2011年6月30日木曜日

『まんがタイムオリジナル』2011年8月号

『まんがタイムオリジナル』2011年8月号、先日の続きです。

『恋は地獄車』。冒頭から千歳がやたらめったら可愛いなあ。恋する乙女であるのですが、なんせ経験が乏しいものだから、あの姉に相談する。しかし、この姉、ひどいよな、来歴が。若いころから、どんだけ不憫なだろう。今つきあってる男はヒモで、どうしようもない男だけど、まだ殴ったりしそうにないだけましなんかもなあ。そんな風に思える不憫さです。しかし、これだけ男運に恵まれない姉にして、妹の恋心が理解できない。実際、後藤さん、どこがいいのかとかわからんものなあ。警戒心にしてもさ、過剰すぎる、どんだけ用心深いんだ、といった、そうした様子はナイスですけど、こういうのを見て、知って、それでも消えない千歳の恋心もすごいですよね。そして、もっとすごい高橋くん。後藤さんに真っ向対決して、これはなにか面白いことになってきた、そういわざるをえない展開です。いや、ほんと、高橋くん、いいわあ。

『お茶の間クエスト』は時事をとりいれて、けどゲームはやめない。いや、ほんと、これでいいんだと思うんだよ。無理しない範囲で、できる分を節約すればいい。そして明らかになる遊の所有ゲーム機。これはすごい、で、ちょっと羨ましい。全機種振り返りとか、マニアの楽しみでありますね。そして、いぶきとの勝負。これもゲーム機が次々変わっていってて、もうふたりともどんだけゲーム好きなのか。この完全にゲームで身を持ち崩すタイプのふたり。それがもう見ていてたまりません。

『社長サマは無計画』、終わってしまいましたね。最後は真琴ちゃんの就職について。成田がどうしても引き止めたい。そういった感じびしばしで、いやもう好きなんだろうなあ。社員全員で話して、経費削減して人件費捻出して、それでしっかり働く真琴の姿。実にいいなって思います。そして真琴も成田のことまんざらでもないのかな? 結局この顛末は、社長の趣味を満足させるものだったように感じますけど、みなが仲良く、しっかり働けてる、なんてところは理想の職場かも。そんな風に思えるんですね。

『深読みコミュ』は、SNSのコミュニティのエピソードを紹介する、といった体裁で、考えすぎて失敗する人たちを描いているんですね。地味な絵柄です。ちょっと無理矢理っぽいネタもあるけれど、考えすぎてどうやら誤ってしまったらしいバーテンとか、裏目に出るわんことか、そういうのは、なんだか気持ちがわかるようで面白い。で、SNSのコミュニティという設定は最後に回収されて、なるほど、考えすぎて黙り込んじゃうのか。ちょっと懐かしい、そんな印象もある漫画。最近の読者にうけるかどうかはわからないけど、こういうテイストもあって欲しいな。そう思います。

  • 『まんがタイムオリジナル』第30巻第8号(2011年8月号)

2011年6月29日水曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年8月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年8月号、昨日の続きです。

inote! — アイノテ!』、最終回でした。って、ああショック。結構好きだったんですよね。だから当然単行本も買うわけで、そうしたら京都大原三千院が舞台のモデルとあって、おお、そうなのか、いろいろ調べて、この漫画持って三千院にいくのも面白いなあと思っていた。だからこそこれは残念で、いや、ほんと、『inote!』好きだった、ここにはっきりといっておこうと思います。そして最終回。帰ってきた母に、アメリカにいこうといわれる。ななせ姉ちゃんもその気になって、でも、これからの展開が意外で、ああ、私もちえ同様に騙されていたのか。あの夜景。京都ですね。京都市内たって都会というにはちょっと規模が小さすぎる、そんな街なんですけど、お母さんのかつて抱いていた都会への憧れ、そしてちえの田舎への愛着、違っているのは面白く、けど今はお母さんも田舎のよさを思ってる。いい会話だったなって思ったのですね。大山鳴動して鼠一匹、そういった感じもある今回。けど、わいわいぎゃあぎゃあとにぎやかに騒がしく、けどあとにはいつも見知った友達、家族との語らいあって、このただ今あること、それが好きという感覚。それはすごく魅力だと思うのですよ。

『もこもこBOX』、扉のカッチがすごくいい。美少女なんだけど、本編四コマではこんな感じにかっちり美しく描かれること少なくて、けどたまにこうして頭身高めに描かれると、ああ、もう素晴しいですね。いや、おそろしいほどの美少女です。で、本編はシェプ先生の遅刻。けど、生徒たちは慣れっこなのか、各自ちゃんと行動するっていうのがいいですよね。それでシェプ先生、二度寝するんだ。ある種の達観を感じさせます。そして動物たちの世話。ああ、これはいいわ。鳥に懐かれるラビ。カッチも好かれてるんだけど、あのしっかりやれっていわれちゃうのね、それで慌てて掃除したり、ついには怒ったり。いや、ほんと、こういうのが好き。そしてキューちゃん池に落下。なるほど、前回のエピソードですよね。で、突然出てくる有名なネッシーのイメージ。あれは笑った。で、そして最後のコーラがオシャレになるっていうのを8コマ使って描く、ほんと見事でした。なんでもないことばかりなんだけど、ほんと、すごくよかったです。

『Felice』は玲亜の学校の文化祭に皆でいくというエピソード。着ぐるみに喜ぶ凜はいいなあ。あみぐるみにえらく反応するとかね、こういう気持ちがシンプルにストレートにあらわれるところ、すごくいいんですね。そして玲亜のクラス。友人にそそのかされて、うっふー…とか、慣れないことしてるとこ見られて、えらい恥じてしまって。ほんと、玲亜をかこむ友人たち、いいキャラクター。その関係もいいですよね。でも、灯里はそんな様子に嫉妬するのか。難しい娘です。そしてあみぐるみ。不器用な凜、あまりうまくできなかったけれど、それを交換しようという灯里、いらんこというけど、いい友達だなって思います。で、最後のページの友達と一緒の玲亜、対してクラスでやること、正直よくわかってないというふたり、なんという対照でしょう。いやほんと、なんかわびしくて、けどそれもまたよいふたりです。

