2011年5月31日火曜日

RICOH デジタルカメラ CX4

 先日、母がカメラを買いまして、初代母デジカメであるCaplio R4、これもまだちゃんと撮れるのですが、電池があまりもたなくなった、それに発売されて5年がたって、他の人の使ってるカメラに対しても見劣りするようになってきた。じゃあ、買っちゃおうか、ということで買ったのでした。買うとなったら、慣れてるRICOHがいいだろう。じゃあ、最新のCX5かな? そう思ったのですが、機能比較してみたところ、CX4に大きく違わない。追加された機能を見ても、母はきっと使わないだろうな。CX4でいいか、そんな風にして選ばれたのでした。

CX4が届いて、これが魅力的と感じたのは、なにを置いても電子水準器でした。画面の中程下寄りに出てくる、電子水準器。カメラの傾きを検知して、水平になると色の変化と音で教えてくれる、そんな機能なんですが、これ、実際使ってみると、自分がいかに普段傾けて撮ってるかっていうのがわかって、うわあ、すごい機能だな。やっぱり、これがあるとないとで違うよな、そう思わせてくれたのでした。というか、水準器のためにGR DIGITAL IIIだかIV(もうすぐ出そう?)だかを欲しくなる、というか、今かなり欲しくって、えらいこと困ってる。そんな感じなんですが、まいったな、いや、ほんとそう思うくらいに魅力的な機能です。

CX4は、最近のデジカメなので、いろんな機能があるわけですが、母がそれを全部使い込なすなんてことははなから考えてないわけで、というか、私にしても使い切るなんて無理なわけで、だから基本機能をしっかり覚えてもらおう。それでホワイトバランスと露出補正について先日説明して、とりあえずその両方、どういうことか、おぼろげながらでもわかったみたい。まだちゃんと使えるという感じではないのですが、光源の違いによって、ホワイトバランスを切り替えるという意識はしっかり身についたようで、先日の旅行の写真、ところどころ蛍光灯や白熱灯、そして晴天などが選ばれていて、ああよかった、そう思ったのでした。

というわけで、母の撮ってきた写真。場所はオランダ、ポルトガル、スペインです。

Haarlem, Holland

Portugal

Portugal

Seville, Spain

Madrid, Spain

ちゃんと撮ってこれるかなと心配していたのですが、これだけ撮れれば上出来でしょう。実際、私の普段撮ってるのよりも断然いいよな。いや、ほんと、ちょっと困りますね。いや、困る必要なんてないんですけど。

2011年5月30日月曜日

Morning Arch

 アニメ『Aチャンネル』、絶賛放送中でありますね。いや、ほんと、私の周辺で妙に評価が高くてですね、四コマアニメ化の理想形じゃないかなんて声も聞かれるほど。いや、ほんとほんと。で、私も毎週楽しみに見ているのですが、もちろん『Aチャンネル』に描かれるエピソード、彼女らの感情の動きややりとりの面白さ、それらが好きだっていうこともあるんですけどね、歌がね、いいんですよ。なんと、毎回ミュージックパートがあるんですよ。エピソードにそった歌が歌詞つきで流される、そんな演出にもうすっかりやられてしまって、ほんと、楽しみでしかたないんです。

歌といえば、オープニングテーマ、『Morning Arch』、これもまたいい曲で、すごく気にいっています。アップテンポで、すごくはつらつとしてる。また、オープニングのアニメーション、これもよくて、まさか『きららキャラット』がそのまま出てくるなんて! 『Aチャンネル』がどんなアニメであるか、説明することよりも、ビジュアルの面白さを優先していると感じられて、けれどこれが結果的に、『Aチャンネル』への興味を増さしめるように思うんですね。また、このオープニングもまた『Aチャンネル』であるな、そう思わせるところもある。ええ、第1回、はじめて見た時からすっかりまいってしまっています。

さて、『Morning Arch』を歌っているのは河野マリナ。第4回全日本アニソングランプリで優勝、なんだそうでして、これ、CDのCMで知ったんですが、そうかあ、すごいなあ。私はアニソンに限らず最近の歌手とかほとんどぜんぜん知らないから、なんの予備知識もなく新鮮な思いで、この歌を聴いたんです。けど、その新鮮さは、まさにこの人が持っていたものでもあったのか。そう思ったんですね。

これからまさに今日がはじまるという歌。そのはじまっていくという感触は、この河野マリナという人の持つ雰囲気、一生懸命頑張っている感じやまだ自分の色といえるようなものを確立させていない、そうしたところからも得られるようで、ええ、これからきっと広がっていく。そうした予感、伸びしろの感じられる歌になっているのですね。

この、未来の開かれているといった感覚。『Aチャンネル』というアニメにもよくマッチしてると感じられます。やっぱりこのアニメはオープニングから楽しい、やっぱり『Aチャンネル』のテーマ曲なんだなって思うのでした。

  • 黒田bb『Aチャンネル』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 黒田bb『Aチャンネル』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

BD

DVD

CD

2011年5月29日日曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年7月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年7月号、昨日の続きです。

と、最初に。今月号には付録がついてまして、『Aチャンネル』の着せ替えクリアファイルなんですけどね、最初クリアファイルがつくって聞いた時なんて、ええーっ、そんなのいらないよ、とか思ってたんです。けど、実際に手にしてみて、これはいいよ。これはよく出来てる、というか、これはちょっと嬉しい。これ、顔出し看板の要領なんですが、一番上に着ぐるみっぽいのがきて、下に制服、水着と層をなしてる。あのちょっと不愉快そうにしてる表情とかね、すごくいいですね。いやあ、これ、もうひとつ欲しい。けど、無闇に雑誌増やすのもなんだしなあ。いやもう、単体で売って欲しいですよ、これ。

うらバン!』は、ペア組んで個別に練習。普通はあまりないチューバとクラリネットという組み合わせは、それはそれで面白そうに思われて、普段遠くにいるパートだけで吹いてみると、これまで意識してこなかったものに気付けそうです。と思ったら、なんだい、背の順なんだ。しかしそれはそれで、ほたるが普段気付きにくいものを意識してみたり、あるいはつつじ先生のバイト事情が垣間見えたり。とまあ、あんまり演奏してる練習してるって感じじゃないんですけどね。けれど、それでも、今年が最後のコンクールとなるナツのこと。金賞なんて無理だと思っていた冬美が、そのことに気付かされて、頑張ろうと決意するところなど、よかったなって思うんですよ。あの、振り返るひとりの姿、あのコマが多くを語っていた、そう思うんですね。

『かためで!』は、あいかわらずおかしくて面白い。刀愛好会にみづき、さやかを誘おうとする、まの、こゆり。こゆりが一生懸命で、いろいろ工夫して興味ひこうとしてる、その頑張ってる風なのがいいですよ。口数少なく、刀大好き。で、みづきも自分と同じと思ってるんだけど、実はちょこっとすれちがったりしてるっていうのがらしくって、ちょこっちょこっと噛み合ったりはずしたりが繰り返されるのね、期待がはずれちゃうこゆりはちょっと不憫ですけど、そのうまくいかない、振り回されてる感じ、それが面白みになってると感じます。ところで、松の廊下ならぬ、学校の廊下では抜刀禁止っていうけど、どこででも抜刀はまずいよね。でも、そもそも刀を携行してるって点でぶっとんでるわけで、細かいとこ考えてもしょうがないっていうところ、それが味ですよ。

『読書びより。』、ゲストです。放課後、読書会をやっている女の子たちの話。トーンをあまり使わず、白と黒、きっぱりと塗り分けている、そんな画風が印象的。コントラストがはっきりとして、切り絵っぽくも感じられる。こういう絵は好きなんですよ。内容はといいますと、読書会だけあって、みんなで本を読む。けど、詩織こそは真面目に読もうとするのだけれど、詠子、麻耶はなんだか好みがあるようで、厚い本は嫌い? あるいは詠子、お色気重視? と、こうした三人に賞をとった一年生、皆森夜那が加わって、ええと、本名は守谷ななみ。きびしく書いた書評を読まれて、気にいられた模様です。なんだか人づきあいの苦手そうなななみ。ちょっと世間知らずでもあるようで、なんか悪い先輩にいろいろ影響されそうなのが面白そうです。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第7号(2011年7月号)

2011年5月28日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年7月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年7月号、発売されました。表紙は『Aチャンネル』、トオルとナギですね。なんだろう、色のつけかたがちょっといつもと違うっぽいのかな? 顔のあたりなど、なんだか少し淡く柔らかに感じられて、いや影とか含めたもろもろ、全体になんか違う感じ。なんだろう、わからないけど、きれいだなって思います。しかし、白がベースの背景に、小物やら、水玉、梅雨時だから雨粒なのかな? がちりばめられたかのような表紙です。ああ、この白にふたりが浮き出ているような感じ、それが違うと感じる理由なのか? ちょっと要素多めで、けどごちゃごちゃしてるという感じはしない。速いシャッター速度でもって、一瞬を切り取ったみたいな、そんな動きや元気が静けさに封じ込められた表紙であります。

でもって、表紙めくってすぐに飛び込んでくる、この青空を押し出してくる感覚、これがまたいいですよ。あえて人物いれてないんですね。広い青空、はみ出さんばかりの絶賛放送中の文字。これ、明らかに表紙との対比を狙ってると思うんだけど、背景の要素を減らした人物メインの次に、人物なしの背景のみページを持ってくる。中央から下部に向かって情報多め、文字と囲みの大きさ違えて遠近感じさせることで、特に強調せずとも見せたい情報にぐるり視線を誘導する表紙に対し、文字を平面的に配置しながら上方に黄色をさして目立たせている口絵。この強い黄色がために、一気に目が遠く、空の向こうにまで持っていかれる感じがします。

これ、いつぞやの『GA — 芸術科アートデザインクラス』のアニメ化告知する時の表紙を思い出させます。ちょっと懐かしい、けどあの時とはまた違う味ですね。しかし、私はデザインとかちゃんと学んだことない門外漢だけど、口絵の文字の配置って、セオリーをあえて外してるんだと思いますが、重心が上にきすぎてて、けど空がそれを支えてるなあ。これは、でっかいポスターとかで見てみたい、そんな風に思わせるデザインです。

『もこもこBOX』、これは本当に面白いなあ。サブタイトルに「たんけんラビカッチ!」とあるけど、探検してるのは下級生組、マメたちだよなあ。そんな感じ。でも、このちびっこたちが、めちゃくちゃ可愛いの。なんでもめずらしいものに興味津々で、いつもと違うしっぽにくっついていく。出された食べ物はなんでも食べずにはおられない。あの、鯉の時は普通にほのぼのと面白い、そう思っただけなんですけど、次のカメの時、これはめちゃくちゃ面白かった。最初の鯉の美味しくないがあったからこそなんだろうなあ。ええ、流れをつくってく、その構成がうまいんだと思います。しかし、なんでもない、鯉があもあもゆって、子供らがきゃあきゃあいう、あのシンプルな繰り返し、これももう面白くって、ほんと、この面白さはなんなんだろう。あの飛行機の絵などもね、ほんとすごく面白い。シンプルなんだけど、よく練られて、よく表現されてる、ってことなんでしょうね。

GA — 芸術科アートデザインクラス』は絵手紙の話。数年前からはやってますよね、っといって流しちゃうわけにはいかないくらい、しっかりと展開していく絵手紙のもろもろ。あの、描いたのが誰か、しっかり伝わってくる絵手紙の数々、個性が絵にもよく表現されて、面白いんです。しかし、これ、漫画としての面白さをしっかり展開させながら、絵手紙の魅力なんていうのもばっちり伝えて、がまんできませんでした。 あれはすごいですよ。漫画に落ちをつけながら、いけてる絵手紙になってるんですもの。そして海、パノラマ。今回は夏の空気が濃厚で、これからの季節、いよいよくるぞって予告するかのごとし。ほんと、人に、題材に、そして皆を取り巻く世界そのものに、魅力がいっぱいつまってる。そうした様、素敵であります。

『ウォーターガールズ』、いい感じに話が動いていると思います。最近、朝に泳いでいる人がいる。誰だ!? と思ったら、教育実習生。大学で水泳やってるっていうのは、部活なのかな? 最初、体育大学とかで専攻してるとかかと思ったのだけど、そういうわけでもないみたいですね。顧問代理に任命されて、けど顧問ってなにしたらいいのかという疑問が出るあたり、伝統的に顧問不在の部だったということか。最初はかたくなに距離を置いていた部員たちとも、だんだんに打ち解けていく。それで、今後も部に関わったりするのかな? そういう展開を希望しちゃうけれど、教育実習ってことは4年の夏前かな。てことはさすがに無理かなあ。でもちょっと期待してしまうんですね。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第7号(2011年7月号)

