいなんじゃないかなって思って、いやほんと、どうなるのだろう。しかしあえてゴキブリを題材に選んだ作者、その発想はすごいと思います。それでまた、認めさせてるというのがすごいと思います。

『かためで!』は、実にいい味出してます。刀のある日常っていうのだけど、刀なくってもいいくらいに当たり前のものになっていて、で、はしばしに刀が出てくるんですね。こぎつねとKATANA刀くじ。双方、刀である必然性、意味がわからんのですが、それでもあえて刀というのが好きだったりします。で、刀の達人。ガンシューの刀版かと思ったら、太鼓かあ。で、さやか。筐体を真っ二つにしちゃいそうだな、なんて思ってたら、もうとっくの昔にやらかしてたみたいで、私はほんと、このさやかさんの太刀筋に惚れ込んでおります。もっとばっさばっさやっていただきたい所存にございます。

うらバン!』、驚きの展開でした。勧誘期間が過ぎてしまいました……。え、ええーっ! でも、ひとり女の子がやってきて、おお新入部員!? と思わせて違いましたってネタかと思ったら、やあ、よかった、ちゃんと新入部員でした。本内ほたるさん。皆で大歓迎するんですけど、名門といわれて隠れてしまうっていう、ああ、これはすごく面白い。ちゃんと前回から続いてるんですね。で、パート決めなのですが、ユーフォニウムとかホルンとかいってますけど、たしかにホルンとか中音域が埋まるとアンサンブルしやすくなるよね、って、ばりばりの金管バンドになりそうな話だったのですが、クラリネットの経験者とのこと。ああ、吹奏楽においてクラリネットは重要です。しかし、真面目でいい子。ほたるがこの部のことを名門という理由、それがすごくよかった。なんだか、こういう気持ちをもって音楽に向きあうっていうの、やっぱりいいことだと思うのです。

ひよぴよえにっき。』、はるがだんだんしっかりしてきているな、そう思っていたら、ああ、なんと、次回、グランドフィナーレ! ぎゃーっ! 私はグランドフィナーレって言葉が大嫌いなんだー! とはいえ、子供はどんどん大きくなります。それはもうあっという間といってもいいくらいに大きくなって、あんなにちーたんちーたんいってたはるも、寂しさ我慢できるようになってきたっていうんですね。ちょっとずつ、段々にちあきから離れていくはる。ああ、これは寂しいでしょう。でも、寂しかったり心配だったりしても、いろいろなこと、ものに出会う楽しみ、はるの可能性を思い、ぐっと耐えるちあき。ああ、いいお姉ちゃんだ。ほんと、いいお姉ちゃん。なんか、胸がきゅーとなりますね。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第3号(2011年3月号)

2011年1月27日木曜日

『まんがタイムオリジナル』2011年3月号

『まんがタイムオリジナル』2011年3月号、発売されました。2月目前とあって、ばっちりバレンタイン表紙です。中央には、ボウルにとけたチョコレート、ゴムベラつかって混ぜている山下さんがありまして、左肩にはチョコレート持ったらいかと竹田、左下には、おおう、この服がチョコレートとか、カナさんですね。そして、『恋は地獄車』、チョコレートの仏像だぁっ! いや、しかし、すごいインパクトだなこれ。穏やかな、いいお顔。ほんと、しびれるバレンタインチョコですよ。

『恋は地獄車』、今年も仏像でありますよ。ほんと、見事な恒例ネタになりました。けどさ、一木造りとか寄木造りとか、なにいってるかわからない。そもそも、チョコ仏像づくりに熟練して万里子さんはどうしようというんでしょうね。しかし、姉も不器用なら妹も同様。後藤さんにどうやってチョコレートを渡そうか。そのシミュレーション。小悪魔路線とか、もうどうにでもして! ってぐらいに強烈ですが、でも、あの人にはきっと通用しないんだろうなあ。また、千歳といえば高橋くん。いやあ、いかしますよ。受胎告知って。和風の万里子に対し、欧風の高橋といったところでしょうか。いやもう、まともでない人たちの恋愛模様。こういう恋愛がらみのイベント時期となれば、もう歯止めはないって感じで、最高です。

『ハコぺけ』、ついに本番ですね。子供のための演劇、浦島太郎をやるっていうんですが、微妙にちょっとずついろいろ駄目で、背景が駄目、酒飲んで駄目、緊張しすぎて駄目、声援に張り切りすぎて駄目。こうした駄目なところの見せ方、オーソドックスにきちんきちんとしていて、こういうの好きだなって思います。しかし、てんこさん、割を食いますね。一番真面目で、きっちりしたい。そういう人だからこそ被るのか、いいですよ。てんこさん、すごくいいですよ。

『チア☆リカ』、ゲストなのかな。チアリーダーになるべく育てられた娘、リカが主人公です。北飴リカだそうです。友達は南おこめ。リカは、母から聞かされたチアリー道なるものを信じていて、おこめちゃんはそれは嘘だと知っている。それでも、ちゃんとリカにつきあってあげるっていうのがいいですね。しかし、チア部は風前の灯。マネジャーの峰そうた、ミネソタか! と、リカ、おこめ。三人で再起をはかるっていうのですが、部員を増やしてという王道展開でいくのかと思ったら、どうも違うみたい。部室争奪、元チア部員と戦ったりするのか? ちょいと変な漫画です。けど、うまくしたらすごく面白くなりそう。そんな気もします。

『お茶の間クエスト』、いやあ、面白いですよ。バレンタインの話、というか遊の淡い恋の思い出。いや、驚いた。成績トップだからじゃない。学級委員長だったからでもない。恋愛してたからってわけでもない。もっと、もっとシンプルに、こんな切ない物語の描かれることがあろうとは、もっともっとおちゃらけて馬鹿馬鹿しいことばかりやる漫画かと思ってたから、がつんときましたね。無邪気だった遊。あの、クリアして、貸してもらっての繰り返しは実にコメディタッチなんだけれど、ゲームの楽しみに夢中になりながらも、恋する気持ちがある。そしてそれは叶わなかった。叶わなかったというのは切なくて、けれど彼のゲームを遊に託したっていう、それがなにか心に残るアクセントになってるんですね。ちょっといい話。でも切ない話。こんな回もあるのかと、ええ、とてもよかったです。

  • 『まんがタイムオリジナル』第30巻第3号(2011年3月号)

2011年1月26日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2011年3月号

『まんがタイムきららフォワード』2011年3月号、一昨日の続きです。

『はじおつ。』、ええ、こちらもはじめてのおつきあい。というか、それメインですよ。今回は、はじめての放課後デート、って、それ、ただ寄り道しながら帰るだけだろう。それもデートに勘定できるのか。ちょっとカルチャーショックでした。しかし、このどう見ても慣れてないふたり、その様子を見ていたら、一緒に下校でさえも一大イベントであるってのは間違いないなって思わされること必至です。相手の好みとか、まだよくわからない。だから情報収集かたがた、無難と思われるコースたどってみて、しかし不発というのが悲しいね。とはいうものの、まだお互いに全然知らない、それでも相手のことを思いやっているということはしっかり伝わって、ええ、あの傘のくだりです。劇中のふたりにとっても、読者である私にとっても、ふたりの気持ちがしっかり見える出来事。これは本当によかったです。

少女素数』、前回の読者モデルの話、その結果が出てきましたね。送られてきた雑誌。その写真にもの申すふたり。ああ、自分の一番可愛い角度とか、ばっちり把握しているのか。プレゼンテーションの技術。ふたりはプロだっていってますけど、いや実際、意気込みなどはそのとおりなのでしょうな。可愛いと思われたい、その努力工夫はすごいものがあるのだろう、なかなかにすさまじい話であります。そして、学校、友達との状況。あんずに気持ち揺らす敷島。その帰り道、ぱっクン、有美ちゃん、友達と出会って、話して、そしてすみれの表情、言葉にうかがえるもの。ああ、彼女彼らは今、恋を意識していく頃、にあるのでしょうか。あんず、すみれのふたりも、いつまでもお兄ちゃん専属ではあれない、変わりゆく、変わらないではおられない、そうした年代にいると意識させられます。一種危うくもあり、またそれが魅力であるのでしょう。

『異国少女とすみれの花束』、なにか動きが出てきているのでしょうか。すみれを探す真崎。写真、そしてすみれの日記。彼の思い出したことというのはなんなのか、彼とすみれの関係はいかなるものなのか。過去に出会っていた、真崎はすみれを探していた、ということなのでしょうか。真崎のいう、一緒に帰ろう、その帰る先というのは、彼のもともと暮らしていた現代の日本であるのか、もろもろわからないことは多く、それだけにこの決着、どうなるものか、気になります。しかし、終わりが見えてきたということなんでしょうね。

2011年1月25日火曜日

Cat, taken with GR DIGITAL

Spaghetti Aglio, Olio e PeperoncinoGR Blog、恒例のトラックバック企画、2011年最初のお題が発表されまして、それはなにかといいますと、「HAPPY」。おおおお、これは難しいな。抽象的ということもありますが、基本仕合せいっぱいでいきているわけではない私には、そうしたものは目にうつらんのです! というのもなんなので、こういうの仕合せなのかなと、写真をざっと眺めてピックアップして、トラックバック企画「HAPPY」に参加してみます。あ、そうそう。冒頭の写真は、うまくできて仕合せ、です。

2011年1月24日月曜日

『まんがタイムきららフォワード』2011年3月号

 『まんがタイムきららフォワード』2011年3月号、発売されました。表紙はバレンタ……、ええーっ! はねつきだよ。お正月だよ。晴着だよ! やられました。メリー、勇魚、由衣の三人。皆、顔に墨を塗られて、って、ええーっ! 由衣さんが真っ白だ。ってことは、メリーが勇魚に勝ち、由衣がメリーに勝ちってことなのか。しかし、ひげ描かれてまつ毛描かれて、それでも堂々としてるメリー、素敵です。やんちゃっぽさがナイスですね。しかし、由衣さん、めずらしく凛々しいなあ。

さて、今『フォワード』はアニメラッシュといってもいい状況でありますよ。『夢喰いメリー』がアニメ化されてる。そこに『魔法少女まどか☆マギカ』でしょう。アニメ先行で、その漫画が書き下ろしで3ヶ月連続で出るといいますね。そして『魔法少女かずみ☆マギカ』が今月から連載スタート。ちょっとしたフィーバー気分でありますね。

『魔法少女かずみ☆マギカ』。『まどか☆マギカ』のスピンオフというのですが、これはどれくらい『まどか☆マギカ』と関係があるのだろう。まったく同じ世界に起こっている事象と思っていいんだろうか。それとも、まったく違う、平行線のように交わることのない話であるのかな? それはわからないのだけれど、1話を読んでみた感じでは、アニメのそれとはちょいと違うという印象。ヒロインかずみが記憶を失っているということもあるのでしょう。この漫画における魔法少女というものがまだ謎のまま。戦う敵についても同様。アニメは得体の知れない存在だけど、漫画では人に寄生してる? わからないことだらけで、けどちょいと血腥い展開もあったりするかも知れない、そんな回想も一コマあって、この先どうなるのか、気になるのであります。

『夢喰いメリー』は、ちょっと静かな時間、メリーと勇魚の対話の風景、勇魚はメリーのことを知って、そのことにメリーちょっと不安を抱えていた? その表情、ちょっと寂しげで、だからその後のメリーと勇魚の対話、なにか安心できてよかったんですね。勇魚の夢路に向けられた気持ち、そしてメリーのユメジに対し感じているもの。メリーのわからないという、その言葉とはうらはら、わからないながらに語られる思い。このふたりの個性の違い、その向こうにある気持ちはどうなのだろう、なかなかに深く思わされるところのある、そんな情景でありました。