ねこのひたいであそぶ』は冬の日。ああ、いいなあ、暑くなくて! 最初は苗と美紀ふたりのところに、綾音が合流。この寒さをしのごうという美紀の発案、そいつにやられて、ゼエゼエいってる苗に綾音がいい感じで、特に綾音。目がぐるぐる。その後、缶蹴りになだれこむんですけど、綾音の戦略。そして、ここで合流した羊子の戦略。それぞれ違って面白い。羊子、策士だなあ。この遊びの風景。もともとは暖をとるためだったけれど、それぞれ皆が知恵を出して楽しむ、またその途上で違うものに興味を持つ。そうした様子が本当にいいのですよ。楽しむ、そうしたことが本当によく描かれている。とてもよく伝わってくる。もうほんと、たまらないです。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第8号(2011年8月号)

引用

  • 門瀬粗「Felice」,『まんがタイムきららキャラット』第7巻第8号(2011年8月号),184頁。

2011年6月28日火曜日

『まんがタイムきららキャラット』2011年8月号

『まんがタイムきららキャラット』2011年8月号、発売されました。表紙は『Aチャンネル』、ユー子とるんちゃんですね。梅雨の風景でしょうか。突然の雨? 降られて濡れてしまったるんちゃんをユー子が傘の下に誘った、そんな風景みたいです。しかし、なにかふたりとも不思議と大人びて見えて、とりわけユー子さん、いいお姉さんだなあと思う、そんな表情なのですね。

で、今回も付録がついていまして、それは眼鏡ふきなんですが、いやしかし、なんで眼鏡ふき? 実用品なのは悪くなさそうだけど、皆が皆、眼鏡かけてるわけじゃないしなあ。なんて思ってたら、わお、眼鏡ふきのイラストが眼鏡ときたか! とまあ、これはなかなかよいものではないかな? いや、まあ、私はこれを実用に供することはないでしょうから、実質イラストですよね、イラストです。

Aチャンネル』は前回に引き続き、上級生組が出会ったころの話。前回は受験、今回は入学からの数日といったところですね。ナギがメイン、彼女から見た状況が描かれている、そんな風なのですが、冒頭にて明かされる彼女の靴下の出どころ。おおう、これは驚きました。まさか、こんなだったとは。しかし、このまだ相手のことを知らない時期の話、結構酷い判定くだしたりしてるのね、なかなかにシビアで辛辣で、そしてユー子の笑顔に陥落する眼鏡ふたり&その他。面白い。この新鮮さ。魅力をいや増していますよね。ナギのつっこみに関する感想、トオルに対する誤解などもいやほんと、これはすごく面白かった。過去を振り返りつつも、はじまっていく、そんな瑞々しさに溢れた回でありました。

『セカイ魔王』は、なんだかいよいよ物悲しくなってきた、そんな状況がナイスですよ。魔物が共食いすることでレベルアップするとわかった。それは遅々としたものだけれど、勇者のレベルアップはそれにさえ追い付かないときて……。で、前の魔王の頃の生き残りもあらわれて、わりとまともそうなのがいるかと思えば、なんともいえないのもいるようで、そうか、基本的にヘンタイなのか……。ほんと、これはいかに新魔王に気苦労を負わせようか、そうした漫画になってきてますね。いや、ほんと、それで面白いのだから、ほんと魔王様、わびしいです。

『ひなりな』、ゲストです。新入生白河陽菜は、いとこの白河梨菜のことが大好きで、新入生代表の挨拶で、手を出すなと釘をさす、そんな始末。かくして、陽菜は梨菜のまわりにいる人間に嫉妬したり敵視したり、具体的にはすみれに対してなんですけど、ほんと、常軌を逸した好き具合。そんな陽菜にも友達といえそうな人ができそうなんですけど、陽菜本人は梨菜だけが重要で、けれど梨菜はそんな陽菜のことおかまいなしで、普通に皆に平等にふるまって。こうした過剰な気持ちを受け入れつつも、決して受け付けてるわけじゃないといったすれ違い。ここに重点がきそうな感じです。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第7巻第8号(2011年8月号)

2011年6月27日月曜日

『まんがタイムオリジナル』2011年8月号

『まんがタイムオリジナル』2011年8月号、発売されました。表紙、メインは『ラディカル・ホスピタル』から山下さん。驚きの表情。なんと、しっとり色っぽいお姉さんですよ。浴衣、手には金魚の柄のうちわを持って、一方の手を耳の後ろ、髪をそっとなおす、その仕草が魅力的。これは、まさに山下ナースの新境地、そう思わせるなにかがありますね。他には『よゆう酌々』の女将さん。『満開!Sister』のふたり、そして『らいか・デイズ』らいか。皆それぞれに浴衣を着て、そのどれもが違って魅力的。あ、そうそう。右下には水たらいに足つっこんですいか食べてる榊医師と、どこかで見たような猫のカットもございます。

『よゆう酌々』、面白いですね。戸田さんが引き抜かれる。いなくなってしまうかも知れない。そんな状況にいろいろを思って、けれど決して言葉に出さない、いや出せないのか、女将の煩悶する様子。ちょこちょこ話を振ってみたりして、様子をうかがったりして、ちゃらんぽらんな人だけど、決していい加減ってわけでもないのな。意外といったら失礼だけど、ちょっと意外でした。で、戸田さんの置かれた状況っていうのも。この漫画の面白いのは、こういう人の思惑が、こそっと気の利いた描かれかたする、そこだなって思わされるできでした。

『ゲンセンカラン』、ゲスト3回目です。元気な新人仲居からんのどたばた仕事もの。元気でダイナミック、ちょっと無茶なからんの活躍というか、やりすぎというか、そうした仕事ぶりも面白いんですけど、この彼女が他の仲居と一緒に働く、その様子がすごくよかったんですね。他の仲居、それは空手黒帯美人代表の綾さんだけじゃなくって、名前のわからないお姉さん仲居たちもそう。あの、からんのこと怒ったり、けど仲が悪いわけでもなかったり、このべたべたもせず、けどわきあいあいと打ち解けて、こういう感じがすごく気にいっていたのですよ。でも、『ゲンセンカラン』はこれで終わりみたい。次回から新作ということですが、ああー、それは残念。けど、その新作、期待しないではおられませんね。