引用

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第7号(2011年7月号),3頁。
  • きゆづきさとこ「GA — 芸術科アートデザインクラス」,同前,79頁。

2011年5月27日金曜日

『まんがタイムオリジナル』2011年7月号

『まんがタイムオリジナル』2011年7月号、発売されました。表紙のテーマは、バンドなのかな? みなが楽器を手にしていて、山下ナースはストラト。で、その後ろにいる『ゲンセンカラン』のヒロイン、からん。いや、これはいいよ。ミュージックマン・スティングレイ。たすきがけした赤い着物に緑のベースがすごくマッチして、そしてジャンプ! すごくいいですよ。元気で、楽しそうで、はつらつとして魅力的。このカット、もっと大きいので見たいなあ。で、他にはリコーダー吹いてグリーンスネークカモンしてるらいかと、キーボード弾くマリア、ピアニカ吹くまる。そして、褌一丁で太鼓を叩く榊医師であります。

『ゲンセンカラン』、人気あるのかな? 2色で登場ですけれど、やんちゃな仲居、からんさん。こういう元気なキャラクターは好きなので、連載になってくれると嬉しく思います。しかし、面白い。あの男の子の遊びに付き合ってあげるくだりとか、あれ、前見えてるのか!? っていうのはどうでもいいとして、ああいうノリのいいところ。気取らないさっぱりしたところがすごくいいと思うんですね。で、からんが手本にせよといわれた綾さん。この人、美人でおしとやかで、そんな人だけど、まさかの空手有段者。いいですよ。綾もただただおしとやかな人気ものというわけではない。そして、からんもただがさつなわけでない。こういう両面があるところ、すごくよいと思います。あ、からんはすごくキュートな人だと思います。

『放課後KTK』、悪くないと思います。梅雨どきの風景。部員たちはあまりにインドアなために、雨だろうと晴れだろうと、なんら変わりがない。っていうのはいいとして、今回はマンガの回ですね。あの会報の流れ、続きはないのか、あれがえらい面白くって、たいていこういう漫画では、無茶な部があれば、それに批判的ないしは対立してる生徒会みたいになるのに、この漫画では会長も同じ穴のむじなだ! このとめる人がいないっていう感じ、 対立が対立にならないところ、それが気にいっています。

『花咲だより』、終わっちゃったんですね。にぎやかなお姉さん。ちょっとわがまま。なんのかんのいって、皆から好かれてるんだなっていう最終回。いやしかし、最後までやりたい放題のお姉ちゃん。やっぱり好きだなって思ったんですね。そして最後のコマ、お姉ちゃんと咲太の人形が寄り添ってるのね、これがなんだかすごくよくって、なんのかんのいって仲のいい姉弟っていうの、それが描かれてたのがいいと思うんですね。

『天使な小悪魔』、2本立ての前半は、希望にきらきらと輝くそね子、けど現実の簡単でないということを思い知らされて、それで落ち込んでという、その落差、アップダウンはある程度予想されたこととはいえ、それが本当に効果的に描かれていて、けど、ちょっと先輩、厳しすぎることないかい。でもこれは、ちょっと上手だからといって素人とプロのそれは違う、っていうことなんだろうなって思って、そうした厳しさをそね子に実感させて、その上でそれを乗り越えていこうと決意させる。ってことなんでしょうね。こうした頑張ろうとする人を描く漫画は大好きです。

  • 『まんがタイムオリジナル』第30巻第7号(2011年7月号)

2011年5月26日木曜日

姉の結婚

 書店でみかけて、買ってしまいました。『姉の結婚』。モノクロの表紙がきれいで、見れば西炯子。カラフルなイラストが並ぶ中、トーンさえ使っていない繊細なペン画が印象的でした。長い階段の途中、振り返っている女性。この人がヒロインなのか。しかし、ヒロインはこんなにも小さく描かれて、ああ、けれど坂のある町の風景、それらがともに描かれることで、いっそう多くを伝えて、物語を予感させる。手にしないではおられない、そんな表紙でした。

センチメンタルな回想にはじまる物語。ヒロインは県の図書館に勤める司書なのですが、老けて見える? いや、実際にそこそこいい年してるのか。東京に出ていたけれど、地元に帰ってきた。見るからに有能そう、けれど少々頑なそうな岩谷ヨリ。どうも結婚や恋愛については諦めがはいっているようなのだけど、そんな彼女にいい寄る男が現れた。といった話であるのですね。

これはある種の願望なんだろうかな。そんな感じもするのでした。二十年もの間、自分のことを思い続けていた男がいた。それも、さえない昔の面影はいずこへか、すっかりいい男に成長を遂げて、と、それが真木誠。評判のいい医師、大学でも教え、著書も人気らしい。当然のようにモテる、そんな彼はずっと岩谷の面影を追っていた? 策略を巡らせ、強引に迫る真木は、一歩間違えばサイコスリラーだけれども、実際ヒロインは当初おおいに困り、怖れてた。けれど、それがいつしか真木のことが気になるように……。

情熱的に愛されたい。そうした思いは、やはり誰しもあるのだろうな。そして、誰かを愛したい。それも情熱的に、心からの愛でもって。そうした気持ちもあるのだろう。いわば、この『姉の結婚』とは、そうした潜在的な欲求を引き出して、叶えようとする、そんな物語なのかも知れません。読者に対しては、この恋の物語が。ヒロインにおいては、あの強引な男の情熱が、この年になったら恋愛とかもうね、そうしたなかば諦めぎみの、自嘲ぎみの考えをさっと拭いさってくれる。ああ、恋っていうのはいいなあ。そうした気持ちを思い出させ、そして危険な恋のスリルでもってくすぐってくれる。恋愛する気持ち、もう純粋ではいられない、そんな恋と、けれど恋を怖れ、自分自身にさえその気持ちをごまかしてしまう、弱気でうぶな心。それらがないまぜに描かれて、切なさに共感すれば、だんだんに高められていく緊張にはらはらと気をもむこともしばしば。いきおい気持ちは、その次その次とはやるのですね。

  • 西炯子『姉の結婚』第1巻 (フラワーコミックスアルファ) 東京:小学館,2011年。

2011年5月25日水曜日

Green, taken with GR DIGITAL

Green月末、すなわち、GR Blogトラックバック企画であります。さて、今月のテーマは「色」。以前のカラフルとは違い、今回は単色、モノトーンやモノクロなども含むとのこと。また、実際の色をではなく、なにか色という言葉に想起されるもの、というのもありなのかも知れません。トラックバック企画「色」に参加します。

2011年5月24日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2011年7月号

 『まんがタイムきららフォワード』2011年7月号、発売されました。表紙は『となりの柏木さん』。柏木さんと福田さんふたりが仲良く並んで、いや、しかし、可愛い表紙。夏服が新鮮でよいなって思うのですね。ちょっとかたい感じの柏木さんに、おや、なんかすごく人懐っこそうな福田さん。いや、文句があるわけではないんですが、いや、それにしても美しいお嬢さんたちであります。

となりの柏木さん』は、前回の告白、それがさらりと流された風に終わったことを受けて落ち込む桜庭くんでありますよ。今度は柏木さんが意識する番なのかな、そんな風に思っていたら、わお、驚きのスピーディな展開です。屋上での柏木さんの反応は、ある種予想されるものでありましたが、その後の桜庭、彼の発言は予想を超えました。けどまあ、ある意味わかりやすかったのかも知れません。柏木さんの反応見ても、これで正解だったのかなあ。謎ですが、どうもこれでオッケーそうですね。

夢喰いメリー』は、もう誰を見てもあやしく見えてしまう! 冒頭、エルクレスに対立する夢魔から情報得ようとしているジョン・ドゥ、これがまたかっこよくて、けどそんなジョンにびしびしつっこむカクタスの器の彼。なんかいい関係になりそうだな、面白い。そう思っていたら、おーまい、なんてこと、エルクレス! で、エルクレスの器って誰なんだろう。こないだ出てきた完璧主義の彼、こいつか、なんかあやしいな、そう思ってたんですが、いやもしかしたら方向オンチの彼女なのか!? いや、そのどちらも違うのか、罠なのか!? もう、えらいこと振り回されてる、そんな気分。とてもいいですよ。

『ハナヤマタ』は、あのありえない運動性能を誇る美少女、人でないなにかなのか? そう思ってたけど、いや、どうも違うようだな。アメリカからの留学生。普通の人、でいいのか。そして彼女が鳴子を持っていた理由もはっきりと示されて、なるほど、そうか、鳴子といえばYOSAKOIか! これって、鳴子持ってりゃどんなスタイルでも許容するとか、そんなのだっけ? で、気弱ななるが、ハナにひっぱられてYOSAKOIに打ち込み、輝く! そんな話になるのかな。華やかな絵柄で踊りの話。読む私の気持ちもぐいぐい引っぱってくれる、そんな風になったらいいなって思っています。

少女素数』は、いろいろと恋愛する気持ちが動いていますね。敷島があんずに告白。それを受けてあんずの出した結論、そういう好きではなかったな。そして、運動会で再会した昔の友達、さやっちの言葉。ああ、こうしたすべてがすみれの気持ちに注がれていくのか。好きっていうのはどうことなのだろう。それも、男と女の間のこと、恋人としての関係、それらを支える気持ちについて、これまであえて見ようとしていなかったものに目を向けた、そうしたら気付くものがあった、といった様子。ああ、すみれさんの気持ちの動いて、一歩前へ歩を進めた。そんな感触。けど、その一歩は、大きく場を揺さ振りそうでありますね。

2011年5月23日月曜日

Rusty bloom — ラスティブルーム

  たまには、アクセス統計も気にしてみるもんだなって思いましたよ。つい先日のこと、ふと思い立って、今どれくらいアクセス数あるんだろうと確認してみたんです。そうしたら、なぜか不思議と昔の記事、Rusty bloom — ラスティブルームの閲覧数が伸びている。検索ワードを見ても同様で、最近話題になるようなことがあったのかな? 調べてみました。そうしたら、なんてこと! 単行本が出たんだ! ああ、こんな日がくるなんて、なんて嬉しいことでありましょう!

といったわけで買ってきました、『Rusty bloom — ラスティブルーム』。全2巻ですね。けれどなんでこのタイミングで、と思ったら、なるほど『緋弾のアリア』の関係ですか。アニメ、人気らしいですね。主題歌結構売れているとかいう話で、で、作者こよかよしのが漫画版を描いている、ということから『Rusty bloom』も単行本になったのかな。だとしたら、すごく嬉しい。『緋弾のアリア』には感謝しても感謝しつくせないですよ。

いえね、それだけこの漫画のこと、好きだったんです。以前にもいってましたね。繊細で少々神経質といえなくもない独特のタッチでつづられる、ちょっと陰鬱な世界の物語。錆の花が金属を侵して狂わせていく。そうした危うい世界に、黒衣の医者ソフィが謎めいて、そして魅力的だったのですね。けど、久しぶりに読んでみて、あらら、結構コメディっぽい展開もあったんだ。意外と感じることしばしばで、もっとシリアス寄りだと思ってたのは、自分の好きだった要素、側面ばかりを残した記憶、そいつを何度も反復することで、印象を歪めてしまっていたってことなのでしょうね。

奥付を見ると『Rusty bloom』初出は、『まんがタイムきららフォワード』2006年Vol. 1。5年も前というか、たった5年なのか、そうした思いです。それなのにこんなに懐かしく思う。かといって、忘れているかというとそんなことはない。どの話もちゃんと全部覚えているんですよね。そんなに何度も読み返さなかったはず。あっという間にたまってしまう雑誌です。読み返そうにも簡単じゃなく、だから単行本としてまとめて欲しいと思った。それがやっと叶った。またこれを読める、まとめて、続けて読める、それが本当に嬉しくて、この機会を得られたこと、本当に感謝します。

引用

2011年5月22日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年7月号

『まんがタイムきららMAX』2011年7月号、一昨日の続きです。

ラッキーストライク!』。前回、レイレイ先輩が負けん気をぐぬぬと燃やしていた、そんな終わり方をしていたわけですが、今回は調子にのりかけている後輩に先輩からの優しいアドバイス。これまであまりレイレイ先輩が前面に出て、場を主導するっていうことありませんでしたけど、今回はもう素敵。2本のレーンを使ってプレイするアメリカンなるスタイル。それぞれのレーンに塗られたオイルの量も違えてあるという念のいりようで、後輩を指導ですよ。レイレイ先輩、よっぽどレンのアベレージ発言、腹に据えかねたんでしょうね。