そして、吹奏楽部だ。かつてはトランペットやりたいなあ、といったら『ラピュタ』の影響か!? となったものですが、昨年には『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』、今年は『てっぱん』? そう思っていたら、そうかあ『メリー』であったかあ。まあ、冗談なんですけど、河原でトランペット、トロンボーンを一緒に吹いている絵、これ、すごくいいなって思いましたよ。この、一生懸命に吹いている菜桜からは、なにかを吹っ切ろうという気持ちがひしひしと感じられて、かたわらには寄り添うような由衣、なにか安心させられるのでした。次の動きは彼女らの側で起こるのでしょうね。夢を失っていく友人たち。核心に踏み込もうというかの菜桜さん。そしてエンギのこと。これは、次号で動くか? ぐーっと気持ちが高められていくのを感じます。

『7時間目の音符』、こっちも吹奏楽部だ! こちらはクラリネット。ああ、よかった。うちに一本あるから、買わずにすんだ。というのは冗談ですが、この漫画、ちょっと弱気というか、年上の彼女に強く出られない少年。彼女あずみが恥ずかしいというごとに、戸惑いがふくらんで、どうしたらいいかわからなくなるっていうのですね。はじめてのおつきあい、それだけにどうしたらいいか、強く出ていいのかどうなのかわからないっていう、そのちょっと弱気ぶくみの恋愛模様は、やきもきさせながらも、初々しくて、くすぐったくて、そしてちょっとまぶしいなんて思うのですね。彼氏も彼女も、クールに見える、けど全然そうじゃないっていうのが、なんだか可愛くっていいんですね。

2011年1月23日日曜日

『まんがタイムスペシャル』2011年3月号

『まんがタイムスペシャル』2011年3月号、昨日の続きです。

『少女カフェ』は、バレンタインデーの話。バレンタイン特別の衣装に着替えたみおとつくし、というのだけれど、メインはすっかり女子高生に持っていかれましたね。お父さんに一目惚れしたらしい。でもさ、みおの素直な表情、感想。ここの娘は、ふたりともビターでありますな。このお嬢さんの登場は、葉月さんを焦らすためなのか、と思ったら、どうもそういう風でもないみたい。お父さんひとりが鈍感で、みおもつくしも、葉月さんも、全然通じない恋心を前にやきもきしている、そんなところも面白い。というか、このお父さん、よく結婚できたもんだ。マチコさんがしっかりしてたんだろうなあ。しかし、お嬢さん、みのり、この人、今後も登場するんでしょうね。お父さんにいわれたように、お母さんとくるんでしょうか。お母さんは娘の恋を応援するのだろうか。なんか突拍子もない人が出てくるんじゃないか、なんて思ったりしますが、なかなかに面白そうな種がまかれたと思える回でありましたよ。

『早乙女寮別館ものがたり』、文化祭が続いています。保護者と称してやってきた寮の面々。松子は愛されているなあ。そんなこと思う冒頭に、クラスの皆からも好意もたれてることわかる展開が続いて実にいいですね。恋愛ごとに興味津々の皆、ちょっと悪ノリっぽいっていうのも面白い。そして、謎の人登場です。松子を探してやってきた、そのなんともいわれん自称で気付かれるっていう松子もすごいですね。けど、松子って偽名なの? それにこの人も微妙に正体を隠している? 人が悪いだけ? よくわからないのですが、とりあえず変わり者っぽいっていうことはわかります。なんか、面白そうですね。なにが飛び出すか、なにをしでかすか、すごく興味津々です。

『ポンチョ。』は少し昔の話。トメ吉がやってきた頃の話なんですが、すごいな、3年でこんなに育ったんだ。それこそ、ポンちゃんが生まれた頃にはすでにいました、みたいな風に思ってたのですが、いやびっくり。手のひらサイズの、小さな小さな猫だったっていうのですね。高校生のお姉ちゃん、ショートカットだったんだ。こういう髪型も可愛いな。対してポンちゃん、保育園児なんだけど、驚くほど今と違いがなく見えるっていうのがおかしかったです。そしてトメ吉。箸でご飯を食べる。ああ、なんかスペシャルなやつだったけど、最初からだったのか。いろいろと謎の多いっぽいトメ吉。けど、いい味のあるいかすやつです。ところで、カレシ、まったく出てこなかったなあ。

『だんつま』は、友達いないセレブ妻回でありました。ええっと、ユキさん。これが実質的に『スペシャル』における顔見せであったのですが、冒頭の友達いないセレブ妻という台詞、これ一発で説明されてしまうってのもすごいなと思います。いや、実際、その説明と今回あらわされた人となり、これで充分にユキさんは語られてるものなあ。というわけで、バレンタイン。誘われない、誘われたいユキさんが可愛くて、もうこの人は駄々っ子なのか? 失言多く、プライドも高く、けどなにか憎めない、そんな人であると思います。チョコレートを溶かして細工というのも、たいしたことやってないのですけど、それが楽しいというの、見ていてひしひし伝わります。仲がいい、だから楽しい、そんな感じがするんですね。

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第3号(2011年3月号)

2011年1月22日土曜日

『まんがタイムスペシャル』2011年3月号

『まんがタイムスペシャル』2011年3月号、発売されました。おおう、意欲的な表紙です。ピンク色の背景に浮かび上がるのは、真っ赤になってチョコレートを差し出すリコさんですよ。これは強烈。伝統の『タイム』系では見られない、といって流行の『きらら』系列誌ともちょっと違う。ほんと、思い切ったなって思います。思えば、数ヶ月前から『恋愛ラボ』が表紙となって、ちょっと従来の四コマ誌とは違った印象の表紙が新鮮でした。そのいわばひとつの境地が今月号表紙でありましょう。なかなかのインパクト、とても良好です。

『10秒リワインド』、ゲストです。10秒時間を戻すことのできる女の子が主人公。いやね、これが面白いんですよ。10秒戻せる、そのルールについて説明した前半。こういうことができますよ、それだけといえばそれだけなんですが、それでも充分に面白い。そして後半は10秒進めることのできる人が登場。そのふたりの邂逅。ちょっと理屈っぽいというか、より説明調であるのだけど、それでもやっぱり面白い。シンプルな能力だけに、いろいろ見せようがあるのかもな。けど、面白く見せるのは難しいよね。そんな感じ。ええ、うまくできてて、面白い漫画です。

笑って!外村さん』、バレンタインデーを目前に頑張る外村さん、であるのですが、相変らず力の入れどころがちょっとおかしいのが笑えます。外村さんって、基本的に際限を知らないんですよね。やるとなったら徹底的で、でちょっと方向が間違ってるの。その方向が違ってるっていうのは感想においてもそのようで、男だと思われていると勘違いしてへこんでるところ、ものすごく珍しい表情を見た気分。この表情も、なかなかにいいなって思いますよ。そして弟、冬馬。大人気。そして、最後の最後の話、その落ちのコマにはぐっとくるものがありました。ええ、外村さん、いい子です。

『シュガービーチ』、気にいっています。今回はバレンタイン。つまり、部活は関係ないんですが、まあ冬だもんね、水着はこの時期寒いでしょう。というわけで、バレンタイン。エミの妄想に出てくる男化みなと、最高ですよね。その照れてしまってるエミもすごくいい。今回はそんなエミの魅力がどかどか提示されて、照れるエミ、振り回されるエミ、そしてプレッシャーに気持ちが小さくなっていくエミ。素晴しいね。別に気にせず出しゃいいんだろうけど、そこでなんだか気にしてしまうのが、この人の個性で、可愛いところなんでしょうね。でも、一番可愛かったのは、最後の最後、あの落ちに出てくる台詞、しょうがないわねであったと思います。ほんと、この人、すごくいいです。眼鏡だからじゃないですよ?

『スーパーメイドちるみさん』は思わぬ展開ですよ。児童公園に呼び出されるメイドの面々。本部からの指令で、一日だけ主人の交換をするっていうんですね。取り乱すちふゆとか大好き。それから、失礼なちゆり、ちおりのふたり。いや、失礼なのはちふゆだけかも知れん。ちおりの場合は、どうしようもなく擁護できないって話だもんな。しかし、あの誰が誰にあたるか、そこでもいろいろ酷い発言飛び出して、特にちふゆがいかします。いいたい放題だなこの人。もう、最高です。で、肝心の取り替えっこ顛末は次号に続くということで、これはなかなかに楽しみな展開でありますよ。もう、がっちりやって欲しいところであります。

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第3号(2011年3月号)

2011年1月21日金曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年3月号

『まんがタイムきららMAX』2011年3月号、昨日の続きです。

『アキタランドゴシック』、ゲストです。角の生えた女の子、アキタ、このお嬢さんが主人公なのかな? どうもつののある人、ない人が共存している世界のようです。アサヒやコマチはつののない人。アキタはつののある人。で、角が虫歯になってしまったっていうんですね。つの磨きをおこたったかららしい。つの医者にいって、治療するらしい。けど、アキタは医者にいくのが嫌なんだそうだ。ああだこうだと抵抗して、先延ばししようとするかのようなアキタが可愛い、面白い。ほのぼのとした絵柄にちょっとシュールさが混じってる。悪くないと思います。こういうの好きです。

『ありすまじっく!』、ゲストです。声優ユニットを組んでいるふたりの話。ユニット組んでるだけでなく、同居もしてる柚花ととばりですが、このとばりには秘密があって、なんと男の子というのですね。女の子と勘違いされて、スカウト、デビュー。って、スカウトとかあるんか? というのは置いておくとして、家事が得意な男の子、反対に日曜大工が好きな女の子、柚花はとばりのこと気になってるみたいですね。ちょっと静かな雰囲気。しんみり系の片思いですね。

『スイムガールコンプレックス』、これ、いいですね。カラーがきれい。市の大会で頑張る水泳部の皆。200メートルメドレーリレー。内気な女の子と思ってた。そうしたらものすごいスタート、スピード感溢れる絵に、一気に気持ちは高まって、そして続くふたりも実力者。第一泳者に驚いてるうちに、第二泳者は往復泳ぎ切って、そしてバタフライ! これはいいわ。面白い。勢いが気持ちいいですよ。その勢いを引き継いで、泳ぎはじめるヒロインこもり。初心者、腹打ちからのスタートでありながら、気持ちはもう完全に本気で、なんとしても勝つんだというその意気込み、いや、ほんとに素晴しい。挫けそうになっても、思いもしない声援で復活。頑張れ、頑張れ、ページをめくる手に力の入るゲスト最終回。本格始動を前に、これだけ見せてくれるというの、ほんと、見事でした。そして、あの落ち、失格っていうの。簡単に達成感は与えないっていうのはとてもうまい。そして皆のモチベーションもぐっとあがる、こうしたところもすごくいい。ほんと、見事でした。

『湯ノ花高校温泉部』、ゲストです。ええと、温泉部、温泉部、って、あれは『ジャンボ』か! いや、ちょっと『おんせんぶ。』と勘違いしてしまってましたよ。

さて、こちらの温泉部は温泉に入るのを楽しむ、そんな部活であります。うん、温泉旅館を切り盛りしたりはしません。自宅に日本中の湯を引いている貴菜、はヒロインじゃない? 桜がメインヒロインなのかな。部員は4人、皆で風呂に入る。入湯の際には体を洗いましょう。そうでないと、レジオネラ菌に湯が汚染されたりするよという、なるほど説得力があります。おとなしい子、桜。ちょっとやんちゃな子、春希。変わり者のお金持ち貴菜、そして落ち着いた華さん。温泉についてのいろいろ、紹介しながら、女の子たちののんびりコミュニケーション。結構楽しく読めますよ。