『球場のシンデレラ』、やっぱこれ面白いですよ。最終回。もしかしたらこれで女子野球リーグがなくなっちゃうかも、そんな危機的状況で、いつにもなく頑張る選手たち、っていうんですが、やっぱりあちこちで肩の力抜けてるというか、肩からがっかりというか、そういう状況ちらほら描かれて、いや、もう面白いんですね。ネタはコンパクトに、しかししっかり当ててくる。繰り返しで見せる、そんなやり方も見事で、やっぱりこの人は漫画巧者だなと思わせられるのですね。単行本は出るらしい。それは嬉しい。ほんと、長く読めたら、また違ったものが楽しめたろう。そう思うのですが、これくらいコンパクトで、しっかり面白いと思える、そういうのもいいのかも知れません。

『ハコぺけ』、いよいよ面白いですよ。いつもの4人で、友人の劇団の公演を見にいくっていう話。わあ、私服、可愛いな。っていうのはいいとして、いえね、以前知人が所属している劇団の公演見にいったこと思い出しましたよ。いや、ほんとにこんな感じなの。怪しい階段とか、確かにこんな感じなの。で、ちょっと狭めの箱、あれもそんな感じなの。いいわ、なんか、身にひしひしとらしさがせまってくる感じ。チラシを見ている睦を、後方から見下ろす構図など、こういうのもらしさに貢献してると思うのですが、地味にいろいろ、細部とか凝ってますよね。いや、しかし面白かった。演劇のらしさというのもそうだけど、どこまで真面目でどこまで冗談なのかわからない団員たち。てんこさんのつっこみ。そういうのも好きなんですね。

  • 『まんがタイムオリジナル』第30巻第8号(2011年8月号)

2011年6月26日日曜日

『まんがタイムきららフォワード』2011年8月号

『まんがタイムきららフォワード』2011年8月号、一昨日の続きです。

『ハナレビの楽園』。秋桜と桜子を邪魔したふたり、アンジュとキョウカですが、なにか裏切りの約束のといっている。過去にちょっとした事件でもあったこと伺えますね。その事件がきっかけで互いに不信でも抱くことになったというのか? 読み進めれば、キョウカがハナレビを怖れていることがわかる。そしてアンジュはそんなキョウカとの約束を守ることで、関係を改善しようと思っている。そんな感じですね。けど、これ、変に妨害工作とかしなかったほうが、スムーズにことが運んでいたんじゃないか? なんてこと思うのですが、そんなこといったってしかたがない。希望を失おうとしているキョウカ、とりかえしがつかなくなる、その前にアンジュは彼女のもとにたどりつけるのか。なかなかに心配させられる、そしてその発端となったできごとに興味がそそられる展開です。

『聖アベリア女学院』は驚いた。学院生の3分の1が男の子だというこの学園。これまで誰がそうであるか明かされずにきたのが、ついにひとり明らかになったのですね。しかしタイミングもそうなら、その男の子であった生徒も意外で、けれど彼女は自分が男だと気付いていない。思いもかけず秘密にされていない秘密を知ってしまったふたり、常夏と椿の緊張感。そして、椿の思いが語られて、おお、これは結果オーライでいいのか? いや、そんな簡単じゃないよな。でも、なにかこのふたりならよかった、そう思わされるものでした。で、常夏ですよね。自分自身の欲望に気付いてしまった。はたしてその恥ずかしい欲望のゆくえはどうなるのか。なんというのかな、撫子が男であるという期待は裏切られつつも、恋愛をするという希望は叶えられたりするといいな。といった具合に、自分の恥ずかし欲望に気付いてしまいました……。

少女素数』は、前回に描かれたこと、すみれの気持ちの動き出したことをもって、それがなにをもたらしたか。それがまさに描かれようとしているのですが、いえね、すみれにとっては大きな変化であった、そうは思ったけれど、他の皆からすれば、気付くだろうかどうだろうか、そういうレベルにとどまるものじゃないかと思っていたのです。いやあ、違いましたね。大きく、波紋を投げかける、状況を一転させてしまう強烈な変化であったのだと理解させられる、そんな回となって、いつになくアクティブなすみれ。そして、そんな彼女の変化に戸惑うぱっクンと危機感を抱く有美ちゃん。ああ、これはかなり物語が動く、それも誰もが予期しなかったような動きをするんじゃないか。そんな予感がさせられます。

2011年6月25日土曜日

Baby, taken with GR DIGITAL

Baby気付けば、もう月末ですね。というわけで、GR BLOGのトラックバック企画。今月は「輝き」がテーマであります。というわけで、なにか輝きを感じさせる写真はないものか。ざっとこれまで撮った写真を振り返ってみたところ、あ、これはいいんじゃないかと思えるものがありまして、ええ、子供の写真です。

生まれてすぐくらいの子供は、なにか感情があって、笑ったり泣いたりしているわけじゃないとは聞きますが、けれど実際笑っている、そんな顔を見れば、なにか嬉しさが込み上げてくるようで、ああ、これが親なら格別なのであろうなあ、そんな気になったのですね。

というわけで、ベタながら輝きに子供の笑い顔、それからなんか面白いのを選んでみました。

Baby

Baby face

2011年6月24日金曜日

『まんがタイムきららフォワード』2011年8月号

 『まんがタイムきららフォワード』2011年8月号、発売されました。表紙は『夢喰いメリー』から、メリー、勇魚のふたりですね。お祭りの風景? ふたりともに浴衣着ていて、しっとり勇魚さんに対して、やっぱりなんかおきゃんなメリーさん。ああ、メリーさん可愛いな。メリーさんは手にチョコバナナ、勇魚さんは夢魔柄うちわ持っていて、で、あの袋に入ってるのはリアルてるてるこけしか。なんともいえんキャラクターです。

『トランジスタティーセット — 電気街路図』。もしかして終わっちまうんじゃないか、そんな気にさえさせたこれまでの展開、一段落がつきましたね。みどりの父親に、商店街に人を呼び込むといっちゃったすずたち。で、メイドがおしえる電子工作教室などなど催しもの企画して、人をいっぱい呼び込んで、ほんと、こんな光景見たことない! しかし、これだけ人を呼び込めた理由というもの、じーさんたちの力が大きかったというの、それがしみじみ語られる、すずの内心ですよね、あれがとてもよかった。そして、みどりの父の顛末、わお、驚いた。これはデウス・エクス・マーキナの一バリエーションでありますよ。けど、みどりの父に関してはこれでよかったのかも知れません。この商店街の賑やかし、そしてすずたちの気持ちに兆すもの、それさえ描かれたならもう充分。あっさり、すぱっと解決する、それがむしろテーマをくっきりさせて、よかったといえましょう。