で、レイレイ先輩、すべてのコマで魅力的。機嫌そこねた顔、怒った顔、疲れはてながらもへこたれない顔、ギャグを冷たく流す顔。希少な鉄拳制裁があれば、以前からもたまに見せていた悪い顔。もう、最高じゃないですか。一番の好みは、とりあえずやってみましょうのコマなんですが、ここからのレイレイ先輩。レンの出端をくじくとともに、ちゃんとアドバイスもするっていうところ。ああ、ライバルないしは自分を脅かしかねない存在としてレンを見ながらも、ちゃんと先輩として指導しようと思ってくれている。こういうところ、本当にスポーツものなんだなって感じるんですね。スコアによってレベルの差が明らかにされる、また技術の差も一目瞭然という残酷さ。後からはじめた人間に抜かれるなんてめずらしくもなく、努力が常に報われるわけでもない。スポーツっていうのはそうした世界でしょう。レイレイ先輩の焦り、内心ものすごく悔しかったりするのがわかる。けど、それでもちゃんと後輩を指導する、そのフェアネス。ああ、スポーツマンなんだな、そう思わせられるところが、本当に素晴しいと思います。まあ、ちょっとレンのストライクを自分のにしようとしてたっぽかったりしますけど、こういうちょっとずるいところはチャームポイントでしょう。スポーツマンとしての公平さに加え、人の成長を妬んだり、失敗を喜んだり、ちょっとずるをしたりという弱さなんていうのも持ち合わせてる。ただただ理想的な姿が描かれてるわけじゃないところが、ありそうな感じや、またキャラクターの個性を引き出して、面白さを支えていると感じるのですね。

『グラッチェ!』、読み切りゲストです。かけると美少女になる眼鏡を手に入れた女の子、都。どうもこれ、都には効果がないようなのですが、つかさがかけると効果てきめん。一瞬で美少女に早変わり。男の子なのに! この、自分の意思でではなく、外的要因で強制的に女の子に変化させられる、で、その変化をコントロールできるというのはいいですね。で、つかさが常識人で、この眼鏡を悪用しようと思ったりしないところ、それがよいなって思いました。むしろまずいのは都とつかさの姉、潤。つかさに女子の制服あてがって、そのまま学校にいかせて、女子として学校生活させる。女子つかさを、男子つかさと別人扱いのままで受け入れてしまう、この学校はすごい包容力ですよ。この漫画の軸は、都のつかさに対する気持ち、そこにありそうで、男女の恋愛コメディでありながら、女装男子的要素と百合的要素を内包する、なんとも欲張りな構造。うまくふくらんだら、結構いけたりするんじゃないかな、なんて思わされます。

『カラフルスナップ!』は、人型端末の可愛さで、がんがん押してくるといった感じですね。写真部部長も参加して、ネオンとミナモをしっかり愛でる。猫セット、猫耳、みんなでお揃い、写真を撮ってと、それだけったらそれだけ。けど、それだけのことがすごく楽しそうで、それはそれだけキャラクターがいきいきと描かれているからなんだろうなと思います。ちょっと危ないシーンもあって、ハッとさせられはするけれど、たいしたことない程度にとどめてくれて、こうした安心感をあたえてくれるところなど、とてもよかったです。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第7号(2011年7月号)

引用

  • みそおでん「ラッキーストライク!」,『まんがタイムきららMAX』第8巻第7号(2011年7月号),158頁。

2011年5月21日土曜日

『まんがタイムスペシャル』2011年7月号

『まんがタイムスペシャル』2011年7月号、発売されました。22日が日曜なので、一日早く出たんですね。さて、表紙のメインは『恋愛ラボ』、リコであります。傘の中、猫と一緒に空を見上げている。途中、雨に降られてしまって困ってる猫に出会った、そういうのなのかな。なかなかにドラマ感じさせる表紙。リコの大きな目も、すいこまれるように深く、ほんと、綺麗な子だなって感じさせられます。さて、この他には『トンネルの華子さん』、『笑って!外村さん』。来月頭に発売される単行本、そいつを後押ししているのですね。

しかし、巻頭外村さん、エレベーターのエピソード、面白いな。外が見えるからなのか。ほんと、この人、見た目と中身が全然違ってて、ほんと、めちゃくちゃ面白いです。で、『恋愛ラボ』、エノの乗り物酔い。いかす、ほんと。実は私、乗り物の中で気分悪くなった女の子を介抱するというのが憧れのシチュエーションなのです(本当)。鞄にはそのための袋など、もろもろ用意されてるというのに、ちっとも役立っておりません。てなわけで、可愛いリコ、マキ。そして憧れシチュエーションの成立。めちゃくちゃ面白かったです。

『ポンチョ。』。ポンちゃんのこの表情! いや、ほんと、嬉しさ、喜びをこれでもかと表現していて、素晴しいですね。カレシに傘を買ってもらった! すごく嬉しい! うわあ、この気持ちわかるわ。私も子供のころ、買ってもらってすごく嬉しかった傘があって、あんまり好きすぎて使われないままに今も残されたりしてましてね、その点ポンちゃんはちゃんと使うんだからえらいなあ。傘で気持ちがいっぱいっていうのがすごくよく伝わってきて、こちらもなんだかわくわくしてしまうほど。それで学校に持っていって、間違われてしまって、がっかりして、取り戻して、いや、ちゃんとは取り戻せてないんだけど、ポンちゃんはカレシにもらった傘って思ってるんだからいいよね。ほんと、替えのきかない大切な傘っていうのがよくわかる。そのポンちゃんの気持ちがいいなあって思うんですね。

少女カフェ』は、ちょっと成長したふたり? あんまり変わっていない、それがいいなあと思いまして、っていうのは、だって、急いで変わっていくって、なんかもったいないじゃないですか。っていうのは扉の話。本編は、お父さんのことが好きな女子高生、みのりさんでありますよ。真っ向からお父さんにアプローチするんだけど、全然通じてないっていうのね。あれ、天然のホストだなんていわれてるけど、はたしてそうなのか。たまたまなのか。実はわざとじゃないのか? いや、きっとそれはないんだろうな……。そして宮嶋さん、以前もそんなこといってましたよね。いや、もう、素敵。みんなで外で会おうっていうのにも、ちゃっかり参加するって、この人の真意はわからないんですけど、常連さんたち、みな仲がいいっていうのがいいなって思うんですね。

そして、ちょっとおセンチな葉月さん。なんでも冗談にしちゃうっていうの、それ本音だからなんだろうな。本当の気持ちを冗談ごとにまぎらわしてっていうの、その気持ちはよくわかる。わかるからこそ、いいなあって思うのですね。その気持ちを受け取ってくれる誰か、それが気になる人だとよいですね。そう思ったりするのですね。

『シュガービーチ』、なこの台詞! これは驚かされました。えええっ、こんなキャラなのか。っていうの、まさに部長の、ひいては作者の仕掛けた罠にはまって、うまいですよ。定番のキャラ付けして、定番の展開予想させて、思いっ切りはずして見せてくれる。やられました。でもって、部長、真面目な人。どうにもこうにも練習が第一、そんな真面目さの後のアルパカーノで一気にもっていかれました。なんともいえん人。大好きです。あとさ、カレーの事故。これはベタなんだけど、面白かった。で、カレーからカップラーメンでなこの興奮がエスカレートするっていうのも、実によかったです。

『ケータイしてね!』、ゲストです。人型ケータイ? と思ったら、そうじゃないのか。読み進めればわかる。なるほど、携帯電話擬人化もの。実際の姿は、普通の二つ折りのタイプであるのですね。携帯電話でよくあること。それを擬人化することで、コミュニケーション的な要素を付加しました、そんな感じであります。けれどそのよくあるということ、携帯電話を持たない私にも普通にわかってる感じのものが多くて、だからちょっと物足りない感じ。でも、着飾ってる他の携帯電話を見て、可愛くしてもらいたいと思う。そして、ちょっと飾ってもらえて、それを嬉しく思う。そうした様子など、ちょっとよいなって思いました。

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第7号(2011年7月号)

2011年5月20日金曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年7月号

『まんがタイムきららMAX』2011年7月号、昨日の続きです。

『√中学生』、今回は眼鏡のお嬢さんがメインでありますね。いえね、先月、ちょっと作者について調べてみたんですよ。そしたら、この眼鏡に手榴弾の彼女は持ちキャラとでもいいますか、長いこと描かれてきた、そういうキャラクターみたいなんですね。名前は、鞘ちゃんって呼ばれてますね。図書部(仮)ただひとりの部員。ちょっとどじなのかな。あちこちぶつかったり、こけそうになったりしてて、そして虫が嫌い。蝶であっても駄目。虫を見ると華麗に身をかわし、手投げ弾を投擲するんですが、これ殺虫剤? と思ったら違うのか。虫除けの煙を出すだけなのか。しかし鞘ちゃんの虫が嫌いな理由。これが面白かった。怖い話が駄目。宇宙人とかも駄目。昆虫宇宙飛来説を知って、虫も駄目になった。でもこの説って、今では明確に否定されてるんじゃなかったっけ。というのは別にして、月たちの会話に怖れ怯えてる、それが面白かったです。いやほんと、勘弁してあげてください。

『放課後センセーション』、びっくりしたぞ。のっけから、誌面いっぱいにあふれんばかりの女の子ふたりの絵ですよ。定型をやぶってくるの、インパクトあるなあ。と思ったら、ページをめくってもめくってもインパクト。コマからはみ出るどころか、3段ぶち抜いた上、余白までも贅沢に使った立ち絵があるなど、いや、でも、これありだと思う。ネタで見せるという点では、ちょっと反則気味にも思うのだけど、絵を見せる、それも漫画の重要な要素です。うん、よかった。これって、今までもやってましたっけ。なんというのか、向こうから迫ってくる、押し出してくる、そんな感じがあったのですね。

『アキタランドゴシック』、この導入はなんともいえん味がある。アキタちゃん、ずっとモニュモニュいってる。ガム噛んでるのかなって思ったら、グミなのか。そしてはじまる、グミに対する愛の表明。これ、好きなグミについてただただ語ってるだけじゃないか、って思ったんですけど、それが面白いんだからしかたがない。あの、すっぱいの苦手なのよ! のダイナミックなポーズ。あれが好き。で、あの大キイ! 楽シイ! っていうのも、どうにも元ネタありそうな感じですが、それがわからずともなんともいえずおかしくて、ほんと、変に癖になる漫画ですよ。終盤の展開なんて、もう意味わからんのだけど、おかしくてしかたなかった。これ、強い漫画です。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第7号(2011年7月号)

引用

  • 器械「アキタランドゴシック」,『まんがタイムきららMAX』第8巻第7号(2011年7月号),125頁。

2011年5月19日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年7月号

『まんがタイムきららMAX』2011年7月号、発売されました。表紙は『ホイップノート』。いよいよ温泉合宿突入!! の文字も力強く、どんだけ温泉、期待されてるんだ。そんな気がしてしまうのでした。さて、煽りは温泉、けれど表紙はクレープ食べてる下級生組3人ですよ。ふりむいてるるいせ、口元にちょっとクリームついてる。足の後ろにひょいと上がってるところもふくめて、元気のいい絵。背景に散らされた花の色、オレンジ黄色も手伝って、華やかさ感じさせられます。そして右下には『ご注文はうさぎですか?』。おおお、巻頭なんだ。そうなのか。人気あるのかな。思いがけない躍進です。

『ご注文はうさぎですか?』、扉の5人、それぞれの背景、色合いが淡く、透き通るようで、これはすごく綺麗。1枚1枚がしおりになって、それもフィルムしおりになったりなんかしてもおかしくなさそう。というか、ぜひなって欲しい出来であります。さてさて、今回はカップを買いにいく話です。というか、冒頭のアロマキャンドルが面白かった。可愛い女の子、綺麗な絵柄。それが目につくけれど、予想を裏切らないとか、この私が断罪してくれる! とか、特に後者、これはやられました。リゼの必死の否定がいかします。そして、ご飯にしか見えない、これは絶品。めちゃくちゃ面白い。いや、ほんと、みんな可愛いなあと油断してたら、どかんとくる、そんな漫画ですよ。