『もっかい!』最終回。好きだったんですよ。漫画の雰囲気が好き。話の展開が好き。衛や遊も好きだったなあ。だから、終わるのは残念だけれど、この最終回、これまでふたりが関わってきた人たちが勢揃いって感じで、こういうの好きなのですね。そして、本編、遊にとっての衛、彼女が見ている彼女、本当に遊は衛のことが好きなんだなって、そして衛も遊のこと、ちゃんと見ているってわかる。いい最終回になったなあって思って、なんだかほっとした気分。嬉しさですかね、ええ、よい最終回でした。単行本は春に出ます。もう、心待ちですね。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第3号(2011年3月号)

2011年1月20日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年3月号

『まんがタイムきららMAX』2011年3月号、昨日の続きです。

お願い神サマ!』、なにしてるんだ、この子たちは。めずらしく居丈高な柚梨子さん。なにごとか! と思うけれど、なんて可愛らしいんだ! と思うのもまた事実。しかしそれはいいとして、なんでおでんの具なのか……。理想的お嬢様を体現すべく特訓してるふたり、めちゃくちゃ面白い。やればできる感じの柚梨子さんなのに、微妙にしくじってしまうという、そのつめの甘さ、もう少し頑張りましょう的なところが面白い。ええ、そうしたところが描かれることで、柚梨子さんの、実優の、そしてこの漫画の魅力が生じてくるんだろうなって実感させられる話でした。しかし、今回ははっちゃけた柚梨子さん、凛々しい柚梨子さん、エレガントな柚梨子さんに、突飛、笑顔、拗ねた顔、もう魅力満載って感じで、もちろん実優も素晴しいんですよ。ふたりのやりとり、最高でした。

『忍パラサイト』、どえらい面白かったな。今回は小梅について。とりあえず酷い目にあってる、さらに酷い目にあわされるのですが、その過程にあらわれるもろもろ。妙に満ち足りてる瑠璃とか、自分で自分になにか課してる小梅とか、そうしたところ面白く、そしてつまみ食いを忍法でなんとかした瑠璃、その顛末の酷いこと! めちゃくちゃ面白かったですよ。あの、味を完全再現しながら胃の中で戻るとか、これ忍者の技としては有用だろうなあ。潜入して、敵方の食事に細工することで、見事に戦闘不能ないし困難な状態に持ち込めるっていうんですから。しかし、ほんと、すごいんだか、すごくないんだか、わからん忍者の娘たち。いいですよ。

『ねったい!』、ゲストです。熱帯魚の漫画。ううむ、『アクアリウム』にちょいと被ったか。不利かも。熱帯魚を飼育する熱帯魚部もの。ちょっと変わった部活。部長はアロワナが好きで、ちょっと百合風味な展開期待させるキャラクターもいて、そしてドジっ子も。盛り込めるもの、いろいろ盛り込んでみましたって感じ。そこに、熱帯魚に関するいろいろを紹介しながら話を進め、キャラクターで面白みをつくる、って感じです。結構悪くないかも。うまく転がっていったら、そして熱帯魚ものという特性、それが発揮されたらなかなかにいいんじゃないか、そんな感じがします。

『開発少女』、ゲストです。平凡な日常を求める女の子、滝川日高、彼女がヒロイン。転校生の彼女が出会った、変わった娘。発明部の十勝。いろいろ発明品を作っているみたいなんだけど、この人の真価は発明ではないような気がする……。つぼなのか、なんなのか、人のやる気スイッチを押せるらしく、それでもって学園記録を樹立した陸上部の女の子、るもい、彼女は自分が改造されたと思い込むにいたった。ちょっとシュールな話といったらいいんでしょうか、ナンセンスのりの漫画。結構好きな感じであります。だから、うまく発展して欲しいなって思います。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第3号(2011年3月号)

2011年1月19日水曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年3月号

『まんがタイムきららMAX』2011年3月号、発売されました。3月号、2月を目前にして、表紙はバレンタインデー一色ですね。『かなめも』。かながボウルに融けたチョコレートを混ぜている。その笑みのほがらかさは、傍らに立つみかのちょっと思い悩むような沈んだ表情に対比を見せて、ほがらかな魅力、しめやかな魅力、双方をよりよく見せています。

『きんいろモザイク』、単行本が3月に出るぞ! やあ、これは嬉しいなあ。今回は学校祭にうかれるアリスからスタート。お祭り、とのことで、はっぴにはちまき。ああ、こうした姿も可愛いなあ。しかし、可愛いだけでないのがこの漫画、メイド喫茶を推す忍、対して甘味処を推すアリス。意味あるのかないのかわからない対立は面白く、そして和洋折衷に落ち着く。甘味処組、和の装束可愛いらしく、メイド組、ノリのいい忍、照れる綾、とてもいい。その綾がですよ、意外な落ち要因になっている。この人の性格、いろいろとあきらかになってきて、最近はそれが面白い。気にいっているのであります。

『くすりのマジョラム』は肩こりの話。妹ユキが肩こりしやすいというのだけど、なぜか!? いや、いうまでもないのですが……。さて、実は私も肩こりがひどい。いや、胸は大きくないです。あれだな、ラムのいう理由、筋肉発達してないというの、それだな。しかし、今回は非常にためになりました。走るといいというの、それを聞いてからは私も近場の移動は走るようにしたりして、実際ちょっとはましになってるのかなあ。で、ためになるこの漫画、ちょっと有用な情報、それがメインではなくて、それを展開の骨格にして、面白さで肉付けする。そのバランス、塩梅がうまいのだろうなと思わされて、ええ、とても面白かったです。

『LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす』、今回はシューズを買いにいく話。浅見さんが危ない。誤解して盛り上がった上に、なんか変な歌うたってるぞ。椿にさそわれて、どんだけ嬉しかったというのか。さて、浅見さんの期待は見事に打ち砕かれて、柘植ちゃんははじめて名前でたのだったっけか? シューズなど、陸上についてすごく詳しい人みたい。柘植ちゃんのシューズ解説は、これ、メーカー名を適当に違えてあるけど、全部実際の話だな。こういう、本当の話があれば、足のサイズをはかる謎の方法、これは漫画ならではのネタですよね、って確認しないといけないほど私は駄目なのか? ちょっと飛んだネタもありまして、いや、ほんと、面白いです。そして最後に部活の風景。LSD、120分も走るのか。私ならできるかなあ。1時間くらいならできるなあ。いやね、最近、ちょっと走るのに興味があるんです。この漫画の影響じゃあないと思うんだけどなあ。

『ご注文はうさぎですか?』、連載になったみたいです。それで、これ、面白い。今回は、ラテアート、三人三様の出来栄え。誉められてうかれるリゼ。ココアの描いたのに見事にやられるリゼ。シンプルなんだけど、それが面白いなと思います。でもって、チノの父、夜の部のマスター登場。やたらしぶいおっさんだな。で、うさぎのティッピーが父に託されるんですけど、なぬ、このうさぎは親父なのか!? ということは、チノの祖父なのか。驚かされる設定に、これはなんか含みがありそうだな、今後、なにかありそうだなと思ったりして、ちょっとこの先に描かれるだろうこと、いろいろ興味がわきますね。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第3号(2011年3月号)

2011年1月18日火曜日

『まんがタイムファミリー』2011年3月号

『まんがタイムファミリー』2011年3月号、昨日の続きです。

『ひよっこシスターの安息』。シスター雛形は、実にのび太さんタイプでありますね。ぐうたらとかいいたいんじゃないんです。あの、しなくてもいい約束をして、自分を窮地に追い込んでしまうっていうのがね、のび太っぽさを思わせるのです。風邪をひいたっぽいシスター雛形。全力で誤魔化す。けど、全然ごまかせてないってのが、この人らしくっていいですよね。人のよさがにじみでているというか、どこか抜けてて、それがなんだかほっとさせてくれる。でもって、いつぞやのラーメン屋、交流あるんですね。人好きのする人。そしてみぞれ鍋。ああ、いいですね。なにか暖かくってさ、それがいいですね。

『めがねのキミと博物館』。連載になりました。素晴しい。そして内容は、この作者らしいものといっちゃってよいのでしょうか、寄贈をうけた屏風、そこから抜け出してくる唐獅子。そいつがなんだか愛嬌ありまして、内藤のこと好きになっちゃったらしく、ついてまわって、花をプレゼントしたりして、ほんと愛嬌がある。しかしね、こういう不思議なできごと、この人たちの中では困ったことではあるけれど、不思議なこと、異常な事態とは認識されてないみたいで、こういう不思議を普通のことのようにしてしまう、その雰囲気がもう大好きです。なんともいえない味があります。

『教師諸君!!』、今月は、単行本が出るからでしょう、大プッシュ、二本立てであります。やあ、嬉しいな。1本目は生徒たちの進学に関する話。とはいうものの、笛田先生の生物愛が炸裂したり、あとは西名先生の大嘘。こういうのりは大好きです。そして2本目はバレンタインデー。けどあんまり色気、恋やら愛やらどうたらこうたらっていうのはなくて、けどそれが実にらしいと思います。しかし、なにかサプライズが欲しいという西名先生。捏造の伝説まで登場させる。しかも、それ、ただ思い付いただけじゃなく、どうやら噂の流布、実際試しているみたいっていうのが面白い。そして望んだサプライズ、そいつが得られた西名先生、驚く様が素敵。嬉しさをじっくり噛み締めている、そんな様子も素晴しい。いい話とはちょっと違うんだけど、でもなにか、人の喜んでいる姿というのは、じんわり嬉しさ伝わってくるものでありますね。

  • 『まんがタイムファミリー』第29巻第3号(2011年3月号)

2011年1月17日月曜日

『まんがタイムファミリー』2011年3月号

『まんがタイムファミリー』2011年3月号、発売されました。3月号です。けれど表紙はバレンタインデー。ハートのかたちしたチョコレートを差し出す『ぽちゃぽちゃ水泳部』カツ代を中心に、必勝の絵馬のかたちしたチョコレート? 持つ『教師諸君!!』西名先生、そして三人姉妹とおやじさん『うのはな3姉妹』のイラストが表紙を飾っています。ところで、この背景の模様、なんかよいですね。

『あとは若いふたりに』、ゲストです。少女漫画的展開に憧れる新人OL、若菜の物語。初出勤でいきなり遅刻って! というのも、少女漫画的に解釈すれば転校初日に遅刻遅刻! ってことなんでしょうね。しかし、夢見がちな女の子。少女漫画、それもちょっと古め、古典的な表現が好きだっていうのですが、しかしこのお嬢さんもかなりとばしてるけど、先輩も結構なものですよね。生かさず殺さずといった具合に、若菜の望むシチュエーション、そいつを匂わしている。いや、ほんと、いい感じの漫画です。ところどころに見られる、少女漫画オマージュといった感じの絵柄、これもよい味出してると思います。

『美大道!』、最終回です。ついに美大受験。彩の験担ぎ、なんでこの人はこうもいつもはずしてくるんだろう。そのはずしっぷり、私は大好きです。そして受験本番。ああ、こうやってモチーフを組み合わせて描けというの、どう組み合わせるかというのも採点のうちなんでしょうね。以前、美大で働いてた時ですけど、受験日になると課題に使ったかぼちゃがもらえたり、ポテトチップスがもらえたりと、面白かったなあ。いや、受験生にはそんなの面白がる余裕なんてないでしょうけど。と思ったら、楽しかったのか。この、受験で描く絵でさえも楽しいと思える、そうしたところなんてすごく訴えますね。そして最後のコマ。すごくよかった。しかも単行本では脱ぐらしい。すごく楽しみだ。いえね、最初はいろいろと残念だった彩が成長していく、そうした実感の得られる、よい漫画だったと思います。単行本で、あらためて最初から読める、それがすごく嬉しいのです。