夢喰いメリー』は前回とは打って変わって、おだやかな日常に回帰した、そんな雰囲気。メリーと勇魚と夢路と、三人の買い物帰りの状況。ドーナツを食べて喜ぶメリーは可愛くて、またグリッチョカップのために本気を出した夢路をいさめる勇魚、このふたりの様子も微笑ましくて、このなんでもない日々の情景が、すごく効果的であるというのですね。夢魔との戦いとの落差のすごさ。なんでもないこと、ただ皆がいて、日々を安らいで過ごすこと、そのしあわせがしんしんと伝わるがようなのですね。

で、これがどうも大きく意味ある回らしいのですね。勇魚と夢路の思い出。ジャングルジムからの落下事故。助けた夢路。けれどその記憶がないという、そこにどうもメリーがからんでくるのは確実で、もしかしたらこの一件がメリーの器を必要とせずに現に顕現している、そのきっかけに? など、いろいろ思わされてしまうんですね。

『ハナヤマタ』は、オサゲさん、なるがよっぽどハナのアプローチ苦手にしてるんだってことわかる話で、いや、ちょっとあの追いかけっこは楽しかったです。ハナのね、えらいことオサゲさんのこと気にいってるっていうのがわかる、そんな表情、描写の数々、それがほんとによかった。けれど、いずれなるはハナの熱意に負けて、YOSAKOIやることになるのだろう。そう思っていたのですが、今回を見るかぎり、その日がくるのはまだ遠く、その前になにかひとつの山が描かれそう、そんな感じであります。そしてなるのモノローグ。変わりたいという気持ちはある。けれど変わらないことに安心する。そうした気持ちの描かれように、なにか自分の思ってきたことが重なるように感じて、なんか目が離せない、そんな風になりそうな感じです。

2011年6月23日木曜日

『まんがタイムスペシャル』2011年8月号

『まんがタイムスペシャル』2011年8月号、昨日の続きです。

夏乃ごーいんぐ!』、なんと、最終回でした。驚きました。けど、これだけ長くやってきたのだから、ああ、もう充分なのだろうなあ。感慨がないわけではないけれど、悲しく思ったりすることはありませんでした。思えば、『夏乃ごーいんぐ!』がたかの宗美初遭遇でした。おお、面白い。そう思って、『まんがタウン』を買うことになった。もう、そんなことも懐かしいですね。何年になるんだろう。読んでいけば、ちょっとずつ変化してきてたんだろうけど、基本の線は変わらない。その変わらなさが力であったな。そう思うのですね。最終回も、ちょっと一色添えながらも、これまでに展開してきたネタを駄目押ししたという感じで、ああ、やっぱり変わらずの『夏乃ごーいんぐ!』。大変よかった、そう思ったのでした。

『だんつま』、いいですね。今回は皆でお買い物、なんですけど、誘われなくてすねるユキさん。いや、もう最高ですよ。メールに気付かないとか、またその理由も、なんて切ないのだろう。でも、プライドと寂しさの狭間に揺れるユキさんの一挙手一投足、それが可愛いなあ。ほんと、ユキさん大好きです。で、バーゲンの風景。皆それぞれに抱いた熱意。シャツが全滅してたり、楽を追求してたり、もう、この極端さが素晴しい。でも最高度におかしいのは、家事マニアだと思う。手がかかるほど嬉しいって、ほんと、いい夫婦関係だなあと思わされるというものですよ。そして鼻血が出そう。誤解されてしまったわけですけど、その誤解がとけないっていうのは面白く、そして冒頭の風景に戻るっていうんですね。いや、もう、ユキさんは最高だと思います。

『放課後エア部』、この漫画、すごく気にいっています。アイドルに恋する女の子。こだまの叶わぬ夢と、ちょっと失敬な発言。はまあいいとして、ひかりの意外な趣味とか、そしてのぞみのクールなのかなんのかわからない、不思議ポジション。この、皆がそれぞれに歩調あわせず、自分の好きをいいあって、それで成立しそうに思わせて、って思わないよね、誰も。その、わかってる状況をあえて無視して、まずはのってみるっていう、そうした落ち、すごくよかったです。

『強風記』、いよいよ味わい深くなってきています。白鳥が死んだがために、烏山は彼の存在に付き纏われることになってしまって、ほんと、それからの様子、大変素晴しい。一度やってみたかった宿に逗留っての、そのためにせっかく温泉地にまでいってるのに、忘れたいと思うほどに思い出される白鳥のこと。ああ、この男にとって、白鳥は目の上のたんこぶで、それはつまり、意識しないではおられん、そんな存在だったっていうことで、しかしその男が死んでしまったことで、永遠に見返せなくなってしまって、ああ、これはある種の悲劇であるのかもなあ。なんのかんのいいつつも、烏山は白鳥のこと、気にかけてたんじゃないか、一種のファンであったといってもいいのではないか。そんな様子が感じられて、けれどそれをこの男が認めることはないのだろうな。鬱屈した精神に出口はまったく用意されていないという、その様が実によいと思います。

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第8号(2011年8月号)

引用

  • 渡辺志保梨「だんつま」,『まんがタイムスペシャル』第20巻第8号(2011年8月号),124頁。

2011年6月22日水曜日

『まんがタイムスペシャル』2011年8月号

『まんがタイムスペシャル』2011年8月号、発売されました。表紙は、おおう、これ素晴しいですね。『恋愛ラボ』。リコとマキの表紙なのですが、浴衣、リコはリンゴあめ、マキはうちわを持っていて、どきっとするよ夏。ええ、まさにどきっとさせられる、そんな魅力に満ちた表紙であると思わされます。しかし、ほんと、『スペシャル』は異色の表紙になりました。けど、この特別な感じはいいですね。ええと、それと、今月は『じょしもん』がゲストで掲載です。

『パンむすめ』、これはいいですね。カレーパンを試作しようという、その現場に踏み込んだ山本少年。なるほど、カレーとパンのバリエーション、そいつをいろいろ語っちゃおうという話なのか、そう思ったら、おお、このラストは素晴しい。優等生の少年の、本当にやりたいこと。それにぱっと光があたった、そんな話なんですけど、その少年の自分でもそうと意識していなかった気持ちが明らかになる。その流れ、その様子が大変よかった。あの、ずるずるとへたり込みながら自分の意思をはっきりと表明する。あの描写にいたっては、素晴しいの一言です。