きんいろモザイク』は、扉のカレンが可憐すぎる! これ、髪の分け目が左右逆、鏡を覗いているカレンの視線に立ったイラストでありますね。さて、今回のテーマは円グラフだったわけですが、私が気にいったのは、しののですよ、あのチラシコレクション。これ、ものすごくわかるの。好きで、憧れで、けど手の届かない! みたいなものがあったら、チラシをもらう、パンフレットをもらう、それで、大事に残しておくんですよね。時折眺めて、いいな、いいなあ、そうして憧れを憧れのままに楽しむのですね。私の部屋のクローゼットあさると、古いチラシとかパンフレット、いろいろ出てくるんだよ。もう、ほんと、しのぶの気持ちがよくわかる。その宝物みたいなチラシを、お姉ちゃんに捨てられそうになって、ふて寝するとか、もう、どんだけ可愛いんだ、あんたは。それを陽子にあずけるっていうのもすごいなと。ええと、陽子がすごいよ。ほんと、いい人だなって思うんですね。こうした人の気持ちのおかしくて、けれどそれでも愛しくて、ほんと、すごくいい。面白い、それだけではいいつくせないものがあります。

で、そうしたチラシね、後から見ると、その憧れていた時の気持ちがしみじみ思い出されるのよ。だから、しのぶもそれを大切になさい。大人になってから見たら、アリスやカレンと過ごした今、綾や陽子とともにあった学校生活、それらが思い出されるから。まるで昨日のことのように、自分たちを包んでいた空気、その匂いさえもが、ありありと思い出されるから。

『こずみっしょん!』、これ、どえらい面白くなってきてますよ。不解部での活動、まずは部室の整備っていうんですが、部室に残る人のかたちをした染み。鈴子も臣美も寒気に震えるというのに、部長はまったくもって意に介せず。ゴシゴシ雑巾でこすって見せる、その不感ぶりが素晴しいです。地味に気にいった台詞は、臣美の鈴子に対する抗議、…なんで別の星で生まれただけでそんな物理法則無視できると思うのよ…。これ、なるほど正論であります。そして面白かったというの、ラストのあの展開ですよ。部長のコレクションが引き起こした悲劇。って、いやもう、暴走する部長と鈴子。そして鈴子の発見。いや、もう、面白かったです。狂乱を前にいくらうめこうと、まったく気にもとめてもらえない、彼の存在もナイスでした。

と、ここで『カレーの王女さま』とスペシャルゲスト『皆瀬家ガラパゴス』ですよ。まさかの、王女に納豆の組み合わせ。こないだの『ミラク』でのスイカといい、あいかわらず『きらら』系列誌では、信じられないようなネタかぶりが発生します。まさしく奇跡といってもいいくらい。驚きですよ。

さて、『カレーの王女さま』は前回書いたし、それに私は仏さんじょの漫画は面白いという前提をもって読んでいるからして、結局今回も面白かった、メリッサの人の悪さが素晴しいよね、そういう話にしかならないからとばすとして、『皆瀬家ガラパゴス』です。

ダンボールの中、親切な誰かに拾われることを期待していたお姫様。見た目にも姫といった装束で、しかもこれが本物。ファーランド国のティアミリア姫。行方不明、家出して冬コミに参加するつもりだったという、マニア、オタク姫であるというんですね。なるほど、台詞の端々、それに扉絵、プラモデル作ってる、そうしたところにも姫の性格、キャラクターが見て取れるというものです。かくして、王女はたまたま通りがかった皆瀬優人の家に転がり込むことになって、しかもメイド付き。まだ話は始まったばかり、ということでどういう風に動いていくのかっていうのは、次回に期待ってところなのでありましょう。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第7号(2011年7月号)

引用

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第7号(2011年7月号),表紙。
  • Koi「ご注文はうさぎですか?」,同前,4頁。
  • 同前,6頁。
  • 榛名まお「こずみっしょん!」,同前,45頁。

2011年5月18日水曜日

『まんがタイムきららミラク』Vol. 2

『まんがタイムきららミラク』Vol. 2、一昨日の続きです。

『副33三色パンチ』は、美大に通う女の子三人が共同生活するっていう話なんですが、のっけからでかい落書き、それもカマドウマとか、ヒロインのひとり、木ノ下コウのキャラクターが強烈に顕示されましたわけですよ。この第2回目においても、同様に彼女らがどういうキャラクターであるか、それを押し出していて、しかしそれにしても、コウのそれはぶっちぎりであるな。アジサイの葉とか、食えるものを使えよ、という以前に、これ有毒なのか。知らなかった! 洋風バリバリの御子柴ゆかりもいい感じ。かと思うと、日向茜も和式のトイレが駄目とかね。こういう生活のはしばしに、その人のらしさを見せていくのはいいなって思います。

『きしとおひめさま』、驚いた。いえね、前回はタイミングが悪かった。なにせ、未曾有の大災害、そういってもいいような出来事のあった(しかも未だに継続中)直後でしょう、こうした天変地異っぽいのを描くフィクションは不利だよな、そんなことを思っていたんです。その第2回は時間がまき戻されて、あれれ、これは誰だっけ、最初繋がりがわかりませんでした。ヒロインつくよに挑む男ども。それでもって彼女の強さ、そして舞との会話で彼女と父との関係性なんかもわかるようになっている。なるほど、それであの異常事態に戻るのか。はしばしにコミカルな落ちが用意されて、シリアスを緩和しながらも、状況はなかなかに優しくなく、そして最後に現れた騎士。これもまた驚いた。まだまだ状況はわからないな、そう思わせるインパクト充分でした。

『びぎなーず9』は大変に素晴しい。女子野球部の設立に燃えるヒロイン。告知、呼び込みを工夫してみたり、そして興味を持ってそうな子、芝田初美との会話とかも、すごく面白かった。野球とソフトボールの違い。サードについての話は、以前聞いたことあるように思うのだけど、ショートの話とかスタベンとか、こういうのわからない。けど、わからないからこそ面白いように思います。わからないながらも、この子らの野球に対する思い入れ、熱意といったものが伝わるわけです。しっかりリアリティをのっけてきてるなって、そんなこと思うのですね。そして、元ブラスバンド、祖父がマイナーリーグでピッチャーやってた千賀竹なおが加わり、プレー経験はないけど見るのは好きという東条が加わり、 こうやってだんだんに部が育っていくという感じはとてもいいと思います。すごく楽しみに読んでます。

  • 『まんがタイムきららミラク』Vol. 2 (『まんがタイムきらら』2011年7月号増刊)

2011年5月17日火曜日

『まんがタイムファミリー』2011年7月号

『まんがタイムファミリー』2011年7月号、発売されました。表紙のテーマは、ええと、OLなのか? いや、エッセー企画を見るところ、お弁当だったりするのでしょうか。というわけで、メインはOLの制服着た『ぽちゃぽちゃ水泳部』カツ代とはっつー先輩です。カツ代のお弁当から、タコのウインナーを横取りしてる先輩なんですが、なななんだろう、この色っぽさ。本編を楽勝で上回っていますよ。もう、ほんと、これはマスターピース。あのポーズがよいのかなあ。それとストッキングの足。そういうフェティシズムはないんですけどね。そして、『リフォーム!』のカットもございます。単行本が発売されるんですね。

『チーフはかなめ!』、6月だから結婚式の話題っていうんですが、友人の式にただ参列するだけでなく、ヘアアレンジをまかされる、そんな話なんですね。ええ、チーフがですよ。高校時代の友人、キョーコが結婚するとなって、思い出された昔のこと。学校の屋上で、将来の夢を語りあってるところとかね、なんかすごくよかったんですね。美容師を目指したのは、キョーコの髪をいじるのが楽しかったから。そして、昔の約束。ほんと、いい話だったと思います。そして、最後の最後の後日談。ただしんみりさせて終わるんじゃないっていうの、それがまたよかったと思います。しかし、チーフ、可愛い人ですよ。

『ひめごとノート』、実によいです。良子に勉強教えてと泣きつかれた姫。しかし、そこで色んなこと教えてと乱入してくる先輩とか、いいな、これ。すごくいいな。といったわけで、うちで勉強会。先輩はこないんで安心です。それで良子に、姫の父親が小説家っていうのを隠すんですけど、そのせいで口説かれてるという勘違いが生じたり、それでものすごく動揺させてみたり、面白かった。この人の漫画は、キャラクターが動揺して変な挙動みせたりするの、それがすごくいい味、面白さを出して、よいんですよね。ほんと、良子さん、とてもよかったです。

『マリアに礼っ!』、ゲストなのかな? ヒロイン西園寺マリアは柔道部のマネージャー。しかし、いきなり朝練に寝坊してる。朝からメイドがアップルパイを持ってくる。なんとも不思議なヒロイン、マリアであるんですが、そのマリアの友人、武田花もなかなかに一癖ありそうで。見た目は眼鏡でポニーテールの可愛い女の子なんだけど、どうも実際はかなり強烈に攻めていく柔道家の模様。いいですよ。ちょっとのんびりした風もある漫画。そこに、キャラクターの表の顔、裏の顔、そうしたものが隠されてるっぽいと思わせてくれるところなんて、なかなかに面白い、そういう感じなんですね。次号にも載せて欲しい。今しばらく読んでみたい漫画です。

『はなとふたば』、いいですよ。アンニュイさを一杯にたたえたお姉さん。ユキがすごく魅力的。妙に乙女な弟タキもいいんですが、タキの片思いしてるのどかさん。こののどかさんはユキのことが妙に気にいってるぽいっていうのがね、すごくよくって、ああ、タキの恋はきっと実らないね! ユキはのどかさんに対して、コンプレックスといおうか、なにか憧れと、なにか引け目のようなものを感じてしまってるみたいなんですが、そうして思い悩んでるユキはすごく可愛くて魅力的。また、のどかがユキに興味を持つの、それはユキがのどかに自分にないものを見て、憧れたりする、そうした気持ちに似たものがあるんじゃないか。のどかもユキに、自分にないものを見て、それで憧れてるんじゃないかなって。そうしたふたりの、近付きたくて、けれどすぐには近付けない、微妙な距離感の感じられる関係が、すごくよいのです。

  • 『まんがタイムファミリー』第29巻第7号(2011年7月号)

2011年5月16日月曜日

『まんがタイムきららミラク』Vol. 2

『まんがタイムきららミラク』Vol. 2、発売されました。表紙は小波ちま『リリィ』、久美に後ろから手をまわしている、悪魔の、……、むむむ、名前出てなかったっけっか。久美の、明るく素直な感じに対して、悪魔の姉さんの妖艶な表情。なかなかにいい対照で、けどこのふたりがなかなかにいい関係作っていきそうな雰囲気ですよね。というのは本編の話。巻頭を飾って、これがなかなかに面白い。ええ、2号目にしてよい感触であります。

『リリィ』、悪魔に憑かれてしまった妹久美を心配する姉幸子です。復活をもくろむ悪魔が、力をたくわえるまでの間、妹の体にとりついて、なんて話を、若干シリアスっぽい雰囲気、姉と悪魔の対立なんかをまじえながら展開していくんですね。でも、合間あいまに、納豆食べて悶絶する悪魔とか、久美の馬鹿発覚とか、あと体育の授業の風景、あの組体操とか、ひとのジャージで顔を拭くとか、そういうコメディっぽいのがはさまれるのがいいなって思うんですね。悪魔は悪魔で悪いやつではなさそうだ。そういう回でありましたが、それでもちょっとは緊張感を残してる。そうした中、日常のおかしげな振る舞いなど描かれるのが不思議と面白いです。

『純粋欲求系リビどる』、これはほぼ完全にコメディタッチといっていいのだと思うんですが、お色気強めの戦うヒロインもの。ちょっとハーレムっぽいところなんかも悪くないですね。リビドーの強すぎる少年、枕井リヒトのリビドーが具現化して襲ってくる。それを倒すのが咲馬リク、空羽ルコ、井沼レン、三人のお嬢さんで、変身してリビドーの怪物を華麗に倒し、そしてリヒトのリビドーを摂取するっていうのが、かっこよくってちょっとエロいよね。エロだお色気だというけれど、戦闘の見せ方なんかがうまくて綺麗で、こういうところに作者の地力を感じます。

『夜森の国のソラニ』はファンタジー色強めですね。絵の雰囲気もそうした色を強めて、色ののせ方なんてね、すごく綺麗だと思うんです。さて、夜森の国にたどりついたソラニ。彼女をはじめとする、夜森の国にいる人たちは皆なにか現実を拒否しようという思いでも抱いているのか、そんな風であるのですが、そうした人たちを受け入れて、ふたたび目覚めるまでを見守ろうというのが夜森なのでしょうか。ソラニは夜森の専属コックとなって、それで夜森と知り合っていくのか。ちょっと夜森は、ソラニのなにかを知ってるっぽくて、こういうところもなにか興味深いです。