『ひきよせ警察官』。順調にひきよせてますね。のんびり田舎のお巡りさんになるかと思ったら、甘かった。事件発生、即解決。方向音痴だったりするけれど、いく先々で活躍して、この奥田葵という人は、なんのかんのいって優秀なんですね。明るいヒロイン。元気でシンプル、わかりやすい。面白いです。タヌキを呼び寄せてしまってるっていうのも、変に面白くて、この漫画、よいですね。ちょっと好きになってしまいそうです。

  • 『まんがタイムファミリー』第29巻第3号(2011年3月号)

2011年1月16日日曜日

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 乙女ノ五重奏

 BDを買い、サントラも買った私は、当然ゲームも買っています。ええ、『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』であります。PSP用のゲームが出てまして、ちょっと興味を持っていたのですが、買ってなかった。けど、BDを買ってしまった今は、もうなにも怖くない。ということで、買っているんですね。そして、さっそく開始しています。とはいっても、ちょっとずつしかできないので、まだゲーム内時間において3日が過ぎたところってなものなんですが、なんとなくゲームのうまい進めかたがわかってきたかな、そんなところです。

このゲームは、いわゆるアドベンチャースタイルのゲームであります。主人公が誰と固定されているわけではないのが特徴でしょうか。第1121小隊の5人から誰かひとりを選んで、その彼女の送る一日を見る。その一日っていうのがイベントに相当し、進行次第で隊のメンバーとの友好度が上下する、また演奏力の上下もあったりするというのですね。

友好度と演奏力という二種類のパラメータが存在することで、ゲームの進め方、プレイヤーがなにを求めているかによって、全然違った展開が期待できるというのが味噌でしょうか。ナオミさんに依頼されているステージ、部隊の皆で演奏をするというのですが、皆の演奏力をあげて、よい演奏を目指そうというプレイがあれば、キャラクターのカップリングを完成させる、そのふたりのイベントを見ることに注力することも可能とのこと。さて、私はどちらを目指すのだろう、となったら、きっと演奏力だろうなあ。なんてったって、『卒業 Graduation』プレイさせても、結婚エンドなんて見たことない。みんな大学に進学していっちゃうぜ! というような、そう、人生に潤いの足りない人種でありますからして。

さて、このゲーム、私が興味を持ったのは、アニメで語られたストーリーの後日談だっていう話を聞いたからなのですね。まったくのサブストーリーないしはお祭り的に本筋とは関係しない話をやるというのなら、そんなにも興味を持たなかったかも知れない。けれど、どうも本編の続きというらしい。実際プレイしてみれば、第12話の後、第13話の前、みたいですね。一度隊を離れていたリオが復帰して、それからの話。けれど、なぜ離れていたかという理由は示されず、つまりアニメの結末のネタバレをしないように伏せられていたということでしょう。けれど、ちゃんとアニメの展開を受けているという話。さらには、ここでしか語られない設定みたいなものまであるとも聞いています。となれば、アニメを全部見た今、これを見ないという選択はありえなかった。ええ、遊ばないではおられない。すべてのルートを辿らずにはおられない。そんな気分であります。

とはいえ、まだゲームははじまったところ。実際、どういった展開になるかはこれからですね。どんなことが語られるのか、すごく楽しみ。とりあえず、現時点での新情報は、カナタの実家周辺には奈良漬が残っている、ってことくらいであります。

参考

BD(完全生産限定版)

DVD

DVD(完全生産限定版)

CD

漫画

  • Paradores原作,神馬耶樹作画『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』第1巻 (電撃コミックス) 東京:アスキー・メディアワークス,2010年。
  • 以下続刊

ゲーム

2011年1月15日土曜日

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト オリジナル・サウンドトラック

 やっとこさといってもいいでしょう。『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト オリジナル・サウンドトラック』を買いました。って、買ってなかったのかい!? と思われそうですが、いえね、音楽が非常に素晴しかったことから、このサントラは買わねばなるまい。そういう気持ちはずっとあったんです。でも買ってなかった。何度もチャンスはあったのに買わなかった。理由は簡単です。これを買うと、連鎖的にBlu-ray Discも買ってしまいそうだったから。同じ理由でもって、ゲームを買うのも我慢した。でも、BDを揃えてしまった今や、なにも怖いものはないのです。ゲームだって、サントラだって買えるのです。買えるのです!

かくして買ったのです。しかし、本当にいい曲ばかり。作者は大島ミチル。そういえば、『四畳半神話体系』の劇伴もこの人だった。どちらも見事な音楽。片や大きく世界の広がる様を感じさせる音楽。少し切なく、また祝祭的雰囲気も素晴しい。そんな音楽。そして片や、ちょっとユーモラスで、猥雑な、けれど人間臭さ感じさせる、そんな風合いがある。しかしね、ここぞという場面で音楽がしっかりと盛り上げていく、そうした力は双方に満ち満ちていて、私は心の根っこを掴まれたみたいになって、ただ音楽の向かっていく先に、導かれるままついていくしかない。ああ、素晴しいな、大島ミチル。本当に力のある作家であると思います。

『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』サントラを聴いてみて、楽しみにしてたのは « Servante du feu » ですよ。第1話、それから第12話、炎の乙女の伝説が語られる、その背後で流れていた歌です。フランス語の歌、爪弾かれる弦のさざめき、弓奏される弦の響き、そしてソプラノサクソフォン。鳴っている音のひとつひとつが美しく、重なりあいひとつの曲のかたちを成して美しい。このシーンには初見から心打ち抜かれて、歌詞を聴きとろうと何度も見返したけれど、根性、気合いが足りなくてそれは叶わなかった。けど、サントラ、ブックレットには歌詞が書かれてるから、その上、訳もついてくるから、いやもう、すごくありがたかった。そして、その詞に歌われている内容は、ああ、このアニメの伝えようとしているテーマ、まさにそれであったのだ。ええ、すごく嬉しく思ったのでした。そして、この内容は『光の旋律』にも重なっているんだって、それもまた素敵であるなと思ったのでした。

サントラの印象は、思ったよりもサックスが使われてたなというものでした。 « Au coin du feu » は劇中で使われていた時、ジャコットさんとお別れする回ですね、その時から、サックスが使われてるな、それもクラシカルなサックスが — 、気付いてたのですが、この他にはあまり印象になかったんですね。印象にあったといえば、トランペットはさすがにメイン、主役の楽器なのでおいておいて、そう、クラリネットでありますよ。この人は、クラリネット使いがうまい。曲名をあげると « Flânerie » ですね。BD/DVDのCMのBGMで、またBD/DVDのメニューのBGMにも使われた曲で、これ、一種『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』の世界における日常的なもの、それを表現してたのかな。タイトルを訳すと散歩とかぶらつくとか、そういう意味なんです。カナタが、そしてセーズにやってきた頃のリオも、迷路のような町を歩き回った、そんなことをいっていましたよね。迷いながら進んでいく。その時々に、いろいろなもの、人と出会っていく。そうしたこともまたこのアニメのテーマであったのでしょう。だとしたら、そうしたぶらぶらと歩いている様 « Flânerie » とは、このアニメのらしさ、それであるのかも知れませんね。

あ、そうそう。このCD、初回版にはステッカーがついてくる、っていうんですが、そんなに必死になってステッカー欲しがる必要もないかな、と思ってたのだけど、実際見てみれば、ああ、入手できてよかった。そんなこと思ってしまったりして、いえね、オープニング冒頭の祭の衣装着て立っている5人の全身のイラストなんですけど、こうして見るとすごくよかった。ああ、こうしたのもっと見たいな、そう思ったのですが、よく考えると、いかにも出てそうなファンブックの類い、出てないんですね。驚きました。それこそ、セーズの町の背景集とか、それだけでも欲しいんですが。あと、タケミカヅチ集が欲しい。

と、余談でした。でもって、欲しいといえばトランペット。それに加えてリュートがちょっと欲しい。いえね、このアニメの音楽、リュートが効果的に使われてて、その表現、雰囲気が素晴しいなって思ったんですね。いや、ほんと、素晴しいなって思ったのです。

参考

BD(完全生産限定版)

DVD

DVD(完全生産限定版)

CD

漫画

  • Paradores原作,神馬耶樹作画『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』第1巻 (電撃コミックス) 東京:アスキー・メディアワークス,2010年。
  • 以下続刊

ゲーム

2011年1月14日金曜日

ぼくラはミンナ生きテイル!

 Tivの新刊が出たというので、買ってまいりました。『ぼくラはミンナ生きテイル!』。前作は『アンニョン!』、韓国の女子高生の日常もの、その日本とは違うカルチャー、生活ぶりに、面白いなあと思って、もしかしたら海外の読者は日本の漫画を読んだ時に、こうしたカルチャーギャップ、こんな習慣があるのか! と驚いたり、面白がったりしてるのかも知れないななんて思って、すごく面白かったのでした。さて、『ぼくラはミンナ生きテイル!』。こちらは、日本の地方都市? 真森にやってきた田舎の子、大賀美心が出会う不思議な人たち。異類と共に暮らす様子を描いて面白い。ちょっとファンタジー。そして人情もの、であります。

しかし、タイトルが面白いですね。最後のテイルっていうの、尻尾ってことなのかな、って思ったら、ロゴ見るかぎり、やっぱりどうもそうみたいです。ええ、尻尾が関係しているんです。というのは、異類と呼ばれる人たちは、もとは動物。住処を失い、人として生きることを選んだものたちが異類と呼ばれているのですね。もとは猫だったり鳥だったりする人たち。見た目こそは人、まあちょっともとの動物のぽさを残したりしてるのですけど、その人たちが人間の生活に馴染むまで、異類生活管理局が見守る。っていうか、猫宮ミウのやり方を見てると、ルールを守れないものは去れ! って感じであるのですけどね。

ヒロイン美心は姉を探しに真森にやってきたのだけれど、ちょっとしたトラブルから、異類生活管理局の仕事を手伝うことになりまして、パートナーは猫宮ミウ。あの厳しい娘ですね。けど、管理局の上役はそんな彼女のやり方を問題に思っているようで、だから美心をあてがった? 人というものを知るために。とはいうけれど、この子、どんな田舎から出てきたのかわからんけれど、都会の常識、いや人としての常識といってもいいかも知れない、そいつがちょっと足りなかったりして、猫のミウとどっちがしっかりしてるんだかと思ってしまうんですけれど、そんな美心は情に厚くて、規則に違反してしまった異類をかばい、なんとかその人にとってよくなるようにと腐心する。ああ、いい子だなあって思うんですね。そして、ミウも内心そんな美心のこと、気にいってるらしく、そうした気持ちの見え隠れするところなんかもすごくよいと思っています。

けど、美心。この人、実はなにか秘密があったりしやせんの? とか思うところもあったりして、いやそれは考え過ぎかも知れない。けど、しかけが用意されてるんじゃないかなあ、なんて思ったりしてるんですね。と、そんなに先を予想してもしかたがない。まずは、今描かれてることを楽しみたい。素直な子も、ちょっと打ち解けにくい子も、みな実はすごくいい子だっていう、そういう世界の見方はとてもいい。ええ、とても楽しんで読みました。いい漫画です。

2011年1月13日木曜日

プラチナ・ジャズ — アニメ・スタンダード

 おとつい、いってましたね。13日にはビルボードライブ大阪で公演があったりします。そう、ラスマス・フェイバー氏率いるプラチナ・ジャズ・オーケストラが大阪にやってくる。アニメソングをジャズアレンジしたアルバムが人気を博した、というわけで、堂々の来日公演。曲の立場からしたら、凱旋って感じでありましょうか。先駆けて開催された東京公演の模様を伺いますと、かなりよいライブだったというじゃありませんか。といったわけで、いかずに後悔するなら、いって後悔する方がいい、の方針でもって、いくと決めたのでした。ええ、1st Stage、2nd Stage、その両方のチケットをとりました!