『スーパーメイドちるみさん』もよかった。紅林のお嬢様。なにをするにしても思い付き、って感じで、料理を学びたいっていう。その理由は酷いけど、ほんと、この人は大樹にさえモテればいいんだから、だったらメイドじゃなくてナースだよな。で、わがまま気まぐれクッキング。どうしようもねえなあ、と思うんですが、こうしたところを露にするの、それだけちゆりのこと、身近に思ってるんでしょうね。で、バッドタイミング、…何で…よりによってケーキなのか…。これからの麗子の気持ち、表情の描かれかた、それが本当に見事で、ああ、ほんと素晴しかった。で、大樹なんですが、なんのかんのいってもいい奴だよなあ。実にそう思わされます。これでどうしてモテないの? というのはいいとして、このふたりの関係、どうにも好きなんですよね。

『シュガービーチ』は扉に女王様化した湊があって、部長? なんと、湊が部長を追い落としてしまうのか? そう思ったら、なんと切ない話でしょう。外部から見たビーチバレー部、そこには湊の存在が悲しいほどに意識されておらず、というか、人数にさえ入っていない。それで、個性を出そうっていうんですけど、あの変わり水着の数々、あれは湊当人の発案じゃないのんか。こういう、自分はやりたくないけど、人にやらすのならまあいいか、みたいなのね、そういう意識が透けて見えるのが面白いんですね。でもって湊のイメチェン。いや、私は好きだよ。私はすごくいいと思った。けど地味なのか。で、エミの妄想。これ、いいよ。そういえばこの人は以前からこうでした。ええ、そうでしたよね。

『シュガービーチ』は8月に単行本が発売されるそうですね。それで、また、彼女らのこれまで、それを見返せるというの、すごく楽しみですよ。ええ、それで今回の湊の顛末。ああ、切ない! けど、これが実に『シュガービーチ』らしいと思います。

『少女カフェ』、前回の話を受けてお出かけですね。双子とお父さん、そして常連の皆、葉月さん、宮嶋さん、みのりちゃんです。遊園地にいって、いきなり離脱の葉月さん。で、次いでお父さんが離脱。ああ、そうだろうなあ。やっぱりそろそろきついですよね。思えば私も子供のころ、遊園地で父をこうして隠居させていました。ええ、なにか懐かしく思い出させるものがありましたよ。今回は、みのりちゃんとお父さんのデート、そう思わせて、実はやっぱり葉月さんとの話がメインだったように感じて、いえ、ふたりの仲が進展したりとか、そういうわけではないんですけどね。でも、葉月さんの感傷。そしてやっぱり大人であるお父さん。ふたりの会話はなにかしみじみと思わせるものがありますね。そしてつくしのいう、お父さんの気持ちについて、揺らぎなく信じている、そんな様子。これはすごくいい笑顔で、いいお嬢さんだなって思うんです。けれど、いつかお父さんにとっての重荷になったりするのかな。お母さんのことを思いながら、他に愛を向ける、そうしたこと、許す許さない、そんな展開もあるのかな、なんて思ってしまいます。

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第8号(2011年8月号)

引用

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第8号(2011年8月号),表紙。
  • 師走冬子「スーパーメイドちるみさん,同前,24頁。

2011年6月21日火曜日

Aチャンネル おりじなるさうんどとらっく

 本当は明日発売なのだけれど、今日買えちゃったので、ごめんなさい。『Aチャンネル おりじなるさうんどとらっく』。ジャケットのトオルさんがクールでポップで、可愛いくかつかっこよくて、実にいい感じ。で、添えられている台詞、これがまたいいですね。帯にはるんちゃんもいて、ちょっとしたところにサービスといいますか、ワンポイントといいますか、気の利いた仕掛けがあるって感じ。そうそう、仕掛けといえば、タイトルもすごいですよね。全部 a の文字からはじまっていて、わあ、これは徹底してる。全42トラック。Op.、Ed.除けば40トラック。これらがすべて a はじまりなのですね。

というわけで、42トラック。およそ1時間という充実のサントラであります。これだけ曲数があって1時間、ということはつまり1曲1曲は短いってことで、どれも2分に満たない。短いものだと26秒とかですね。長くても1分57秒。けれど聴いてみれば、短いというそんな印象は薄いんですね。多彩な曲調、ああ、確かに聴いた、というものがあれば、あれー、これどこで使われてたんだろう、そう思うものもあって、こういうのはどんなサントラでも一緒でしょう。で、その短いけれど短さを感じさせない曲たち、どれもですね印象的。これという個性、雰囲気を持って、ぱっと飛び込んでくるかのようなのですね。ああ、なるほど、そう思うわけですよ。曲は短くっても、はっとさせる魅力を一点押し出してくるような曲は、その存在感でもって、しっかり記憶にも残れば、充分に聴かせてくれるのだなって。いや、ほんと、明るい楽しい曲も、ぐっと胸に迫る曲も、どれも実によく引き込んでくれるのですね。

さて、ライナーノートには作曲者のコメントがありまして、神前暁、石濱翔、高田龍一、帆足圭吾各氏、4名ですね。どの曲を誰が作曲したかはちょっとわからないのですが、コメントにあるアコースティックとか、ギターとか、そういうのから、これかな、あれかな、予想するのが面白かったです。そして、Op.、Ed.を作曲された神前暁氏は、BGMじゃなく主題歌についてのコメントで、これは主題歌シングル『Morning Arch』にはなかった情報だから、サントラ買ってちょっと得した気分になったりしましてね、で、このサントラ、演奏家のクレジットもちゃんと入っているんですね。これは嬉しかった。いえね、こういうの入ってないこと多いでしょう。いや、最近はそうでもないのかな? けど、ちゃんとこうして演奏している人たち、このアルバムを作った人達がわかるというのは、そのできあがるまでの過程にも思いが広がる、そんな感じがしまして、ええ、やっぱりいいなって思うんですね。

  • 黒田bb『Aチャンネル』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 黒田bb『Aチャンネル』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

BD

DVD

CD

2011年6月20日月曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年8月号

『まんがタイムきららMAX』2011年8月号、一昨日の続きです。

『グラッチェ!』、これ、面白いですよ。美少女に変身する呪いの眼鏡。そいつをめぐって一波乱起きそうな感じ? と思ったら、その前にまんざらでもないつかさがナイスです。いや、もう、実際、女子つかさは可愛いと思う。ちょっとちんまりしてて、典型的美少女か、といわれたら、そうじゃないかも知れないけれど、つかさにとっては理想的美少女なのでしょう。ええ、私はつかさと友達になれると思います。で、つかさは姉の策略で女子生活を続けることになり、というか、前回の教師の反応、これも姉の仕込みだったんだ。この、ちょっとの過ちから、後戻りできなくなってしまうつかさ、その強制的一方通行展開がすごくよいです。そして、謎の女の子。美少女コンタク党の御島サキ。どうももろもろ状況見ていると、この人もつかさ同様に男だったりするのか? しかしこの人もいい感じ。そして、なんか間抜けっぽい。この、あまりシリアスになりきらないっていう雰囲気もよいと思うんですね。