『Seed』は、なんというか、すごい世界観ですね。学校が勝手に歩いていっちゃう、そんな世界。風景は日本風ではあるんですが、日本なのか? 日本らしい意匠がちらほら。けど、奇妙な生物の闊歩する世界。おそろしいわ、そんでちょっと気持ちわるい。でも、その気味悪さといきおいが、癖になりそうな感じです。あの、月の基地に単身赴任でしたっけ、している、ええと、お母さんでしたっけ。あちらの飄々とした生活ぶりも面白くて、これ並行的に進めていくのかなあ。なにがくるかわからない、そういった感覚がよいです。

  • 『まんがタイムきららミラク』Vol. 2 (『まんがタイムきらら』2011年7月号増刊)

2011年5月15日日曜日

墨色えれくとろ

 『墨色えれくとろ』は知らない漫画。書店にて表紙がふと目にはいって、女の子三人組、タイトルには墨色。ということは、高校書道部ものかと思い手にとったらば、裏表紙に墨硯筆墨汁、帯を見てもたしかに書道ものらしい。買おうかなどうしようかな、少し迷ったのですけれど、私もかつては毛筆習っていた身。ただでさえ珍しい書道漫画。それも四コマとくれば、買っておこうとなったのも自然なことでありました。さて、私はいつも最初にカバーをはずして、その下のおまけを確認するのですが、なんとそこには期待させてくれる文言ありまして、それはこの本の協力者によるもの。私大学で書道科行ってまして。おおお、もしかしたら意外にしっかり習字のこと描かれたりする!? などなど期待したのでありました。

さて、漫画は期待に添うものだったのでしょうか。ヒロインは書道好きというよりも、書道が生活に当然のように存在している物部愛里。この子をメインとして、真面目そうなモニカ・U・グラッセ、暴走気味の藤戸花、ツンデレ書道用品店の娘波多野なつみ先輩、そして字のおそろしくまずい石毛あさ美先生、が脇をかためています。あまりに浮世離れしている愛里の行動に驚かされたり、花の突拍子もない行動にふりまわされたり、そしてふたりの面倒を見てることの多いモニカ。彼女らの、書道に関係したり、しなかったりする日常を楽しむといったタイプの漫画なんですね。

で、これがなかなかに面白かった。キャラクターがいきいきとしてる、そして可愛い。これらが前提としてしっかりあるところに、書道や愛里の田舎などといった要素がアクセントとして機能する。ええ、やっぱり書道というのはこの漫画の個性だったと思うんです。授業のノートも毛筆でとる。そのノートが具体的にどんなのか示される。草書、連綿、うわ、読めねえ。達筆ってことはよくわかる、だからこそ読めないっていうことが面白いと思うんですね。ノート、読めない。テストの答案も読めない。能筆がデメリットになるっていうのね、まさに極端にマイペースな愛里らしいなって思わせるネタでして、習字という題材とキャラクター性を同時に満足させるという点で、よかったなって思わされるんですね。雪の字を習うモニカさんなんかも、実にそれっぽい。泡がぱちんみたく、ああ、よくあるなって思えるようなのまで含めれば、習字に関するエピソードは結構多いんですよね。回を重ねるごとに、習字に関するエピソードは減り、キャラクター性を押し出す傾向は強まるのですが、意図されたものかどうなのか、だんだんに皆の仲がよくなり、互いの距離が縮まってるみたいな、そんな雰囲気思わせたりもしたんですね。

毛筆を習ってた人間としては、もっと書道のこと出てきてもよかったけれど、多分これくらいのバランスがいいんだろうな。そんな感じ。書道もあり、普段の生活、楽しい日々もあり、そして最後の進路の話みたく、わかってるようでわかってない部分が見えたりもする。ええ、そうした多様に現れてくるいろいろが面白かった。買ってよかったと思える一冊でした。

  • 黒渕かしこ『墨色えれくとろ』(バンブーコミックス) 東京:竹書房,2011年。

引用

2011年5月14日土曜日

はじめ×くろす

 はじめ×くろす』はまんがライフWIN - livedoor デイリー4コマにて連載されている四コマ漫画でありまして、サイト名にあるように、デイリー、日刊なんですね。毎日、1本ずつ四コマが掲載される。ちょこっとずつ毎日読める、はいいんですが、一本ずつだとものたりないから、ある程度たまった頃あいに読みにいったりしています。その『はじめ×くろす』が単行本になりました。というわけで、購入しまして、読みまして、ああこれは習慣の問題なのでしょうか。画面で読むよりも単行本の方がより面白いと感じられました。加えてカバー下、冒頭、各話合間のおまけなんかも実に面白くて、ええ、裏表紙側カバー下など、もう最高でありましたよ。

さて、『はじめ×くろす』。これは、最近はやりの、なんていっちゃっていいものでしょうか。女装男子ものの一バリエーションであります。とはいえ、この手の女装させられてお嬢様のおつきになるとか、女装して女子寮に入るみたいなのって、少女漫画なんかでは定番だったりするような気もして、だから男の娘ものというよりも、伝統的女装少年のバリエーションといった感覚が強いです。

女装するのは、というか、させられるのは、一宮家に代々つかえてきた榊家の息子、一であります。一宮のお嬢様、ほのか様を護衛するべく女装することになった。いや、ほのか様、女子寮に入っておいでなので、御側に寄るには女装するしかない。って、そうかな、ほんとにそれしか手はないのかな!? って思うのですが、どうも一宮の当主と榊のお父上の間ではそういう取り決めになっちゃってるみたいで、かくしてはじめはお嬢様おつきの家政婦に身をやつして、女子寮にはいることになったのでした。

でも、面白いですよね。お嬢様はとことん無邪気で、はじめの秘密を知ってるのは従姉で担任の祥だけ。時にほのかの父からもたらされる無茶な指令をこなしながら、女の子として振る舞い続ける、そんなはじめが不憫で不憫で、実にいいんですね。そしてお嬢様、ほのかも、ちょっと寂しがりやといいますか、はじめのことすごく気にいってて、この懐きようがなんともいえないんですね。はじめをドキドキさせればコメディとしての面白さを強め、またしみじみと友情など感じさせれば、お嬢様の健気な気持ちがクローズアップされる。この多様性がたまりません。ほのか様、本当にはじめのこと信頼なさってるんだなあ。その気持ちの素直さ、それがお嬢様を女の子として意識してしまうはじめに追い討ちをかけているように思えます。ほんと、こんなに純粋なお嬢さんにこんな邪な思い抱いたらだめだっ! そうした葛藤に、やっぱり純粋な少年のハートを感じちゃって、いやあ、はじめくん、すごくいい。この好きになっちゃいけないっていうシチュエーションで、でも好きにならずにいられない。あくまでも自分は護衛・使用人であるということを忘れず、けれど気持ちは動いてしまうのよっていう、そうした感覚がいいのだと思うんですね。

そして脇をかためる人たち、それもいいんですね。ほのかを狙うお嬢様、雪はちょっとわがままで、はじめには敵意あらわにするけど、でも本当に心底嫌い憎んでるって風でもないし、可愛い人だと思うわけです。そして、雪についている使用人、正宗、ほんと、素敵! はじめに恋しちゃったって、もう、ほんと素敵! あの最後のページなんて、もう、転げまわりそう! いや、あちこちにこうした気持ちの種がまかれてるって感じがしましてね、ほんといいのですね。

というわけで、私は藍さんのよき友人っぷりが大好きです。

  • 寺本薫『はじめ×くろす』第1巻 (バンブーコミックス WIN SELECTION) 東京:竹書房,2011年。
  • 以下続刊

2011年5月13日金曜日

『まんがタイムLovely』2011年6月号

『まんがタイムLovely』2011年6月号、発売されました。表紙は『はじめのちひろ』、雨あがり、青空と虹を足元に、傘をすぼめるふたりですね。空はふたりの背後に広がるけれど、絵としては足元にある。この、足元、水面に空が映っているかの演出は、ちょっと幻想的なもの感じさせますね。

『恋とはどんなものかしら』、先生につきまとう虎彦につきまとう女の子、ミカのこれまでのことを描いてみせて、おお、昔は泣き虫だったのか。リボンとられて、いじめられて泣いて、いやあ、あのぐちゃぐちゃの髪の毛、リボン、可愛くって、けどミカちゃん、戦略を間違えたんじゃないのんか? でも、強くなろうっていう選択は、好かれたいからじゃなくて、弱いものとして庇護されたくない、哀れまれたくないっていう思いの現れなんだろうな。そう思うと本当に健気なお嬢さん。いい子だなって思います。

『いつか王子さまが』、いいですね。驚きの展開であったのですが、その前段、王子さまとの再会、あれがよいですよ。演劇やってるとは思えないような人、すごく控え目な人、でも魅力的だなあって思ったりして、そしてこの人が嘘をついた理由とか気になりますね。で、驚いたっていうの、まさかヒロインが入団するんだ! すげえ、これは予想外でした。ちょっとわくわくさせられます。

『帰宅部活動中!』、故障しちゃった渡辺さん、陸上にはまだ未練があるっぽいんですけど、あの自棄っぽい食べ方とかね、それからメールをうけての表情なんていうのもね。なにか思わせぶりなところがあって、けど高橋の励ましなんかを見ても、それは昔のことを引き摺って、今を台無しにしちゃいけない、今を充分にいきろっていうのなら、やっぱり帰宅部で頑張る? ちょっとこの先の展開、気になりますね。

『君と朝まで』。あかん、この男はあかん。相手のことをなんにも考えてない。相手のことを理解しようとせず、自分の価値観だけで動いてる。相手のやっていることをまったく尊重しないその態度も不愉快だ! って、こいつはゆうたら、一度幻滅させて、やっぱりあのアシスタントさん、この人がいいの! そう思わせるための踏み台なんでしょうね。というわけで、アシスタントさん、絶望的な気分でいる、そのタイミングであのメール。あれは、いいなあ。文面もまたよくて、これは期待させられますよ。

  • 『まんがタイムLovely』第18巻第5号(2011年6月号)

2011年5月12日木曜日

魔法少女おりこ☆マギカ

  すごかったですよね、『魔法少女まどか☆マギカ』。私は当初、意地でも見るものか。そう思ってたんですけれど、なんかちらほら話題になってるじゃないですか。みんな、興味津々なんだなあ。で、調べてみたらMBS、すなわち関西が放送最速らしい。なるほど、他の地域に先駆けて見ることができるのか。じゃあ、ちょっと見てみようかな。なんて不純な動機から試聴開始して、話題の第3話、最速地域に住まいながらネタバレを喰らった……。しかし、ネタバレ喰らおうとも、あれは衝撃的で、そして魅せられましたね。もう、最終回まで、見事に引っ張られるままに駆け抜けました。

というわけで、最初の抵抗はなんだったのか、Blu-rayまで買っちゃってる始末。いやあ、遅ればせながら漫画も買っちゃってますよ。初版初刷を目前にしながら一度は黙殺したというのにね、買っちゃったんですよ。となれば、あとは私のいつものパターンですよ。関連してるもの、ひととおり買っちゃうんですね。ええ、本日、『かずみ☆マギカ』、『おりこ☆マギカ』の発売日ということで、早速買ってきました。『かずみ』は『きららフォワード』に連載されてるのを読んでるので、まずは『おりこ』から読みはじめて、ああ、なんとこれは陰惨な話でしょう。まさかの杏子メインではじまったのは、私にとってはむしろ朗報。しかし、表紙の中央にいる地味服の子、この子がおりこなんだろうなあと思ってたら、まさかの大誤算。この子はゆまでありますか。で、織莉子ですよ。なんてこった、あとがきに曰くラスボスポジションでありますか。けど、この人はこの人で、なにか目的があって、それこそ世界を破滅に導きたいとか、そういうんじゃない、むしろ世界を守ろうと戦ってるみたいなんですね。

まあ、その戦う相手っていうのが、魔法少女たちっていうんですから、状況は本編であるアニメを超えてしまうほどに陰惨で、ざわざわとさせられる、そんな不快感に溢れているのですが、いや、しかしすごいですよね。織莉子が避けたい事態、それはなんとなくわかる。で、彼女が魔法少女たち、それもマミさんといった、アニメにおける重要人物を狙う、その理由もおぼろげながらわかる。ええ、これが何周目なのかはわからないけれど、あの人が魔法少女になるのを阻止したい人が頑張る、そんな話であるんです。まあ、頑張り方が間違ってるような気もするんですけど……。

ぞわぞわとさせられる、そうしたテイストは、この『まどか☆マギカ』のシリーズすべてに共通していて、『かずみ☆マギカ』にしても、いつどのタイミングで陰惨な展開に落ち込んでいくのか、わからなくて、っていうか、もう微妙に落ち込みはじめてるような気もしないでもないんですが、でもまあ単行本1巻ではまだまだ明るく元気、前向きですよね!