聴いてみて、感想。後悔なんかあるわけないじゃないですか。1st、開幕の『ハレ晴レユカイ』、これが実によかった。私は、アニメは見てないにもかかわらず、この歌はなぜか知っていて、あの曲のラストのちょっとマイナーにチェンジしたりするところ、チャーミングだなって思ってたのですけれど、それがプラチナ・ジャズのアレンジでは、タイトに、囁くように、軽いタッチでスイングしながら奏される。それがまたよいのですよ。実にキュートな曲なのです。

と、1曲ずつ書いてたら終わらないので、演奏された曲目を書き出してみましょう。

  1. ハレ晴レユカイ
  2. Skies Of Love
  3. Thanatos - If I Can't Be Yours -
  4. Genesis of Aquarion
  5. yume no tamago
  6. プレパレード
  7. ハッピー☆マテリアル
  8. 星間飛行
  9. そばかす
  10. 君をのせて
  11. 水の証
  12. オネアミスの翼 ~ メイン・テーマ
  13. GO! GO! MANIAC
  14. はじめてのチュウ
  15. 人生のメリーゴーランド
  16. HELLO, VIFAM

最後の2曲はアンコール。1曲のぞいて、すべてアルバムに収録されている曲であります。2曲目『Skies Of Love』から『yume no tamago』までは、エミリー・マクイーワンによる歌唱。結構ラフな感じに歌ってるんだけど、声量はあるし、表現力もすごい。加えて、マイクの使い方がうまいんでしょうね、オン、オフ取り混ぜて、表情の変化をつける、すごく効果的でありました。しかし、演奏がよい、歌がうまい、それは当然として、もとの歌もよくできてる。改めてそう思うのは、奏者、表現が変わることで、また違った表情が見えてくるから。しかしそうであっても、その曲が自身を見失うようなことはない。しっかりと、その曲そのものであり続けている。すごいな。すごいよね。いやほんと、しなやかで強靭な曲なんだなって思わされたのですよ。

『プレパレード』、『ハッピー☆マテリアル』、のりのりですごく楽しかった。手拍子を入れる。その、演奏に参加するかのような感覚は、静かに座って聴いてるのとはやっぱり違って、うきうきするんですね。そして、クライマックスは『GO! GO! MANIAC』から『はじめてのチュウ』。『GO! GO! MANIAC』は、あの特徴的なフレーズ、もっかい! のところですね、ホーンが大活躍、エッジがたってまるで飛び込んでくるみたい。かっこいいわあ、と、面白かったのは最後ですよ。あのエンディングのギミック、ほんと、面白かった。1stも面白かったんだけど、2ndはさらにノリノリで、いや悪ノリなのか? はじけんばかりのリズム! 最高でした。

『はじめてのチュウ』、ニクラス・ガブリエルソンの歌唱。この人も、本当にサービス精神にあふれた人だと思います。ステージの上から観客席にアピールアピールと思ってたら、2nd Stageではおりてきちゃったよ! 観客も大盛り上がり。ほんと、ダイナミックでスリリングで、CDではもうちょっと、あともうちょっとを求めてしまいがちですが、ライブともなると物足りないなんて思う気持ちなど無縁、見事に充足した最高の時間を過ごせましたよ。

引用

2011年1月12日水曜日

おしのびっつ!

 しのぶとくないは双子の兄妹。高校生に身をやつし、日々を修行に明け暮れる忍者の末裔であります。って、ちょっと嘘。兄貴、しのぶは忍者であることに誇りを持って、かなりのり気であるけれど、妹くないはむしろ忍者なんてやめたいと思っている模様。でも、そんなこといってるくないも、お母さんに厳しく育てられたためでしょうか、忍者の作法が身に染み付いてしまっていて、無意識に忍びの本性が出てしまう。今どきの娘の常識からかけ離れたくないの学生生活、そこに生じるおかしさがたまらないのですね。

しかし、この漫画の面白さは、しのぶとくないが忍者だから、というところにはないのです。もうひとつの要素、しのぶの妹好き、これが大きい。いえね、忍びの技術を駆使して、自分の利益を追求するわけですよ。妹くないは兄が好きという情報工作を行う。変装して入れ替わる。くないに言い寄る男を片っぱしから撃墜。いや、ほんとにもう酷い兄なんですが、最初のうちはやられっぱなしだったくないも、1巻中盤あたりからでしょうか、さすがこの子も忍者だけのことはある、逆襲に転じまして、ふたりが互いに入れ替わった時などは、お互いにちょこっとずつ陥れあう。あの攻防、本当に面白かった。全体にしのぶの方がやり手だけれど、妹に嫌われたくないという弱味があるから、さらには桂先輩という弱点ができたおかげで、くないにやりこめられることも増えてきて、このバランスの拮抗のためでしょう、一層に面白みは増したのでした。やっぱりやられっぱなしじゃつまらない。時に共闘し、時にしのぎを削りあう。そうした関係が面白いと思うのですね。

面白さは、くないの好きになった相手、寿先輩、彼もそうですね。どんくさくって、けれどくないにはそれがたまらない。お母さんもそうだったのだそうですよ。しのぶとくないの母、この人は忍者だけれど、父は普通のサラリーマンなのです。ほうっておけない、そんなタイプ。ひょんなことから一方的に知ることとなって、一目惚れした若き日のお母さん、あれもおかしかった。しかもお母さん、今もお父さんのこと大好きで、この人のこととなると常軌を逸する。いや、面白いですよ。そして、こうした性格はくないにも引き継がれていて、くないの恋、これ、一般的な娘のそれとは微妙に違ってる。それがいいんですね。アプローチが変、それ以前に常識がおかしいといった方がよいような。また、くないの恋路を邪魔すべくしのぶが絡んでくる。しのぶの妨害、それを出し抜こうとするくない。忍術体術その他もろもろ駆使した兄妹の抗争は、今日も楽しくにぎやかに花咲いて、勝者なし! いや、これがいいのです。ほんと、なんだかんだあっても痛み分け、仲良い兄妹であります。

  • 神堂あらし『おしのびっつ!』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

2011年1月11日火曜日

プラチナ・ジャズ — アニメ・スタンダード

 アニメの主題歌をカバーしたジャズアルバムが人気だって、ふとしたことから知りまして、Vol. 2が発売されるということから、twitter上でいろいろ情報が流れていたんですよね。それが広告みたいなのならおそらくは気にもとめなかったところでしょうが、宣伝とは違う、純粋な感想だったものだから印象に残って、しかも普段よく言葉を交わしていた人も熱く感想のべていたものだから、なんと、これは興味深いな。記憶に残ってしまったんですね。けれど、これだけだったら買わなかったと思う。じゃあ、なにが背を押したのか。『キグルミ惑星』ですよ。『はなまる幼稚園』のエンディング曲のひとつで、まるっきりプログレ。フルで聴いて度肝抜かれて、すげえな、これ。そんな曲が、今度はジャズアレンジだ! うそー、これは聴きたいなあ。ええ、『キグルミ惑星』にしてやられたのでした。

購入は、Vol. 1、Vol. 2を同時に。Vol. 1にも聴きたい曲があったのですよ。『ぼくの地球を守って』のエンディングテーマ曲『時の記憶』。これが素晴しい。ほんと、すごく素敵な歌。もう、これが楽しみで楽しみで、すごく期待して聴いて、そしてその出来は期待を裏切らない見事なものでありました。

ただ、問題がないでもないんですよね。実は私は、2000年くらいからアニメ『けいおん!』まで、まったくといっていいくらいにアニメを見ていなくて、だから知らない歌ばかりなんです。知ってるのあげた方がはやいよね。Vol. 1で知ってるといえるものは、かろうじて『ハレ晴れユカイ』、パチンコのCMで『Genesis of Aquarion』、『君をのせて』と『時の記憶』はばっちり、『炎のたからものは』は、知ってるかな? かも? という程度でしか知りません。Vol. 2では『はじめてのチュウ』、『そばかす』、『魂のルフラン』、『キグルミ惑星』、『愛・おぼえていますか』。『そばかす』はあきらかにアニメ無関係で覚えてる。当時、JUDY AND MARYは大人気で、あちこちで耳にした歌なんですよ。

とまあ、こんな具合にもとになった歌を知らないと、ちょっと悲しいことになります。いえ、音楽、演奏、アレンジ、どれも素晴しいんです。ただ、もとを知らないと、普通にいいジャズの演奏になってしまって、アニソンカバーアルバムというギミックを楽しめないんですね。

そんなわけで、最近はやってるというアニソン、これを特集する番組もあるでしょう。それを見て、聴いて、このアルバムからもとに遡るみたいなことしてたりしましてね、覚えるまでにはいたってないんですけど、ちょっとずつ知ってる歌を増やしているという次第です。

でも、残念ではあるんですよ。アニメの歌は、そのアニメの記憶とともにあることで、より一層魅力を増すみたいなところがあるでしょう。アニメの記憶、さらにはそのアニメに接していた時の記憶を、歌が呼び起こしてくれる。格別のものがありますよ。そうした記憶、歴史、物語が、新しい姿を得た音楽の魅力と合わさって、ちょっと特別な体験となる。こういうアニメカバーで人気が出るのは、こういった相乗の効果があるからなんだろうって思うのですね。音楽それだけでも魅力がある、演奏だって素晴しい。そこに思い出がのっかってくる。好きな曲、好きなアニメの歌が、こんな姿になって素敵だな。そういう思いがきっと音楽をきらきらと彩っているのだと思います。

どんな演奏なの? って思った人は、『はじめてのチュウ』が試聴できるので、一度聴いてみてください。ナイスですよ。

あ、そうそう。今日11日はビルボードライブ東京で、あさって13日にはビルボードライブ大阪で公演があったりします。実はいこうかどうか迷ってて、いや、これはほぼ確実に聴きにいきそうだ。そんな予感がしています。

2011年1月10日月曜日

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト

 ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』というアニメがありました。2010年1月にスタート。ちょうど一年前ですね。はじめて見た時の驚きは今も覚えてる。なにこれ、映画みたい! 絵がきれい。動きもいい。それに音楽がすごくいい。アニメノチカラ、最初のアニメでしたね。トランペットに憧れて、音楽を学べるからという理由で軍にはいった女の子、空深彼方が主人公。そのカナタが配属されたセーズの町、第1121小隊にて経験することごと。それは時にコメディタッチ、ほのぼのとした軍隊ものらしからぬ明るさがあったのですが、けれどその根底にはしっかりとしたテーマがあったな、そのように思っています。

けど、放送時にはいろいろ文句もいっていたんですね。丁寧に作られたアニメでした。実際、最後まで楽しみに見ていて、だからこそというべきでしょうか、ちょっとラストが弱かった、そんな風に思ったんです。最終回、復活した旧時代の兵器タケミカヅチで砦を脱出し、今にも戦いの始まろうという前線に降り立った第1121小隊の面々。我らがヘルベチア軍の停戦信号が吹き鳴らされ、続いてローマ軍の停戦信号。しかし止まらない両軍。そこでカナタのとった行動は!? これは予想していました。予想していただけに、もっともっと大げさに、それこそお涙頂戴といわれるほどの過剰演出で描いてくれたらよかったのに、そう思ったのでした。それこそ、両軍の兵士が立ち止まり、カナタの旋律に耳を傾けるどころではなく、合唱がはじまる、おっさんたち、おいおい泣きながら大合唱だよ! それくらいでもいいと思ったんですね。

けれど、割とすんなりとかたがついた。講和がなった! という報が飛び込んできたというのもありましたしね。そんなわけで、このラストは私にはちょっと物足りなく、さらにいえば、第10話にて描かれたリオとの別れのシーン、あんなに見事に別れを描いておきながら、リオさん、戻ってくるんだ! なんで!? やっぱり、ほのぼのと楽しい日常はこれからも続くのでした、じゃないといけないの!? なんて思ったりしたのでした。