『三種のジンギ』、ゲストです。で、これ、三種の神器ってなにかと思ったら、アニメっぽい制服、ブルマ、旧スクール水着なのか。で、それが柳橋高校から消えた。そのショックで兄も消えた。って、ものすごいな。で、これ以上にすごいのがヒロイン末森乙女で、こんなお兄ちゃんのこと好きだっていうんだ。いかすな。で、お兄ちゃんのために、柳橋高校に入学、生徒会長になって、失われたものを取り戻そうというんだ。いかすな。なんだか共感していいのかいかんのかわからんヒロインと、どこか一癖ありそうな友人候補、新宮いろはに聖川楓美。この三人で、ブルマやら旧スク水復権のために頑張ろうというのか。その活躍は、なんともいえず面白いものになりそうな予感がします。しかし、いろはとの仲を否定する楓美さん、この人、えらい可愛いです。

『アキタランド・ゴシック』、素晴しいですよ。目覚めたら、アキタちゃん、機械の体になっていたっていうんですね。で、これが結構かっこいい。お姉ちゃんはそんなアキタちゃん見て驚くのだけど、本人は気にもとめず、というか、結構気にいってる感じです。この、一夜明けたら近代化。目を離すごとにどんどん世界が、街が発展していくっていうの、テンポもいい、見ていてわくわくさせられて、かと思ったら真空輸送チューブでチョークとか、こういう落差は最高に面白いです。で、ラストがすごいの。夢落ちもありなところ、さすがアキタランド、普通にそのまま事態の推移を受け入れた上で、自然ともとに戻してみせて、懐かしい暮らしよリバイバル、そうかと思ったら、実はそうじゃなかったという、この2段の落ちのつけかた、本当に見事でした。

ラッキーストライク!』は、レンの修行風景といったところでしょうか。指令を受けて、ひとり、慣れないボウリング場に出向いて、アメリカンで投げる。目標スコアは160。はじめての経験ですよね。はたして、これでいいのかな、どきどきしながらの受付、そして罪悪感感じる2レーン。面白いですよ。身をもって知る、隣の人が投げる時には待ちましょう、マナーの意味。これ、レンは左利きで左寄りで投げる、そこに右寄りで乱暴に割り込んでくるわけだから、よけいに怖いよね。ほんと、つらく苦しい修行の風景、ちょっとかわいそうで、ああ、もう、頑張れ。ええい、えらいこと可愛いな。

そして、まさかの新キャラ!? レンの窮地に現れた女の子。つきあうとかいっちゃって、そしてレンが条件飲んだのを見て、不敵な笑みを浮かべてね、これは今後積極的に関わってきそう。すごく期待させられる展開でした。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第8号(2011年8月号)

2011年6月19日日曜日

『まんがタイムファミリー』2011年8月号

『まんがタイムファミリー』2011年8月号、一昨日の続きです。

『ひめごとノート』、扉がえらいこと色っぽいな。図書室でのひとこま? 本を積み上げている? 流れる髪、長い睫毛、上気した頬、そして口元、すごく魅力的な絵だと思います。扉を抜けて本編はといいますと、小早川さんが文芸部にさそわれて、それで入部するのかしないのか。決めあぐねている姫、その逡巡、怖れは非常によくわかる。で、口にする思いの端々に振り回される父上がよいなあ。この姫の愛されている感じ、父もそうだし、先輩もそうだし、そこに嬉しさ思ったり、そして面白さ感じたり。姫はなかなか煮え切らないけど、気持ちが決まったら、なんかすごいことになりそうな予感。すごく楽しみにしています。

『くらドル』、女子が苦手な朔也くん。そのきっかけ、トラウマを植え付けた瓜木桃に再会してなお酷い目にあわされて、ああああ、可哀そう、見てらんない! と思ってたんですが、先生が盾になってくれて、また朔也自身からの動きも見られて、読んでてつらいと思わずにすむようになりました。あの、花を調達してくるところ、それから返しにいくところ、あれはよかった。この人はこの人で、現状を変えたいって思ってるんだな。で、あの花の女の子。なんかいいな。朔也くんにとっての救いになってくれたらいいなって思います。

『あとは若いふたりに』が、少女漫画的恋愛を期待するお嬢さん中心の描写から、新人社会人が仕事に打ち込む、そんな漫画へとシフトしてきましたね。新しい人物、他社の人なんですけど、日野さん、押しが強くて前向きな女性。若菜同様新人なんですけど、芯がしっかりしていて、ちょっと内気だったり弱気だったりする若菜にいい影響を与えてくれそうで、こういうライバルではないけれど、刺激を与えてくれる友人はいいですね。頑張ると決めて、けれどまだ経験が足りなくて、くじけそうになりながらも、支えられて乗り切った若菜。こういう山を越える展開もすごく魅力的でした。

『めがねのキミと博物館』。今回は博物館をはなれて、内藤さんと香坂さんが町で食事、買い物。ちょっと常識を離れたところもある彼女らだけど、特に内藤さん、普通ぽい感性発揮させて、うん、内藤さんは普通だと思う、割と。で、おしゃれに興味がないのかな、最初から諦めてるのかな、香坂さんをちょっと可愛くしてという展開、ああ、ほのぼのですね、いいですね。そして職場で、岩本さんにきれいといわれてぼーっとなって、そんな香坂さんがちょっと意外で、いや、もう、いいですよ。なんか胸いっぱいな感じ。すごくいい雰囲気があったと思います。

  • 『まんがタイムファミリー』第29巻第8号(2011年8月号)

2011年6月18日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年8月号

『まんがタイムきららMAX』2011年8月号、発売されました。表紙は『ホイップノート』、パジャマパーティーですね。お菓子食べながらカードゲームに興じるるいせ、レコ、知花であります。リラックスしきってるるいせ、ちょっと意識してる知花、そしてちょっと緊張が見えるレコ? ちょっとずつの表情の違い面白くて、またその気持ちの違いが可愛さの違いを後押ししてますよね。すごく魅力的な表紙だと思います。