ほんと、この2作、この先どうなっていくのか気になって、こういうところもなかなかどうして、です。

  • ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ』第1巻 Magica Quartet原作 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ』第2巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ』第3巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ムラ黒江『魔法少女おりこ☆マギカ』第1巻 Magica Quartet原案 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ムラ黒江『魔法少女おりこ☆マギカ』第2巻 Magica Quartet原案 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

Blu-ray

DVD

CD

2011年5月11日水曜日

働け!おねえさん

 『働け!おねえさん』は、開始当初、『くるっとまわって営業中』ってタイトルだったんですが、途中で変わっちゃいまして、もとの方がよかったのになんでだろうって疑問に思っていたんです。他にも登場人物を出すためなのかなあ、営業以外の部署も扱うからかなあ、なんて思ってたら、違っておどろきです。ヒロインはふたり。来島凛子と馬渡かの子。くるりんとまわりんだから、くるっとまわって。でも、かの子、人気がなかったらしい! わお、驚き! で、おねえさんメインになったんだ! というのを知らされた時には、ちょっと笑っちゃいましたよ。

でも、それはちょっとわかるんですね。だって、最初、馬渡かの子、ちょっと嫌なやつだったもの。若い営業のお嬢さん。けど不屈の精神、というか負けん気の強さか? それとも調子がいいからか? 抜群の成績を納めて鼻高々。で、それだけなら、鼻っ柱の強いやつだなあ、くらいですみそうなもんだけど、周囲に、とりわけ成績のふるわない来島さんに対して、失礼をはたらきまくったというので、もー、生意気な若手だなあ、そんな風に思われるのも仕方なかったと思うんですね。

けど、これはいずれ周囲に馴染んでいくんだろうな、そんな様子も見えたから、こいつめー、と思いながらも見守ってたら、やっぱりそうなって、特に来島さんに懐いちゃって、ああもう、こいつめ、可愛いやつよ。ええ、評価はだんだんに変わっていって、だからこそタイトル変わっちゃったのが惜しいと思ってるんですね。もちろん来島さんはいい人で、馬渡と来島さん、どっちが好き? っていわれたら、そりゃもう来島さんって答えるんだけど、今となっては、ふたりが一緒でそれがいい、みたいな感じもあるんですね。

馬渡の変化は、彼女ひとりの変化ではなかったというのもよかったと思うんですよ。最初のうちは馬渡の鼻息荒さ、遠慮のなさに苦言呈していた加藤主任はじめ周囲の面々も、今では暖かく馬渡かの子を受け入れて、まあ多少はおしかりなどあるようですけども、厳しくも楽しい、そんなオフィスになっているんですね。で、それがすごくよいの。見ていて、楽しい。それから、厳しさなんですが、来島さんのポジションにですね、ハラハラしてしまうんですよ。でもね、彼女が追い詰められてこそわかることもあるんです。ああ、来島さん、皆から愛されてるんだなあ、って、そういう成績とか数値だけでは語れないことが、ちゃんと伝わってくるのです。そして、成績とかばかりで自分を、人を語ろうとしてた馬渡が、来島さんに触れることで、だんだんに変わっていくっていうのもですね、ああ、この漫画の中の人たちの間では、ちゃんとコミュニケーションが成立していて、影響与えて、与えられて、少しずつ変わっていくんだ。それも、みなが変わっていくんだ。実感させられまして、こうした様子に、人というものに対する愛おしさを感じてしまうほどなのです。

キャラクターが、いきいきとしている、そこに息づいている。そう思わせてくれるところに、作者、水井麻紀子の力があると感じられます。ああ、みんな生きてるなあ。その存在の確かさが読んでいる私にも働きかけて、気付けばその人たちのことが好きになっているのですね。

  • 水井麻紀子『働け!おねえさん』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

2011年5月10日火曜日

『まんがタイムきらら』2011年6月号

『まんがタイムきらら』2011年6月号、昨日の続きです。

『ノルグラサーガっ!』、ゲストです。魔法使いを目指す子弟を集めた王立魔法学校を舞台にした、学園ものです。ヒロインは、魔法使い科1年のドリルシルツ。ドリちゃんとか、それからドリルとか呼ばれてるのがなんかいいな。ドリル。いいな。そして、魔力がないのに入学してきたノールグラフ。魔力はないのを力技でなんとかしてきた人狼の娘みたいなんですが、どうもこれ、かなりの能力を秘めている、みたいな話なのかな。ほのぼの感はかなり強い。ええ、悪くないと思います。

『ミントシロップ』、これはいいですね。淡い色合い。アオリにはやさしくて、やわらかい時間とありますけれど、たしかにそのとおりだと思います。田舎の学校。帰りの電車でのちょっとした時間、ちょっとした会話の風景が描かれるのですが、スローで、しみじみとして、ちょっとしたこと、ちょっとしたやりとりなのに、いや、だからこそなのかな、ほっとさせられて、ああ、これはいいですよ。続けて、長く、長く見ていたいなって思える、そんな漫画です。

『こうりん駄天使さま』、これもいいな。ヒロインのやる気のなさといいますか、あるいはリアリストなのかな? 天使が降りてきたのを幻覚として片付けてしまう、そんなヒロイン、あやせがいい感じです。天使も困るけど、幻覚はもっと困るよな……。あやせはいい匂いがするらしく、天使がくる、悪魔もくる。悪魔のしあわせについての解釈、あれはいいですね。そっか、おぼれなかったらいいんだ。って、溺れるように仕向けるのが悪魔のような気もするのだけど。ともあれ、やる気のあるようなないような天使と悪魔に、間違いなくやる気のないヒロイン。ばたばたしながらもどこかクールなのがよい感じです。

まーぶるインスパイア』、ああ、私の部屋はもう手遅れ、腐海まっただなかです。しかし、部屋の片付けをするのはいいとして、全然進まないっていうのはよくある話。実際、この漫画は、それってよくあるなあっていうことを、とりわけ駄目な人にはよくあることを取り上げて、面白いなあ。寝溜めとか、無理と知っててもやってしまう。ただこうしただけのことが面白いのは、雰囲気、テンポなのかなあ。いい見せ方、個性のある漫画だとつくづく思わされます。

My Private D☆V。黒田bbです。って、最初、誰かわからなかった。『アクアリウム』の博かと思ったけど、あの人の回はとっくに終わってる。というわけで、黒田bbの好むところ、「うしろ姿」なのだそうです。イラストは、こちらに背を向けた女の子ふたり。ブレザーとセーラー。ボックスとプリーツ。ああ、これも素敵だな。そう思いはするのですが、やっぱり私としては、振り向いて欲しい! という気持ちがあるんですね。うしろ姿への開眼は遠い模様です。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第6号(2011年6月号)

引用

  • さかな45「ミントシロップ」,『まんがタイムきらら』第9巻第6号(2011年6月号),109頁。

2011年5月9日月曜日

『まんがタイムきらら』2011年6月号

『まんがタイムきらら』2011年6月号、発売されました。表紙は『ゆゆ式』、唯さんですよ。自転車に乗ってるところ。河川敷ですかね、ちょっととまって、ひょいと横に視線を向けた、そんな場面でありますね。肩から下げたかばんには、ゆずこと縁のマスコット。ああ、これすごくいい。こういうの、なんか可愛くっていいですね。UFOキャッチャーとかの景品にはいってそうです。

ゆゆ式』にはおどろかされました。いつもと同様、わかるようなわからないようなボケなのかツッコミなのか、それから唯いじりみたいな話だったというのに、不意に縁のエピソード、まじめというか、本音が語られてるって感じられる、そんな瞬間が訪れて、ああ、いつもなんだかぼけぼけしてる縁だけど、そうじゃないんだ。いろいろ思ったり、考えたりしてるんだ。そう思えて、ええ、とてもよかったです。若者らしい会話っていってますけど、たしかに、ほんとに、そうだったなって思います。しかし眼鏡ゆずこ、シリアス縁、おそろしい美少女たちだな。

『ねこきっさ』、終わりましたね。クゥが進学、高校生になりました、っていうんですが、わあなんだろう、なんだか微妙に違和感あるな。っていうか、もっと小さいと思ってたから驚きだよ。クリム、ルーシアとそんなに年違わないんだ。しかし、母との再会、そして将来への展望など語られて、いい最終回でした。ねこきっさが好きだという人たち。その様子、ほんとにぎやかで、けどただにぎやかなだけでないのね。ほんと、これまで好きで読んできた、そうした気持ちも彼女らのにぎわいに繋ってるような気持ちになれる最終回でした。

『箱入りドロップス』、面白いですよ。お昼をどうするか、手持ちのお金はどれくらいと話していたら、ナチュラルにカツアゲと勘違いされる陽一。不憫なんだけど、ほんと、その流れがすごく自然で素晴しかったです。で、先生、27歳なんだ。しかし、ほんと雫は可愛いし、それによくつきあってくれる陽一がいい人で、あの拍手とか、もう最高だと思う。空に大声でお礼とかも、単発のネタかと思ったのに、先生のメロンパンのネタがうまいこと拾って、ほんと、面白いです。雫のほのぼの、陽一のいい人ぶり。ほんと、面白いです。

『はるよみ』、いいですね。名前で呼ぶの呼ばないのって話なんですけど、ゆずの微妙に変態的なところとか、最高だと思う。文芸部ものの漫画なんですけど、なかなかそういう部ならではの話にならないのは、よくある話。今回は、基本に親しさ確認というか、自分の相手に対する距離感と、相手の自分に対する距離感と、微妙に違ってると感じられるのを擦り合わせたいってのがテーマになってたと思うんですが、あの書店での風景ね、結局、みんなそれぞれ個性的で、けど似た者どうしでもあるんだよっていうのが示されたの、うまかったなって思います。しかし、ゆずさん、ほんと好きになっちゃいそう。いいキャラクターですよ。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第6号(2011年6月号)

2011年5月8日日曜日

ねこのひたいであそぶ

 この漫画、連載の誌面、読むたびにですね、なにかわくわくとさせてくれるものですから、本当に好きで好きで、楽しみでしかたがないんですよ。なんにゃかの『ねこのひたいであそぶ』。中学生の女の子4人が、町で、学校で、自然の中で遊ぶ、その様が本当に楽しそうで、見ていてたまらないんですね。その遊びというのも、いつかどこかでやったことがある、そうしたものが大半で、だからこそでしょう、懐かしくって懐かしくって、ああ、昔、子供のころ、自分もこういうの、いろいろ遊んだものだったっけなあ。ざりがに採って、昆虫とって、星を見て、探検して、ダンボールで草すべりして。ほんと、苗たちの遊ぶその姿、見てるとどんどん気持ちが昔にもどるようで、ああ、またこうして遊んでみたいなあ、そんな気分になってしまうのです。

メインの登場人物は、最初にいったように中学生の女の子なんですが、けれど彼女ら、まるで男の子みたい、っていうか、ほんと、冒険大好き、探検大好き、マインドは男の子そのものといってよさそうな感じなんですね。ちょっと理系な中学生・苗、スポーツの成績(とノリ)だけはいイイ実紀 、本の世界にどっぷりな綾音、ファインダー越しに世界を見つめる羊子。女の子っぽいのって綾音だけかな? と思ったら、何考えてるか分からないとかいわれちゃってる羊子が意外に、といったら失礼か、思った以上に女の子で、ほんと、普段の様子だけでは判断しきれないこの子たちの個性にやられてしまうこともしばしばで、描かれる遊びで楽しみ、彼女らの個性、キャラクターで楽しみ、といった具合なのですね。

しかし、みな元気で、見ていてすごく気持ちのいい漫画であります。ほんと、どの子もすごくいい子で、みんな大好きなんですけど、とりわけ好きなのは苗かなあ。ちょっと理系と紹介されてる子ですね。冒険とか観察とかチャレンジとか実験とかが好きって感じなのでしょうか。この漫画のテーマというか魅力というか、それを一番に体現してる子であると思います。どんなものにも驚きや楽しみを見いだす、アイデアを出し、そして実行する、そんなマインドに溢れた子です。もちろん、こうしたマインドは苗だけでなく、他のみなも持っていて、誰かの発案がその日の遊びを決定するのだとしても、ひとりひとりで異なるスタイルがですよ、それぞれのやりかたで楽しみを深めていくことに繋がって、実に素晴しいのですね。みな、ひとりひとりが遊びの主体となって、それぞれのアプローチを見せてくれる。これがわくわくとする感じを盛り上げてくれるというのですね。