別れはつらく、だからそうしたつらさ悲しさが消毒されてる方が好まれるってことなのかなあ。この感想は、昨年の夏、ちょうどお盆の時期に全話視聴した時にも感じて、ええ、お盆になるとこのアニメ見たくなるんですよ。ほら、あのフィリシアの過去の語られる回、まさにお盆の話ですから。とにかくほのぼの日常ものといわれやすい『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』にあって、強烈にシリアスを叩き込んでくれる回でした。けど、実はこのアニメ、そうしたシリアス、厳しさっていうのあちこちに描かれてるんですよ。戦災孤児の存在。みそっかすといわれ続けてきた主人公。この部隊にある人たち、あるいはセーズの町の人たちも、悲しかったりつらかったりする出来事を経験している。そうしたことが描かれていたからこそ、なんでラストに甘さを持ち込んだんだろう。疑問に思っていたんです。

けど、BDを買って理解しました。BDには7.5話「饗宴・砦ノ戦争」、そして第13話「空の音・夢ノ彼方」が収録されていて、第13話、これ見るとさっきいってたラストへの感想、それがまったく違ってくるのです。なぜリオは戻ってきたのだろう。なぜ戻ってくる必要があったのだろう。楽しい日々が恋しかったからか? それとも仲良い皆と離れがたかったからか? いや、どちらでもないってことがわかるんですね。見るまでは、ちょっとした後日談みたいなものだろうって思ってた。けれど、違った。これ、真実の意味で最終回だった。堂々のラスト。リオが戻ってきたのは、永遠に続く現在を予感させる仕掛けなどではなかった。むしろ、彼女らの現在は刻一刻と未来に向かって動いている。未来を見据えて、現在を懸命に生きようとしている彼女らの姿が描かれていたといってよいでしょうか。そして、これまでにも語られてきたこと。先輩と後輩、この世界の意味とはなにか、あるいは生きることの意味でしょうか、多様に提示されてきたテーマが見事にまとめられ、決着を見る、そうした回であったのですね。永遠の現在に留まろうなどという、後ろ向きの気持ちはここにはない。変化し、前に進むことを怖れない、見上げた空は大きく広がっている、そうした気持ちこそがいきいきとして、晴れやかなエンディングであったのです。

テレビの放送だけでこのアニメは評価しちゃいけないな、そうした感想を持ちつつ、けどこのラストが広く知られることのない、BD/DVDを購入したものだけの特権になってしまっているのは本当に惜しい、そう思わざるをえない出来でありました。本当に、これを見てよかった、見る機会を得られてよかった、そう思っています。

ところで、BD/DVD購入者の特権といえば、ええと、完全生産限定版に限るのですが、イベントの映像やソラヲトTVが収録されたDVDがついてきてまして、これ、イベントもなのですが、ソラヲトTV、ものすごく面白いね。金元寿子さんがトランペットを習ったり自衛隊に体験入隊してみたりという、番組広報映像なのですが、頑張る彼女を見てるとすごく力がはいるんです。第9回はこのDVDのみに収録なのですか? トランペットの最終回もあるのですが、あれも面白かった。というか、この人、上達がえらいことはやくない? 正直びっくりするくらいだったんですが、才能があるのか、先生がいいのか、仕事で必死だとやっぱり上達するのか、いずれにしてもすごいと思った。ああ、自分もトランペットはじめてみようかな、そんなこと思わされるほどだったのですよ。

参考

BD(完全生産限定版)

DVD

DVD(完全生産限定版)

CD

漫画

  • Paradores原作,神馬耶樹作画『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』第1巻 (電撃コミックス) 東京:アスキー・メディアワークス,2010年。
  • 以下続刊

ゲーム

2011年1月9日日曜日

『まんがタイムきらら』2011年2月号

『まんがタイムきらら』2011年2月号、昨日の続きです。

うぃずりず』、最終回でした。日本に帰ってきたリズ。セレブな生活を投げうってでも、望んだ生活がここにあるってわけですね。しかし、母と妹、一緒に戻ってきてたり、そして友人、お師匠様、リズを迎えにいった面々もいたり、その皆で囲む食卓。小さなちゃぶ台に大人数という、確かに無理があるといわれてはいるのだけれど、その身を寄せ合うかのような姿、これこそがリズの求める暮らしの風景なのかも知れませんね。そして学校でも大歓迎。おかえり、だけれど、改めてのウェルカム。その歓迎する皆の表情、歓迎される、受け入れられ、そして既に受け入れられているリズの表情。いい最終回でした。

『モテブ!』。ヨセルにウナジ、本当に失礼な男どもだな。今回は模擬デートをして、どちらがよいデート相手か評価してもらおうという話なんだけど、もともとの誘い方から失礼千万。でもこれでオーケーするマホ、なんていい人なんだろう。かくして、ウナジ、ヨセルとの模擬デートとあいなるわけですが、いやもうそれにしても酷い。あくまでも2次元が主体のウナジ。ゲームキャラが本命で、アニメキャラに浮気じゃないんだと詫びる。本当に駄目なやつなんだけど、ある種、一貫したポリシーが見てとれて、うーん、でもちょっと誉めるのは無理っぽい。そして、ヨセルも酷い。この人、幼なじみというだけあって、それなりにマホともコミュニケーションできてるんだけど、けど、やっぱり駄目。でもね、昔姉弟と間違えられたとかさ、いい感じに歴史を積み重ねてきてたりするんですよね。そういうところは、なんだかいいじゃん、なんて思えたりしたんですね。

境界線上のリンボ』、最終回でした。地上に降りたリンボ。そこで起こったこと。人とは違うヒトたち。また、人でありながら、同じ人に対して助ける手も差し延べようとしない人たち。災害の現場で、あまりにも利己的であったものたちに向けたフゥの言葉は、すごく力のあるものであったなあ。そう思ったのでした。目の前に助けを求めてるものがあれば、それがたとえ自分とは異なるものであっても、助けようという人たちのあること、それが救いと感じられました。この漫画はフィクションで、そもファンタジーとして描かれている情景であるのだけれど、それはそのまま現実を生きる自分自身を省みる、そうしたきっかけにもなりうるものだ、そんな感想を得たのですね。

かつて経験した大震災、私はフゥのようにあれたかなあ。あれなかったなあ。そう思う私は、もしまたこの漫画に描かれてるような不幸な災害が起こった時、遭遇した時に、フゥたちのようにあれるだろうか。そういった気持ちを持ちました。ええ、このようにありたいと思う、フゥはいつしかそうした人になっていたのですね。

『うん!』、ゲストです。運のよい人、悪い人、そして普通の人。加茂凶子、四葉希望、普並真中、名前がその運勢をあらわしてますね。しかし、運のいい人、普通の人は、それなりに問題なく日常を過ごしているのに、悪い人、加茂だけ酷い目にあうって感じです。でも、可哀そう! というより、ひとりだけキャラが立っておいしいな! そんな気もするから不思議なものです。しかし、加茂、フォローされてもフォローされても、不幸。失敗、しくじり、本人の要領の悪さみたいなのも大きいと感じるのだけど、その様子は確かにちょっと可哀そうで、でもさ、最後にうまく通じるフォローがあった。そこに感じる彼女のしあわせ。普段不運なだけに、たまに得られるしあわせを、この上ないものと感じたりしてるのかな。そんな表情には、ちょっと暖かな感情の流れ込むように感じました。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第2号(2011年2月号)

2011年1月8日土曜日

『まんがタイムきらら』2011年2月号

『まんがタイムきらら』2011年2月号、発売されました。今日は8日、本来9日発売のところが、日曜にあたるので1日前倒しになったというパターンです。表紙はといいますと、皆でピースサインです。掲載されている漫画のキャラクターたちが、ずらり、雛壇に並ぶがごとしにぎわい。ああ、お正月なんだね、そう思わせてくれる表紙であります。

『チェリーブロッサム!』、いよいよ合宿ですよ。園芸部で合宿。危ない妹もついてくる! いやね、しかし、いきなりぶたれてる大倉山先輩ってのがいかします。手形のつきかたから見るに、後ろからぶたれたな。この妹、先生に対しても狼藉働いて、いやもう素晴しい。やることも無茶なら、いうことも無茶です。そして綱島先輩(これまで、名前間違えちゃってたよ)、この人の脳筋ぶり! 極まってますね。しびれます。それに加えて箱根駅伝に出たらというつっこみ、これにもしびれました。いろいろ明らかになることありました。大倉山先輩、お金持ちのお嬢さん。綱島先輩もそうらしい。先生もわりと実入りがあるらしい。とか、もろもろ。それから、大倉山先輩、意外と純情! 可愛い人だと思います。

あ、一番笑ったところ、それはよい生地だな、でした。柄ですらないんだ!

『≒ — ニア・イコール』、面白かった。急遽、劇に出ることになった翔。しかも女装ときた! って、女装! いや、ちゃんと実績は作られてたんですけどね。それが大っぴらに大公開となりまして、実にエレガント。調子にのる茅尋もあれなら、急な変更にドギマギして、微妙におかしくなる椿姫と翔。さすが同一人物だな。でも、おかしくなるそのレベル、椿姫は翔を超えてるね。ほんと、このカオティックな感じ、ものすごく面白かったです。

『スマイル・スタイル』、面白かったです。今回は料理の話。本来なら自分達でしないといけないという食事の用意だけれど、寮長さんの料理が見事。この寮長さんの料理のせいか皆はあまり得意ではない模様なのですね。そして食事の風景、変に近しいふたりがいる。これが普通かと思って、真似してみれば、どえらい大変なことになるっていう、ええ、そういえば百合の百合っ子っていう誤解、しっかり仕込まれてましたよね。その仕込みがきれいに花開いて、すごく面白かった。でも、百合の行動を見るかぎり、決してそれは誤解じゃないだろう、そんな感じもするんですね。

『どらまちゅ』、新連載です。中学校の演劇部もの。凜はアイドル、夏樹は演劇部員。それはいいんですが、夏樹の妄想が微妙にあれで、そしていわゆる中二病的なものに弱いというんですね。台本は中二病的表現にあふれ、その台本書いたのは橘秋葉、中一だそうです。他に部長、まつり、そして妙に濃い先生がいて、あ、影の薄い石田くんもいるみたい。中二病的脚本に抵抗を示す凜に対し、一緒に演劇をしたいと思う夏樹。対して、夏樹と一緒にアイドルとしての活動をしたい、そう思っている凜。部活ものというより、このふたりの関係がメインに描かれそうです。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第2号(2011年2月号)

2011年1月7日金曜日

『まんがタイム』2011年2月号

『まんがタイム』2011年2月号、発売です。2月、節分でありますね。メインには、鬼の面つけて息子に豆で追われるおとぼけ課長。そのまわりには、『Welcome! つぼみ園』ことみ先生とあゆむちゃんなんだけれど、ことみ先生、どえらい下手でしびれます。『サクラ町さいず』信一朗は太巻きを食べて、『すいーとるーむ?』ゆかりさんは、ビキニで鬼のお姉さんだ! それぞれに違う節分のありかたが表現されて面白いです。

すいーとるーむ?』、会社で豆まき。って、そういう厄払いって、経営危機を占う兆候なの!? いきなる焦る永井くんが素敵。いつもと違うこと、突然やりだししたら、やっぱりいろいろ思うものなんでしょうね。ということで、これより以降はいつものペースであります。外からやってくる鬼。しかし、いつもならやられっぱなしのところが、今回はちゃんとやりかえしてるじゃありませんか。って、豆まいてるだけですけど。太巻きをつくり、豆まきをし、こういうゆとりがあるのはいいなと思える話です。そして、なぜ突然節分だったのか。その理由がよかったです。