きんいろモザイク』、きっちり制服着た陽子のなんとキュートなことか。あのリボンとボレロ、その組み合わせが可愛いんだろうなあ。けど、リボンしてない綾も可愛い。ということは、いつもとちょっと違う、それがまた違う可愛さを演出してるわけか。しかし、この制服の話で気付いたのですが、制服をちゃんと着てるのってしのだけなのか。アリスと綾はカーディガン、陽子はリボンなしベストだけ、そしてカレンはパーカー。本当に自由な校風ですね。さて、今回ちょこっと野球の話が出てきて、おや、イギリスで野球? そう思ったら、カレンはお父さんが日本人なのでした。アリスなぞはそもそも野球をよく知らないんだろうなあ。と思ったら綾もそうなのか。しかしね、あの打てて喜ぶアリスとギャラリーに気をつかう陽子、こういうのが面白いんですよね。ちょっとしたところに細やかに表れる気持ち、それがすごくくすぐるんですね。

『LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす』、これよいなあ。タータンで走る。タータンってなに? っていう椿に、いろいろ嘘を教える安食先輩が素敵です。そして当日、お父さんがついてきちゃって、椿、ちょっと困っちゃってるのか。その表情が伝えるもの、いいわあ。よっぽど恥ずかしいんだな。というわけで、軽くアップしてからLSD。2時間走るっていうの聞いて愕然としてる父。これはいいよ。実際、普段からトレーニングしてる人間としてない人間、その差は半端でない隔りだっていいますよね。椿も最初はついていけてなかった。若い椿でそれなら、下り坂のお父さんはなおさら駄目だろうなあ。しかし本当にちゃんと部活してる、走ることを楽しんでる。この感覚がよいですよ。すごくいい。ちょっと走りたくなりますよね。

『√中学生』、西洋と日本の文化ギャップネタ強めですね。ネタは、それを積極的に膨らませて、キャラクターにからめていくというよりも、キャラクターでもってネタをからめとって落とす、そんな感じです。そして、ヒロイン、月・モニカトニア・セルトニアス、この人のバックグラウンド。だんだんに明らかになってきて、これ、今後大きくとりあげられるのかな。キャラクターが思い切った動きかたしてくれるといいな。そんな風に思って読んでます。

『こけももユーフォリア』、ゲストです。ちょっと独特の絵柄。で、話もちょっと独特。なんというのだろう。ヒロインでいいのか? ええと、名前がわからない、髪をうしろにまとめてる女の子、この人のすること、異様に衝動的で、私にはちょっとついていきづらい。なにを、なにを考えてるの!? そんなところがあって、けどこういうのの方が、あとあとよくなりそうな風にも思うんですよね。理解予想の範疇に留まるものを、理解予想の幅一杯まで、あるいは越えるにいたるまで広げることを考えると、最初から越えちゃってるものを、理解の範疇に納めるべく擦り合わせていくことはまだ少しはたやすそうに思います。だから、今はなんじゃこれわけわかんねえよ、だとしても、この先については期待しちゃっていいのかな、なんて思うのですね。

『ふわふわ科学』、いい感じに科学ですよ。今回は地球の自転あつかって、ペットボトルとロウソクで無重量を見てみるなど、なるほど、炎のかたちが丸くなるの、こうやったら見られるとか知らなかった。今度試してみたい、と思ったけど、火を使う実験は危険そうだからやめとこう。今回は炎の実験、そしてフーコーの振り子など、実験いろいろしてみせて、そしてロケットをより低緯度で打ち上げる理由なんかも説明されていて、これ重さが変わるってのもあるのか。私の理解では、自転速度、赤道にいたっては時速1700km、こいつを利用してロケットの速度を稼ぎたいから、というものだったのですが、重さもあるのかも知れませんね。しかし、ミソラの体重を軽く見せられますね!という発言、これはいい。ちゃんと、質量は変わらないってことを理解していることがわかります。

この漫画、うまく育って、膨らんで、人気出てほしいな。本当にそう思います。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第8号(2011年8月号)

引用

  • 田仲康二「ふわふわ科学」,『まんがタイムきららMAX』第8巻第8号(2011年8月号),93頁。

2011年6月17日金曜日

『まんがタイムファミリー』2011年8月号

『まんがタイムファミリー』2011年8月号、発売です。表紙は『ぽちゃぽちゃ水泳部』。焼きそば食べるカツ代にトウモロコシ食べているあゆみ。海辺の光景ですね。この人たちはいつも水着ですけど、今回は競技用ではなくて、おしゃれ水着、といいたいが、あんまり色っぽかったりはしないよね。さて、8月号、いよいよ夏ということなのでしょう。『あとは若いふたりに』のヒロイン若菜も水着。右下には、単行本発売をうけてゲスト掲載の『+1サプライズ』から、ふたりのカットです。

教師諸君!!』で知る。なんと、今年の祇園祭は土日なんだ。ほんまや、巡行日曜日だ。辻回しは見たことあるんですが、しめなわ切りは見たことないなあ。ああいう見どころポイントは、人がいっぱいで、なかなかちゃんと見られないんですよね。というのはむしろ余談、本編は今泉先生でありましたね。授業が下手と責められる。しかし、実際自分の教えてるクラスだけ点数が低いってのはショックだよなあ。加えて厳しい指摘の数々。しかし、こうやって駄目を押されてもへこたれないっていうのは、一種の才能といってもいいように思います。でも生徒のためを思ったら、ちゃんと反省してくれた方がよさそうだなあ。そんな感想です。

『博士の白衣女子攻略論』、ゲストです。会社の研究所、事務として採用された丹沢春香、彼女が理系の人達の生態に戸惑ったり、けどちゃんと仕事はしていたり、そんな漫画であります。で、これ、作者は化学やらなんぞに詳しい人なのかな。赤の顔料丹砂のこととか白金皿もそうなんですけど、アセトンでマニキュアが溶けるとか、こういうエピソードがなにか身近に関わっていたという感じをおこさせるのですね。ゲスト一回目だからか、まだちょっと固いような気もするけど、これ続いたら面白そう。というか、こういう自分の知らない世界を描いた漫画、好きなんですね。