そういえば、先生、この人もいいんですね。苗たち4人を見て、まっすぐ育ってと願っている。その気持ちが嬉しいじゃありませんか。そして、この先生もまたいいキャラクターしてまして、楽しみに対してまっすぐだっていうところ、花咲先生もそうなら、種山先生もそうですよね。ほんと、見ていてすごくいい。かくのごとく、この漫画に出てくるのは、そろいもそろって、みなホモ・ルーデンスな人たち。遊ぶ人の魅力、それが満載されているのですよ。

  • なんにゃか『ねこのひたいであそぶ』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

引用

2011年5月7日土曜日

『まんがタイム』2011年6月号

『まんがタイム』2011年6月号、発売されました。表紙は、今月で創刊30周年、よって『おとぼけ課長』も30周年。30周年のたすきをかけたおとぼけ課長を真ん中に、『ラディカル・ホスピタル』榊先生や『みそララ』のお嬢さん3人組、『ナイショのおままごと』のふたりもですね。花吹雪や花輪、そしてドレスアップ。はなやかなお祝いの雰囲気であります。

そんなわけで、巻頭は『おとぼけ課長』、続いて『おとぼけ課長トリビュート』でありますよ。参加作家は、ひらのあゆ、むんこ、宮原るり、佐藤両々、重野なおき、東屋めめ、森ゆきなつ、安堂友子であります。それぞれがそれぞれに『おとぼけ課長』を描いて、皆それぞれに面白い。好みはといわれたら、ひらのあゆ、安堂友子かなあ。いや、でも、ほんと、こういうの楽しくていいですね。

『わさんぼん』は、若い職人たちの努力が光る、そんな漫画になってますね。持ち寄り菓子会に出品するべく、お題に沿った菓子のアイデア出しをしてるふたり。ほんと、仲がいいなと思います。頑張りながらも牡丹にちょっかいかける草太も、実にこいつらしいと思える、そんな雰囲気で、それなのにやるべきことはやってるというところ、大変よいなと思います。しかし、柏木狙いかといわれて気になって、否定しないでいいもの否定する萩くんがめちゃくちゃ面白かった。そして草太の緊張、失敗したことに気付いて、その理由も理解してと、自分の未熟を思い知って、けれどそれで必要以上に落ち込まない。勉強したとちゃんと思える、そうしたところ、すごいやつだなと思います。

『ニッポンのワカ奥さま』は、見事に安定してます。扉は季節感にあふれているし、ネタの数々、見えないコップをはじめ、時代やはやりを超えて楽しめる、そんなスタンダードさ。ものすごいと思います。今回のネタで好きなのは、あの飛び石の話。シンプルなんですけど、たまりませんね。絶品だと思います。

『華園の微男子』、楽しんで読んでます。公開授業。授業参観と思いきや、そうでない。男子の品定めときたもんです。女子ばっかりの学校に男子が。それで心配して? かと思ったけれど、先生のいうように公開処刑であった模様。値踏み、生写真販売、いやもう、そりゃひどい有り様で、とんでもない姉を持った山吹くん。学校にも家にも安らげる場はない模様です。

  • 『まんがタイム』第31巻第6号(2011年6月号)

2011年5月6日金曜日

『まんがタウン』2011年6月号

『まんがタウン』2011年6月号、発売されました。表紙には、おお、なつかしのゴマちゃんですね。なんと『少年アシベ』が復活するとのこと。アニメ化されるなどして、それこそ一世を風靡する勢いでしたね。で、復活連載するのですか。ちょっとなぜ今復活なのだろうという気もしますが、でも懐かしく思って読む人も多そうに思います。と、表紙にはほかに『新クレヨンしんちゃん』、そして『偽装男子』のカットがのっています。

『偽装男子』はとても素晴しい。男とつきあうことを許さない、そんな厳しい母を持った瀬川あやか。彼女のことが好きな男子水城歩は、あやかの母のチェックをすり抜けるため、見事に女装してみせるのですが、なるほど流行りの女装男子ものなのね、と思ったら大間違い。どう見てもですよ、歩のライバル、彼らの素晴しすぎる女装、これがメインでしょうよ。見るだに笑いが止まらない。あやか好みに染まった奴らの勇姿、ああ、なんて可憐なんだろう! もう、たまらん。そしてあやかの自問自答、こいつもたまらん。ほんと、こういう無茶なネタ、この作者の持ち味が見事に発揮されていると思います。

『派遣戦士山田のり子』は、なんと、のり子、新たな局面に進みましたね。以前から登場していた、のり子に恋心抱いていた彼ですよ。ついに彼の気持ちにのり子が気付いたというんですね。これまでどうしても気付いてもらえない、そうした展開が続いていたわけですが、ここにきてばっちり気持ちが通じて、そしておつきあい申し込んだりして、しかも、のり子もまんざらでもなかったりする? これはいい。これは素晴しい。ええ、心から応援したいところでありますよ。

『魔法女子高生トラノイーカルナ』、後藤羽矢子の新作です。なんと、変身ヒロインもの。ヒロイン、カルナは正義感あふれる女子高生であるのですが、見た目に可憐なために、注意しようともちっとも聞き入れてもらえないというんですね。そんな彼女がであった不思議な生物。宇宙人? デヌエにもらったDNAメモリー・スティックを使って、他人に変身するっていうんですね。初回の変身は、なんとスキンヘッドのヤクザさん。って、夢も希望もないな! ところでタイトルの、トラノイーカルナって、虎の威借るな、なんですね。なるほど、今後の展開をうかがわせるタイトルです。

『みねちゃんぷるー』、最終回であります。先生の結婚式の風景。その誓いの言葉をめぐって交わされた三人の言葉、それぞれがとてもよかったんですね。雅のいう、もしかしたら将来気持ちは変化していくのかも知れないけれど、今のしあわせを将来にも持ち続けたいと願う気持ち、すれ違うことがあったとしても、そう願うほどに相手を好きでいたという事実が大切なんじゃないかという、そうした言葉がしみますね。そして、三人で友情の誓い。ただ願うだけでなく、一緒にこのしあわせが長く続くよう、努力していこうという、その気持ちの描かれるところが素敵だったなって思います。それはともすれば忘れがちなことで、特に相手がいて当たり前になった瞬間に、その人とともにあれることへの感謝やしあわせと思う気持ちの軽んぜられてしまう、そうした話はよく聞きます。だからこそ、言葉にして誓う意味もあるのかな。その誓いは、その時だけの誓いではなく、常の日、いつも心のどこかに大切にしまわれてないといけないものなのだな。そんなこと思わせる、三人の姿、最終回でありました。

  • 『まんがタウン』第12巻第6号(2011年6月号)

2011年5月5日木曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年6月号

『まんがタイムジャンボ』2011年6月号、一昨日の続きです。

『桜乃さん迷走中!』、味わい深いスタートです。お母さんを安心させるため、仕事は順調と嘘をつく。けど、状況わかってる大江さんからしたらおかしくてしかたなくって、とはいうものの、ここはやっぱりちゃんと説明して帰るべきだと思うんだ。というのはいいとして、面接ですよ、面接。実際、こういう状況に陥ったら、どうやって倒産を説明したらよいのだろう。小さい会社、企業だと、特にこういう夜逃げ同前の倒産だと、どうもこうも証明できないような気がしますよね。などなど考えて、ほんと不況っていやだなあ。でも、バイトでもなんとか決まったというのはよかったなって思います。けど、ずっとバイトでがんばるって漫画ではないような気がするんですね。きっと、転職していくんだろうなあ。

『はなな大増刷』は、けがしたはななを送って先生が叔母さんと出会う、そんな話。ええ、きっと先輩、後輩に違いない、そういってましたが、まさにそうでしたね。対面、けれど郁子ちゃん、パックなんてしてたから、すぐにそうとはわからない。まずは先生の落としたネームから。そして、先輩、後輩と気付いて、ああいい場面でした。すっかり大人になってる、成長もしました、けど変わらないところもあるんです。懐かしく思い出すこともあり、ええ、ほんとにいい場面でした。そして制服。あれは面白い。ほんと、仲良いふたり。素敵なエピソードでした。

『すいーとプロミス』、姉はべた惚れ、妹はツンデレ、そんな漫画であるわけですが、主人公光介の姉を選ぶか妹を選ぶか、それまでの気持ちのいったりきたりを楽しみたい、そう思っていたところ、ええっ、光介のお母さん、日本に戻ってくるんだ! これは晴天の霹靂。はたしてこれで収束に向かうのか、あるいはこの状況でまだ同居を続けるとなるのか。もしかしたら終わってしまうかもと不安ぶくみでありますが、ここからなお続けば素晴しいな、そう思っています。

『交換留学生ルーシー!!』、変わらずいい感じです。今回は写真についてのもろもろで、なんとルーシーはカメラが怖いのか。ベタな迷信、けれど悪魔がいうと信憑性があがる感じでありますね。そして、突然カメラ向けられても、ちゃんとポーズを決められる光希が素晴しい。しかし、明日磨と一緒の写真を取りたいのに、それを言い出せないとかね、気が強い、いいたいこといえる、そんな風に見せて、全然そうじゃないってところがいいなって思うんですね。最初はカメラを怖がってたルーシーも最後には慣れて、みんなと一緒の写真を残せて、こういう、思い出づくりじゃないですけど、なかよしの記録みたいな話ね、いいなって思ったんですね。ほんと、ルーシーがすごくいい子で、この漫画、大好きです。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第6号(2011年6月号)

2011年5月4日水曜日

放浪息子

 今日はいろいろをお休みして、一日『放浪息子』を読んで終わったという感じでした。最初は一冊だけ、2巻ですね、読んで終わるつもりだったんですけど、もう一冊もう一冊と重ねてしまいまして、結局11巻、現在出ている最新の巻ですね、まで読んでしまったのでした。しかし、面白いです。アニメから入った私ですが、あれって結構大胆にアレンジされてるんだ。いや、大きな改変があるとは聞いていたんです。でも、その改変って、この、彼ら、彼女らの物語を、12回という限定された時間内で展開しまとめるには必要なものだったんだ、そう思える、非常に納得性の高いものであったんだとも理解して、アニメの制作者たちは、『放浪息子』という物語を前に、臆せず立ち向かったんだなあ、そんな気持ちになったのですね。

さて、そんな原作『放浪息子』。これは、やっぱりすごいものだなって思いました。登場人物はたくさんあって、メインこそは女の子になりたい男の子、二鳥修一と、男の子になりたい女の子、高槻よしの。ふたりがメインであるのですが、このふたりで物語は完結せず、姉弟、友人それぞれの気持ち、思っていること、そして彼らの経験する出来事、丁寧に描かれるのですね。『放浪息子』という物語、それを生きているのは二鳥修一で高槻よしのであるけれど、この漫画の登場人物ひとりひとりが間違いなく自分の物語を生きている。そうした存在感をしっかり持っていて、その総体が『放浪息子』であるのだと思える。それこそストーリーを動かすための機能として用意された、そんな人はひとりもいないんだ。みんながみんな、大事な人なんだ、たとえ私がその人のこと好きになれないのだとしても、そう思わせる力を持って、私の前にぐーっと立ち上がってくるのですね。

アニメ『放浪息子』を見た時の感想に、これは、ここに描かれた時間、それだけの物語なのではなく、描かれる前の時間、そこにも彼らは生きて、暮らして、多くを思ってきたし、そしてこの後の時間、これからの時間にも彼らは生きて、暮らして、多くを思っていくんだろうな。そうしたものがあったんですね。そう思ったのは、原作が小学生の頃からの彼らを描いて、そしてまだ完結していない、そうした知識もあったからなのかも知れない。けれど、原作を読んで私は、やっぱりその思いを強くして、そう、私が誰かと出会って、その人のことを知っていくとき、この人には私と出会うまでに生きてきた時間があったんだな、その知らない頃の出来事、それに思いを馳せる、そんな感覚に似ている。私はそれについて知りたいし、けれどその経験をともにすることはできなくて、だからせめて今、ともにいる間のことだけでも一緒に経験していきたい。そんな気持ち、そんな思いがする物語、それが『放浪息子』でした。

『放浪息子』の面白いのは、女装少年や男装女子、異性装主人公の物語だからではなくて、自分はいったいどのようにありたいのだろう、それに思い悩んでいる人たちの物語だからなのだとも思います。私はたまたま、男としての自分を否定したかった、女として生まれたかった、そう思っていた時期があったものだから、ことさらににとりんやマコちゃんに感情移入するのだろうけど、でも、そうありたいと思う理想的自分と現実の自分のギャップに苦しんだ人は多いはず。いや、そうした苦しみを感じたことのないという人はいないんじゃないでしょうか。なんで自分はああなれないんだろう。なんであのポジションにいるのが自分ではないのだろう。なんで自分はこんなにも生きづらいんだろう。そうした思いを、まさに『放浪息子』の彼ら彼女らは抱いていて、思って、悩んで、苦しんで、ぶつかりあって、だからこそこれを読む私の心は忙しくなって、時に息苦しくなって、けれど愛さずにはおられない、そんな気持ちになるのだと思います。