『カフェねこコビ』、ネコカフェの漫画、新連載です。見た目に可愛くないコビ、不細工なのでブサ猫です。でも、見た目に不細工だからといって負けてない。愛想で素振りで客の心をつかもうと努力してる、そうした頑張りの報われるところ、報われないところ、それがなかなかによかったです。ライバルといっていいものか、見た目もよく愛想振り撒くのも得意なのがいれば、ただただ無心に可愛くあるだけというのもいて、そうした各猫のキャラクター、これからいろいろ出てくるのかな。こいついい! と思えるのが出てくると、ぐっと評価も上がりそう、そんな風に思います。

天子様が来る!』、念珍のあの手この手、この発想力にはおそれいるものがありますね。それこそ、この人は仏の道をあきらめて、実業に乗り出した方が絶対いいと思います。そして、この季節の風物詩となりました、荒れる成人式。その対策に地下闘技場をこしらえるという発想もあれなら、それを市の財源にするってのもびっくりで、ほんと、よくこんなの思い付くなと感心します。しかし、こういうのやったら、本当にどれくらいの収入になるのか。どこか、ちょいと実証実験してくださらんもんですかね。なんて思ってしまうアイデアでしたよ。

はこいり良品』は、大雪の商店街。しかし、こうした悪天候、客商売には響くでしょうね。で、店をしめて、食事にでもいこう、ケンジを誘おうという、それが罠。大雪の中、健気にもしおりさんに会いにくる青空さん。その彼がなにか大変な状況に陥ったと知らされて、しかしこれも罠。なんとかして、娘ふたりの恋愛を成就、というかでっちあげようとする爺さん、そして周囲の思惑がナイスであります。

  • 『まんがタイム』第31巻第2号(2011年2月号)

2011年1月6日木曜日

『まんがタウン』2011年2月号

『まんがタウン』2011年2月号、発売されました。表紙を見れば、おお、今月で『かりあげクン』が30周年なのだそうですよ。これだけ長く続いているということも驚きですが、その質を維持しているということ、それもすごいことだと思います。というわけで、平社員代表のかりあげ正太を中心に、お祝いする他の漫画のキャラクター。満面の笑顔に囲まれて、しれっといつもの調子のかりあげクンが実にらしいです。

冒頭には植田まさし氏のインタビュー記事があって、仕事場の写真、エアコンや電気を操作するための竿とか、なかなかにいかす写真もあって、面白かったです。漫画を描く道具も、改造万年筆という話で、たしかにこれだとインクが切れるまでかなり余裕ができるでしょう。細かいところで工夫があるんだな。アイデアの出し方についても、とにかく描いてみて発想するという、そういう話は大変面白かったです。しかし、新展開なし、新連載もないだろうという予想。けど、現状でも充分すぎる仕事量だよな。どうか末永く続けていただけたら、そう思いました。

そんな2人のMyホーム』は、ついに輝くんの彫刻が完成して、ああ、この人は大きな山を越えたんだな。娘を囲い込もうとした意固地さも消えた、これまで心のうちに抱えていたわだかまりも解けたのでしょう。それまでの作風から一歩抜け出したような彫刻を完成させて、その像を前にして目が離せなくなる皆の姿。きっとこうなるだろう、そう思っていた展開ではあったのだけれど、たとえそうなのだとしても、単行本などでこの流れを一度に読むとたまらんものがあるだろうな。そう思わされる展開でした。

ほほかベーカリー』、なんだか日本語の語感うんぬんの話が続いたので、今回はこういうのでいくのかなって思ったら大違い。おお、突発雪合戦でありますよ。店そっちのけで、ベーカリーさかい対うお七、3対3の大決戦! って、ふわちゃんはやお七につくんだ。いいですね。雪合戦はじまれば、ふわ対ホホカ、ほぼ一騎打ちといった様相を呈して、そして互いに旦那が的になるときました。ええ、面白かったです。そして、お風呂屋。ふわちゃんはそのままがいいのだと思います。

『飼っちょるハムスター』、今回はハトラの弟登場で、これ、面白かったなあ。エジプトの座敷童子らしい。いきなりのアルカイダ呼ばわりで笑っちゃったんだけど、飄々として、なんだか素直で、子供らしい可愛げも持ってる。なんか、ほのぼのするなあ。この漫画は、ハムスターもので、主人公も女子高生で、と、設定だけ見れば、なんだかほのぼのと和む、そんな風に感じるのだけど、実際読めば、そういった雰囲気にはなかなかならない漫画でした。まあ、それがいいんですけどさ。そこに風穴を開けたアルシノエくん。また登場を願いたいです。

『ママはパートマスター』、ゲストです。ヒロイン浮田夏季は母ひとり子ひとりの二人暮らし。そのお母さん、麻冬の有能であることったら。ふたつ名は素敵で無敵で完璧な麻冬さんですってよ。娘思いのいいお母さん。いろんなお店から頼りにされてる。ケーキからパンから、いろいろ貰って帰ってくる。ちょっと内気な娘さんと、元気なお母さんの対比も悪くない感じで、しかしほんと仲良し母娘。いい漫画と思いました。田中ナツ、この人の漫画は好きなので、連載にこぎつけると嬉しいなって思います。

  • 『まんがタウン』第12巻第2号(2011年2月号)

2011年1月5日水曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年2月号

『まんがタイムジャンボ』2011年2月号、昨日の続きです。

『輝け☆星の川高校自由形』、連載になったみたいですね。水泳部の漫画。姉双葉が大好きで、執拗にモーションをかける雷音から姉を守るために入部した藤田弟、翼が主人公です。しかし、前回に泳がないこと反省してたから、今回は泳ぐのかなって思ったら、やっぱり泳がないみたいで、っていうか、今回はプール掃除か。泳がなくても問題ないですね。はじめて見た時はぎょっと思ったペンギン顧問、すっかり馴染んでしまって、いい味出してますよね。結構気にいってるみたいで、あの掃除のしかた、それでドロドロになってるとかね、語呂というか見せ方のテンポもよくて、それで体洗ってあげてるふたりの表情も。大変よかったです。で、よかったというとやっぱり乙女で、ダダもれ、パンの耳のはいってるおでん。あの切ない表情にはほろりときそうでした。しかし、ちょっとあれな女の子ですけど、基本いい子、ほんと、なんだか嫌いになれない、そんな子だと思います。

『まんがめん』、ゲストです。漫画家、ストロベリー大福が主人公。って、なんとエロ漫画ものなのか。けど漫画を描くということに関しては、基本、どんなジャンルの人でも同じみたいで、締め切り前、修羅場でくじける。不規則な生活や運動不足に蝕まれる。ネットの感想でへこむ! しかし、これを立ち直らせようという時のやり方が独特。朗読でダメージはいるんだ。ガンバリおっぱいの語感面白く、またキャラクターもちんまくて可愛い。面白かったですよ。

ボクの社長サマ』、もう完全にあろひろし的展開になっていて、最高ですね。テロリストからの要求、のっけから笑ってしまって、ほんとやられましたよ。しかも、とことん誤解される犯人。けど、面白いのはまさしくこれからで、連絡先がホームページ。スローライフを送る人の、趣味のサイトぽく見えるのに、主な活動にさりげなくテロリズム。もう、最高。社長のもとに次々訪れる臼井、卯佐木、藍按常務。実にろくでもない連中で、こういう畳み掛ける見せ方も、実にのりがよくて素晴しかったです。

『ナイショのひめねこ倶楽部』、これ、結構気にいってるんですが、今回の初詣。花梨様に指摘されるまで、花梨様が神様ってこと忘れてました。そうでした、そうでした。しかし、花梨様が子供だからとかなんでしょうか。しめ縄を知らない、お餅も喜ばない。嬉しいのは断然わたあめっていう、そういうのが可愛いなって思うんですね。しかし花梨様、社の神様に呼ばれて、特別な話でもあるのだろうか、なんて予想されたのに、実際はもふられただけという。この花梨様の愛玩されてるっていうポジション、これがまたいいんだと思うんですね。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第2号(2011年2月号)

2011年1月4日火曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年2月号

『まんがタイムジャンボ』2011年2月号、とっくの昔に発売されています。ええと、昨年末の発売でありますね。ということで表紙ですが、はねつきしている『じょしもん』美々がメインでありますね。他には、かるたをしている『レーカン!』ヒロインふたり。雑煮を食べる『おねがい朝倉さん』朝倉さん。それから、これは告知カットですね。『輝け☆星の川高校自由形』、『半透明勤務薄井さん』、『ボクん家の隣の芝生が甘い理由』のヒロインが、ずらり、並んでいます。

『じょしもん』、今回は学校の裏山にてフィールドワーク。実に生物部らしい活動で、しかもいつもの不思議生物部というよりも、本来普通の生物部といった趣き。面白かったです。虫が好き、植物が好き、微生物が好き、それぞれの持ち味発揮しながらの山歩き。あの、動物の糞を見付けて観察、ペリット見付けてまた観察といったところ、本当にいい。最初はついていけなかった美々も、ちゃんと観察しようと頑張る。段々に興味を深めていって、それでやりすぎるところまで、自然観察ものとしての面白さに、ちゃんと漫画としての面白さをのっけて、実に楽しい、いい回でありました。

『天文むすめ』、こちらも部活独自の色が強めで、オリオン座の三つ星下の星雲、オリオン大星雲を観測しているところからスタートです。晴着での天体観測。ちょっと華やかで、いや、すばるはわりと地味かも。でも、この派手にしないところにこの人の性格が見えて、またその質素な感じ、それ自体もいいんですね。というわけで今回は、オリオン大星雲についての話から、しぶんぎ座流星群に展開していくのですが、このしぶんぎ座流星群って、私、知りませんでした。しぶんぎ座についての顛末なんかも語られる。そこにやたらと壮大な勘違いやら、宇宙的観点からの慰めがはいったりして、こういうのも面白かった。流星群にお願い、地球侵略というレティの思いもしない発言に驚くきららもなかなか。でも、流星群について説明しているすばる、この大いなるものを前にしているといったらいいでしょうか、表情、雰囲気、ぐっときたんですね。太陽の周囲をまわっている地球や彗星、流星からそうしたものを思っているっていう、まさに世界を広く見上げているすばる、これがぐっときたんですね。織姫の言葉にがっかりしつつも、でも織姫もすばるとは違う見方で空に目を向けている。いいですね。ほんと、いい話でありました。

『おんせんぶ。』、『ちょいのり。』猫間ことみつの新作です。高校に入学した鈴木まだか、どんな部活にはいろうかというのだけど、運動部にはついていけない、文化系でも迷惑ばかり。そんなまだかが入部したのは、温泉部。も、もしやそれは、部活で温泉旅館を切り盛りしたりするのか!? と思ったら、みんなで楽しく温泉に入る部活なのだそうです。ということは、この学校、温泉地にあるとかなのかな? ともあれ、まだ話は温泉部にまだかが入部したというところ。実際に展開していくのは、次回からです。

『半透明勤務薄井さん』、ゲストです。新社会人麻生紅、彼女の入った会社には薄く透ける人がいた。薄井ましろ、幽霊社員です。ええと、普通に働いてる。お茶いれ、コピーなど、雑用を受け持ってるみたいで、ほがらかな人、いや、幽霊です。死ぬ気で!! は素直に面白かった。というか、あの薄井さんが可愛い。この漫画、薄井さんになにか悲しい背景があるのかどうなのか、それはわからないけれど、ちょっとそうしたこと思わせるような風もあり、けれど基本的に楽しい会社でのコミュニケーション。麻生さんの会社に慣れていく、そうしたところもよければ、薄井さんのいきいきと働いている、そうしたところもよかった。面白かったです。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第2号(2011年2月号)

引用

  • 来瀬ナオ「半透明勤務薄井さん」,『まんがタイムジャンボ』第17巻第2号(2011年2月号),65頁。

2011年1月3日月曜日

おしおきっ!