『放浪息子』、おまけの作者身辺記も含めて読んで、私は、本当ははみだしものの癖して、妙に分別臭く考えて、分別くさく生きてきた。つまらない生きかたしてきたもんだなって思って、なんだか溜息つきたくなるような、アンニュイな気分になってしまって、人は自分の人生を生きるのに、それこそもっと子供っぽく、自分が、自分を、といった気持ちを押し出した方がいいんじゃないかな。そんなこと思ってた。そしたら、表紙の『放浪息子』というタイトルを見た母に、お前のことかと笑われて、ああ、彼らのような頃に充分に放浪しなかった私は、今もなお放浪していますよと、言葉にはしなかったけれど、答えたのでありました。

『放浪息子』、この物語はまだ終わっていないけれど、だからこそ、皆がしあわせになってくれたらいいな。そうした気持ちでいます。

  • 志村貴子『放浪息子』第1巻 (ビームコミックス) 東京:エンターブレイン,2003年。
  • 志村貴子『放浪息子』第2巻 (ビームコミックス) 東京:エンターブレイン,2004年。
  • 志村貴子『放浪息子』第3巻 (ビームコミックス) 東京:エンターブレイン,2004年。
  • 志村貴子『放浪息子』第4巻 (ビームコミックス) 東京:エンターブレイン,2005年。
  • 志村貴子『放浪息子』第5巻 (ビームコミックス) 東京:エンターブレイン,2006年。
  • 志村貴子『放浪息子』第6巻 (ビームコミックス) 東京:エンターブレイン,2007年。
  • 志村貴子『放浪息子』第7巻 (ビームコミックス) 東京:エンターブレイン,2007年。
  • 志村貴子『放浪息子』第8巻 (ビームコミックス) 東京:エンターブレイン,2008年。
  • 志村貴子『放浪息子』第9巻 (ビームコミックス) 東京:エンターブレイン,2009年。
  • 志村貴子『放浪息子』第10巻 (ビームコミックス) 東京:エンターブレイン,2010年。
  • 志村貴子『放浪息子』第11巻 (ビームコミックス) 東京:エンターブレイン,2010年。
  • 以下続刊

Blu-ray

DVD

CD

2011年5月3日火曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年6月号

『まんがタイムジャンボ』2011年6月号、発売されています。表紙のテーマはパンダみたいですね。って、なんか珍しいな。というわけで、『じょしもん』美々はパンダの帽子をかぶって、『桜乃さん迷走中!』はパンダの着ぐるみ、というか、パジャマなのかな? ぬいぐるみを抱いているのは『レーカン!』天海さん。『おねがい朝倉さん』は、子パンダなのか? じたばたしているのを抱きかかえています。

『うち楽。 — 天野さんちの4姉妹』、師走冬子の新作、ゲストです。4姉妹もの。長女から花鳥風月になっていて、長女花美は養護教諭、次女鳥美はニートで、三女風美は女子高生。四女月美は小学4年生であります。初回はニンジンの話。いちごのおまけにつられて、家族全員嫌いだというのに、ニンジンを買ってしまった風美。ニンジンを姉妹ひとりひとりに押し付けようとしてる? あるいはどうやって消費しようと知恵をつのる、そのやりとりでもってキャラクターの紹介をしていくのでありますね。しかし、みなわりとまともそう。って、ひとりニートとかいるんだけど! って、けど師走漫画にしては、皆おとなしめに思える布陣でありました。もしかしたら、ものすごいものを隠してるのかも知れませんね。

『炊飯器少女コメコ』、ゲストです。ひとり暮らしする学生、吉行尊のもとに実家から送られてきたのは炊飯器。ただこれがちょっと特別、可愛い女の子の形で嬉しいですね? って、おいおい、こんなの送られてきたら、米炊く以外の用途に使っちゃいそうだよ。これ、人の姿をしているだけでなく、ある程度の自律性も持っているようで、けどそうした人のかたちをしたモノの、頭が開いて炊飯器になるというのね、見ために非常に問題ある感じ。もっとロボロボしかったらいいんだろうけど、ここまで人に近い姿してると、やっぱり炊飯器としての運用には支障がありそうで、という以前の問題として、ちゃんと機能してないよな……。なんともいえぬ漫画です。

『先生だって嘘をつく。』、ゲストです。女子校で働くこととなった新任教員大神。採用の理由にモテそうにないというのがあって、同僚と一緒に傷付いたりしてるんですが、それってつまり、生徒とつきあうとか、完全に御法度で、もしそんなことになったら解雇よ。そういう状況であるみたいですね。ということで、2日前からつきあうことになった彼の恋人、その子がなんと担任することになったクラスにいた! 大神の明日はどっちだ!? どうやら、そういう展開みたいですね。最初、その彼女さん、高村さんが先生をハメたりしたのかな、なんて思ったんですが、どうもそうではない模様。この子も一緒に焦ってる、そんな風であります。ベタといえばそうかも知れないこのシチュエーション。けど面白そうだななんて思います。

『花の任侠物語』、ゲストです。由神組の一人娘、静がヒロイン。ずっと学校に通えなかった。そんな女の子。小学校をスキップし、中学校もスキップし、高校からはじまる憧れの学園生活。いえね、病弱とかそういうのではなく、家の事情が理由。他の組との抗争やらなんやら、危険だからおいそれと外には出られなかった、なんていうんですね。そんなわけで、世間一般の常識を知らずに育ってしまった任侠系箱入り娘の静。彼女の、おそらくは非常にずれてしまった学園生活。次回にはいよいよそれが描かれるんじゃないか、そんな期待がなされます。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第6号(2011年6月号)

2011年5月2日月曜日

『まんがホーム』2011年6月号

『まんがホーム』2011年6月号、発売されました。6月号、季節先取りですね。表紙には傘やあじさいが見てとれて、ちょっと梅雨の風景? 『らいか・デイズ』をメインに、『そよ風そよさん』、『夫婦な生活』、『椿さん』、『うさぎのーと』のカットが表紙を飾っています。椿さんの傘は、いつもより多めに回してるっぽいんですが、あれ、あじさいとかてるてるぼうずとか、なんだか可愛いですね。

『紫乃先生〆切前!』は、なんと、清野さん、知ってたんだ。紫乃先生が別名義でエロ小説書いてる。でも、このこと、意外に知られちゃってるというか、かまかけられて漏らしはしないものの、態度でばればれになってるとか、ほんと、隠し事に向かない人だな、そんな話です。けど、紫乃さん、外の人に対してはこうだけど、弟和泉に対してだったら、しれっと平気で嘘をつきとおせるんだろうな。そんな風に思えてならないんですね。しかし、清野さん。なかなかにいう人ですね。ほんと、おそろしい。

『センセイあのね?』、なんと、つぐみさんばればれなんじゃないですか。つぐみの反応を面白がって見ていたマリだけど、そのマリの反応もまた薫子に面白がられてという、こういうの見ても、三人の関係、よいものになっていきそうなんじゃないかな。そう思えていい感じです。っていうか、薫子さん、友達いないって先生から心配されてたんだ。クールに見える人だけど、こういうのに悩みを感じたりしてたのかな。なんか可愛いなって思えます。そして、つぐみに対する薫子あらためルコの反応。わお、これはなんというの、素敵! ええ、面白い。これは見逃せない、これは期待してしまいます。

『恋に鳴る』。「カッコー カッコー」は青信号 「カッコー カッコー」は「進め」の合図ってのはいいんだけど、今回の話はつまり「行きはよいよい帰りはこわい」だったんじゃあないですか。でも、そうした状況にあったヒロインが、気持ちを改める、そんな展開はよかったですよ。でも、今回で一番よかったのは、ちょっとしたことで気持ちがつながった、そう思えて付き合うようになったのが、ちょっとしたことで気持ちが離れた、そう思えてしまって破局にいたってしまった。それは不幸なことなんだけど、そうやって気持ちが浮き沈みするっていうのがね、なんだかいいなって思ったんですね。失恋したいわけじゃないけれど、なにもない、穏かな日常を求めてる私が失ってる感情、それが描かれてるなって思ったんですね。

『腐女子主婦がゆく!』、これはなんかすごいぞ。青沼貴子の大告白。BLが好きだったのか。って、今となっては別に普通の告白とも思うんですが、いやしかしBLを描こうという、その道のりを描くっての、ほんと先が見えなくて、変に面白いと思ってしまいました。芳文社なら『花音』があるから、そっちに応援求めたりするのかな。最終的に、BL誌でデビューしてもできなくても、ネタになることは間違いない。そんな感じだから、無難といえば無難な企画かも知れません。申し訳ないのですが、私は青沼さんのBLはちょっと読みたいと思わないんですけど、どうせならそんな失礼なこと思ってる私が、まいりましたといってしまう、そんな結果が出たらいいななんて思ってます。

  • 『まんがホーム』第25巻第6号(2011年6月号)

引用

  • 山名沢湖「恋に鳴る」,『まんがホーム』第25巻第6号(2011年6月号),126頁。

2011年5月1日日曜日

もっかい!

 この漫画の第一回を見た時には、なんかこれすごいぞ、そう思ったものでしたっけね。絵柄の持つ雰囲気があまりに独特で、普通ならトーンあたりで処理しそうなところが、なんとハッチング、とはちょっと違うかな? 制服の襟とかがですね、カケアミではないんだけど、そんな風に表現されてまして、うわ、なんだか目がちかちかするよ! けど、なんか面白そう、そう思わせるものが確かにありまして、一発で気にいったのでした。ええ、最初は絵と雰囲気、そこにひかれたというのですね。

でも、ほどなくして内容にもがっちり引き込まれまして、優等生の衛と問題児の遊、ふたりの毎日のどたばた生活、それが面白くてですね、どんなことでも遊びの種にしようとする遊、新しい競技を考案して、それで問題おこして、先生に怒られて、みたいなパターンなのですが、いやあ、一味違えてきましたよね。遊のフォローばかりしている衛、そう思っていた、そういう見方がそもそもの早とちりだったんですよ。衛は確かにいい子で、常識的に振る舞う人であるのですけど、なんでもかんでも優秀なわけじゃなくて、優秀なのは体を使ったこと、運動とか競技ですね、ほぼそのあたりに限定されていて、じゃああとはというと、成績はあんまりよくないし、朝も起きられなかったりするしと、無条件にいい子ってわけじゃないんです。

じゃあ、遊はどうなのか。ええ、無条件に悪い子、問題児というわけじゃないんです。負けず嫌い、アイデアの王様、あんまり体が強いわけでもないのに妙にタフだったりして、そして意外にもすごく成績がいい。どうも根が真面目にできてるみたいで、できないことがあったら、ちゃんとできるように、なんどでも基礎からやる、そんな性格みたいなんですね。そうしたところ、あちこちに描かれていたんですが、一番わかりやすく描かれたのって、あの逆上がりの回でしたね。先生はむしろ懲罰的な気持ちで居残りを命じたのに、遊ちゃんものすごいやる気で、まず初日に先生を潰す。そして翌日、衛を潰す。あれは素晴しかった。遊ちゃんという人が、一体どういう人なのか。ものすごくよくわかる話でした。またその途中に描かれた、衛と遊の関係が誤解されるみたいなエピソードなんかもすごくおかしくて、いやもう大好きでしたね。

この漫画が好きな理由、それはなにより読んでいて楽しかった、ついつい引き込まれてしまう魅力があったからなのですが、それだけでなく、衛と遊の関係、それが本当に素敵だったというのも大きいのですね。身体能力に関しては天才的な冴えを見せる衛。けれどそれが常にいい結果を出すわけでなく、むしろやっかまれたり、嫌なことも少なくなかった。そうした思い出が衛の気持ちを縛ってたりもしたんですよね。けど、遊を相手にする時だけ、気兼ねなしに思いっきり遊べる。ぱっと見には、遊に迷惑かけられてばかりいる、そんな風に見える衛ですが、本当、彼女らは持ちつ持たれつなんだなって。互いに替えのきかない、そんな関係。実にベストフレンドというしかない、そんなふたりなんですね。普段は、仲良くにぎやかに騒いでる、そうした姿に、決して大げさにならない、そんな友情が沁み透っている。ええ、そうしたところがすごくよいなと思っていたのでした。

  • 4224『もっかい!』(まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。