 これはいわゆる百合というやつでしょう。『おしおきっ!』。なにをやっても平均的、平凡そのものといった女の子が、成績優秀スポーツ万能、まさしく文武両道の生徒会長のこと、好きになってしまった。ヒロイン、白藤湊。生徒会長は東雲紫苑。はたして湊の気持ちは紫苑に通ずるのか。あるいは、恋破れてしまうのか。ちょっとストーカー気味の湊が、紫苑にぐいぐい迫っていく、そんな展開を予想させた序盤。いや、しかし、これ、こんな展開するんだ! 驚きももはや懐かしい。ええ、まさにその序盤、のっけから驚かされた漫画であるのです。

いえね、東雲紫苑は眼鏡の生徒会長。彼女がえらいキャラづけされてましてね、ええ、タイトルの由来でありますよ。眼鏡をはずすことで、性格が豹変する。ちょっと気弱で優しい女の子だと思ってたのに、眼鏡がはずれると、高圧的なサディストに変身するというのだからすさまじい。びっくりしましたね。一体、どういう展開を志向しているというのか。湊に対していう、ふふっ良い鳴き声… [中略]これから犬として私に仕えなさい。素敵! しびれ……、じゃなくて、唖然としましたね。ほんと、しかもこれで湊がその申し出、いや、命令というべきか、受け入れてしまうというんです。ほんと、驚愕の序盤でありました。

しかし、この勢い、まだまだとまりません。生徒会副会長松葉桃花、会計若草ちとせ、ふたりともに調教済み。いや、ちとせはちょっと違うのか。より上級者である桃花、対してちとせはいたずらやら失敗が発覚して結果的におしおきされるというだけで、それを望んでいるわけではない。でも、なんやかんやでしょっちゅうおしおきされているから、それが好きなのかと思ってしまうほど。それに、おしおきが好きじゃないというだけで、ちとせもあんまりまともといえるような人ではないから、だって大抵の騒動はこの人をきっかけにして発生しているわけですし。

紫苑に憧れた湊がアプローチする、そんな始まり方をした漫画は、紫苑がご主人様、湊が犬という、アブノーマルな関係を内包する、ほのぼの学園ものとして展開していって、そして紫苑と湊、ふたりが姓ではなく名前で呼びあうようになって急展開します。これ、展開としては実際急転直下といっていいようなものだったのですが、湊に押されてどぎまぎする紫苑の様子など、展開を予想させる描写をもって充分に準備されていたものですから唐突とは感じさせず、むしろ、なんというのでしょう、やっとか! そう思えるようなところありまして、ええ、まったくもって望ましい決着であったのでした。しかも単行本ではその後のふたり、湊に主導される照れ屋の紫苑なんてのがどーんと読めたこと、これも実によかったのでした。

  • かぐらゆうき『おしおきっ!』(まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2010年。

引用

2011年1月2日日曜日

はる×どり

 『はる×どり』、穏やかな漫画でした。3年生に進級した白木はると八坂京子、そして住吉花子、彼女らの高校生活最後の一年を描くのですが、はる、京子は受験生、確かに受験間近ともなれば多少は悩んだり迷ったりもあるのだけれど、しかし驚くほどに穏やかで、この穏やかさの源泉は、あきらかにはるをはじめとする登場人物の性格であるでしょう。はる、とにかくのんびり、穏やかなお嬢さん。京子はしっかりしてるのだけど、やっぱりはるの友達だけあって、かりかりしたりするようなことまるでなし。はなはというと、アイドル志望、なんだか変に堂々と自信たっぷりで、見ていて気持ちいいくらい。こうした三人に、浮世離れした下級生、櫛田恵が加わって、それはそれはのんびり穏やかな空間ができあがるのであります。

でも、こうした彼女ら、ただなにごともなくのんびり暮らしているってんじゃなくてですね、皆がそれぞれに頑張っているとわかる、それだからこそよかったって思うのですね。京子はもともと成績がいいから、特段心配するようなこともなくって、けれどはるがその京子と同じ大学にいくなんていっちゃう。はる、授業中、寝てばっかりいる。絶対無理だろう、レベルが違いすぎるだろう。そういわれながらも、頑張る。やればできる、そんな子だけれど、奇跡のような伸び方はしない。だから、できることを、できるぶんだけ、ちょっとずつ、一歩一歩目標への距離を埋めようとする、そんなテンポで頑張っていくんですね。今日はもう終わり残りは明日、ではなくて、もうちょっとできそうな分を頑張る。予習して、基礎をやって、勉強会に出て、時には京ちゃんに頼ったりもして、でも自分でできることは自分でやろうとしてる。そんなはるは立派だな。そう思えるからこそ、時に居眠りしちゃったりしても、あーあ、でも頑張ってるもんな、暖かく見守ろう、そんな気分になってしまうんですね。

面白いのは花子なんだと思います。妙に自信たっぷり、無茶なこと、できそうにないようなことでもいかにもできそうにいっちゃう。だけど成績は悪い。進級が危ぶまれるほど!? そうした逆境を得意の歌とダンスでなんとかする、きっとアイドルになるんだなんていっちゃって、でも私、それただ夢を語ってるだけかと思ってたんです。現実逃避みたいに思ってたんですね。したらですよ、この子もやれること考えて、ちゃんと一歩一歩、目的に向かって進んでいたんです。いや、もう、頑張ってるなあ。それこそ表紙に見えるはると京子、前へ前へと歩いていこうとするその様子は、自分で決めた目標、夢に向かって進んでいこうと頑張る彼女らの姿勢、それを表しているんだろうなって、そんなこと思わされる内容を持つ漫画なのです。

春、桜の爛漫と咲く中を、ふたり、気取らず、伸びやかに歩いていく。それはほのぼのとして、愛らしく、希望というものを感じさせる。とてもよい表紙、そして彼女らの歩みのゆきついた先、そのすがすがしく晴れやかな気持ちといったら、なかなかにあるものではないと思えるほどのものでした。

  • 渡真仁『はる×どり』(まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2010年。

2011年1月1日土曜日

ラッキーストライク!

 単行本が出る日を心待ちにしていました。『ラッキーストライク!』。ボウリングの漫画です。ひょんなことからソフトボール部をやめることとなったレンが、友達のリンに誘われてボウリングの世界に身を投じる。それからのレンのボウリングに取り組む様子が実によいのですよ。レンを指導するのは、ボウリング部部長のタキ先輩。基本を重視した教え方は、本当によい教師であるなと感心するほどで、実際このとおりにやれば、自分もボウリングが上達するのではないかなと思わせるほどに説得力あるのです。なんせそれまで、ふーんボウリングかあ、自分には関係ないし、とか思っていた私が、なに! ボウリング! 見る見る! ってくらいに、ボウリングに興味を持つようになった。ボウリングについてちょっとでも見方がわかってくることで、面白さもわかるようになってきたみたいなのですね。けれど、ただボウリングがわかるというだけではない、そこにはちゃんとレンたち部員の個性が生きている。それもまた面白いと感じさせる、重要な要素であるのです。

しかし、タキ部長の厳しさ、これは本物です。ボウリング初心者のレン、彼女がちゃんとボウリングのゲームをしたのって、1巻時点では入部する前だけでありまして、つまり入部して以来、1ゲームもやっていません。そもそも、入部してすぐなんて、ボールすら持たせてもらってない。普通に練習しているリンやレイ先輩を見ながら、ボウリングシューズをはいて、スライドの練習ばかり。ボールを持っても、今度は延々ふりこの練習。一歩助走でやっと投げられると思ったら、ピンを狙っちゃいけないとくる。こんな具合に、とにかく基礎ばかりをやらされる。楽しくボウリングしながら、いろいろ覚えていきましょう、なんて雰囲気まるでなし。基礎、基礎、基礎のスポーツ志向ボウリングの世界が描かれているのですね。

でも、これが面白いというのだから、この漫画はすごいのです。タキ部長の指示は、理不尽に試練を課しているわけでなく、ましてや新入生をいじめてるわけでもない。ちゃんと理にかなってると思わせるに充分な説明があるものだから、なるほどそうかと納得もできれば、好感も持てるってわけです。でも、基礎ばっかりじゃ面白くない。はやく投げたい、マイボールが欲しい! そう思うレンの気持ちもわからんではないから、この子のじたばたする様子に、昔の自分思い起こすようにして共感したり、なんだか暖かい目で見守りたい気分になったりしちゃうんでしょうね。まあ、気持ちはわかるけど、ここは部長に従っとこうよ。そんな気分で見ているのですね。

どちらかというと、がつがつと先に進みたがるレン、やんちゃな女の子ですよね。この子がヒロインであるわけですが、他の部員はというと、おとなしくて素直で、けどボウリングとなればきりっとして、実際結構な実力者というリン。レンの以前からの友達でもありますね。先輩には、凛々しく厳しくボウリングの実力はかなりのもの、タキ部長がいて、この人は3年生。2年生の先輩はレイ先輩。クールで知的でボウリングもかなりの腕なのに、気の弱さで結果を出せない不遇の人。こういった個性がうまいこと関係しあうことで、より一層の面白みが生み出されて、こういうところも非常に素晴しい。

いい感じに、皆、自分に素直というか、正直というか、真っ直ぐで、そして時にちょっと辛辣なんですよ。特にレイレイがそうなんだけど、レンの様子を見て自分もがんばろうと思っている。けど、その反面、下手な人を見て安心してるとか、さらには、早くカベにぶつかればいいのに……数あわせ…。結構、いいたいこというようになってて、けど嫌な先輩かというと、そんなことはないんです。面倒見はいい。ちゃんと教えてくれる。惜しむことなく、情報を提供してくれる。いいライバルって感じなんでしょうか。屈託なく、いいたいことをいい、やりたいようにやってるレンにひっぱられて、だんだんちょっとずつ横着になってるというか、遠慮しなくなってるというか、いや、もう、これ実にいい感じ。プレッシャーに弱い、考えすぎてわからなくなり自滅する。そういった彼女の問題は、レンという奔放な後輩を得たことで解決に向かうんじゃないかな、そう思わせるようなところがあって、いや、ほんと、いい仲間であるなあ。そんな実感があるんです。

こうした感触は、リンにもタキ部長にももちろんあって、ちょっと怖い失敗をしてしまったレイをなぐさめるタキ部長には、厳しさの中に優しさを合わせ持っていること感じて、ほんといい先輩だなあって羨ましくなった。ときに思うようにいかずふてくされてしまうレンをなぐさめ、力づけるのはリンだものな。ほんと、レンはいい仲間にめぐまれてよかった。ええ、『ラッキーストライク!』がただ、読むとみるみるボウリングに詳しくなる漫画、ではないというのは、こうしたところにあるんです。レンはいい仲間、先輩に恵まれたね。厳しいながらも楽しい部活ものとして読むことができます。さらには、登場人物、みながそれぞれに背景を、問題を持って、動いていると感じられるところが素晴しい。レイレイは、気の弱さ、プレッシャーに負けてしまい実力を発揮できないという弱点がある。さらには、完全無欠と思っていたタキ部長、彼女にもなにかがありそうと思わせる描写があって、本当、これからどういう物語を見せてくれるのだろう、すごく期待がふくらむのですね。

そして、リンにまつわる物語。冒頭描き下ろしにて語られた彼女のこと。リンを勧誘した際のタキ部長の殺し文句、ぐっときました。ああ、私は、リンに関しては順風満帆と思っていた。けれど違ったのか。リンも乗り越えてきたものがあり、そしてきっとこれからもいろいろ乗り越えていくのだろう。そうした背景を感じて、ええ、一度に彼女のキャラクターも深まって、ほんと、この単行本、読んでよかった。読めてよかった。そう思ったのでした。

  • みそおでん『ラッキーストライク!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2010年。
  • 以下続刊

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