『はなとふたば』、連載になりました。嬉しいですね。この漫画の姉ちゃんの、なんか気鬱なところ好きなんですよ。のどかが可愛い、それはわかる。けど、姉ちゃんも負けず劣らず可愛いと思うんですね。あんなに弟の恋心に気持ち揺らす姉などいない、とは思うんですけど、ほんと、無邪気自然に好意を向けてくるのどかと、ちょっと戸惑いぎみのユキ、この対照が実にいいのですね。

『ひよっこシスターの安息』、ついに連載だそうです。嬉しいなあ。半人前シスター、雛形さんが主人公。今回は連載になったということで、シスターの名前、ひととおり紹介されてるのも嬉しいところです。さて、シスター雛形、町に出て、辻占いにひっかかって、いやいや、あぶない。すんでのところで占われてしまうところでありましたよ。しかし、この人のちょっとつかみどころのない感じ。そして、占い師さん巻き込んで、変に盛り上がってしまう感じとかね、これがいいなあって思うんですね。この、シスター雛形の人好きのするところ、それがすごくいい。読者である私も、この人の魅力にまいっちゃってるな、そう思うんですね。

  • 『まんがタイムファミリー』第29巻第8号(2011年8月号)

2011年6月16日木曜日

横浜物語

 こいずみまりは、以前別の漫画を読んで、面白い人だなあ、結構好感を持っていたのです。だから『横浜物語』がはじまった時は結構嬉しくて、けどはじまってみれば、いまいちこうピンとこないかな? なんて思っていたんですね。なんか軽薄そうな男と、謎めいたどころではなく、ヤバい匂いがする女。最初は、過剰な親切心を剥き出しにしてくる、そんなタイプの女なのか? そう思ってたら、いや、どうも違うよ。男のこと一方的に知っている。なぬー、ストーカーとかそんな感じなのか? ということは、サイコスリラーなのか、この漫画? そう思ってたころが懐かしいですね。ええ、全然そうじゃない。むしろ、ちょっと不器用な恋愛の物語。今では、もうすごく楽しみにして読んでいます。

しかし、この漫画、徹底してるなって思うのは、この女、お隣さんの名前、いまだもってわからないんですね。主人公の男、南のことを彼女が知ってた理由。そのあたりも語られて久しいというのに、それでもいまだ名称不明。けれど、そのわからないところを残している。かなり近しくなりつつあるのだけど、肝心の名前、それがわかっていない。この微妙に近くて遠い距離感がいい味を出している、そう思うのですね。

しかも、このお隣さんがものすごく魅力的。ちょっとエキセントリック。なんか、思い詰めた末に大変なことやらかしそうな人だと思わせたところが、実は意外にちゃんとした人っぽくって、読むほどに好きになる、そんな感じなんですよ。普段はツインテールっぽくしてる髪も、ちょっとお出掛けとなれば後ろにふたつにまとめて、おおう、エレガント。昔、南と出会った時の彼女はまとめ髪に眼鏡。ちょっとした変化で、印象ががらりと違ってくるんですね。そしてその心情もまた魅力的で、南のことが気になっていた、そうした気持ちをずっと心に抱えている。いや、これやばいんじゃないか、そう思ったら、私ストーカーなんですよ南さんの。自分のこと、客観的に見てるんですよね。もちろん、こういうこというのは、ストーカーじゃないからこそなんですけれど、それでもストーカーじみているかも知れないこと、その状況に気付けている。ああ、ちっともやばくなんてない。むしろ、普通の女性じゃないか。ええ、こうしたエピソードの積み重ねが、名前もわからぬお隣さんの人となり、しっかりと伝えてきて、私はというと、すっかり引き込まれてしまっているのでした。

この話、このまま続けば、南とお隣さんがいい仲になって、南の傷心も癒えて、みたいになるのが普通だと思うのですが、けれどそう普通にことは運ばないんじゃないか、そんな予感もありまして、つまり、先がどうなるか、まったくわからなくって、すごく気になっているんです。連載の、次の回、さらにその次と、どうなるか、本当に楽しみでなりません。

  • こいずみまり『横浜物語』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

引用

  • こいずみまり『横浜物語』第1巻 (東京:芳文社,2011年),76頁。

2011年6月15日水曜日

先生のたまご

 『先生のたまご』は学校を舞台にした漫画。タイトルにあるように先生がメインでして、新米教師、国分寺たまこ先生と同僚、というか先輩か、たちのちょっとお気楽で、楽しそうな日々の情景描いて、すごくほのぼの。職業ものとして読むには、あんまりにほのぼので、楽しすぎる、そんな気もするのですが、この雰囲気は嫌いじゃないです。実際、教師といったら厳しい世間の目にさらされて、激務も激務、大変そう、そんな印象があるんですけども、そうだからこそかな、たまこ先生たちの肩の力の抜けた仕事ぶり、っていうかあんまり仕事仕事してない漫画ですけど、それがいいなって思ってしまうのですね。

仕事仕事していない、それはこの漫画が、たまこ先生 — 、たまご先生って呼ばれているんですが、まだ新米で、それにちょっとドジっこのたまご先生、この人の小動物的可愛さを愛で、ちょこまかと動く、その様に面白さを見いだそう。そうした傾向があるからだと思っています。先輩の化野先生、保取先生、ちょっと無茶しちゃうふたりに引き回されたり、振り回されたり、って、振り回されてるのは、数木先生のような気もしますが、仕事の合間の息抜き遊びや学校行事、体育祭文化祭がメイン、職業上の悩みみたいなのもまず描かれないから、気楽に読める、楽しく読めるということにかけては抜群であると思うのです。

しかし、みなでこうして職場にて楽しそうにしている、それがすごくいいじゃありませんか。シビアな局面、それがないからっていうのもありそうですけど、生徒ともなんだかんだ仲良くやっててさ、実習生とも楽しくやっててさ、生徒は教師を大目に見、教師も生徒を大目に見、そんな具合に互いにしかたないねと許しあっているような感じ。ほのぼのの正体はこうした関係、環境に支えられているところ、そこにあるのかも知れません。修学旅行や体力測定の回なんかでは、楽をしたがる先生たちを対策する、そんなところも描かれるんですけど、それにしても強権的にいうことを聞かせるなんて雰囲気は皆無にして、やんわりと釘をさしている、そんな具合であるものだから、やっぱりね、そういう人たちだと理解して、うまく処遇している。この気の利かせかた、心地がいいなって思わされるのですね。

ほのぼのと心地よく、気を張らずに読める漫画。こういうのはやっぱりいい。しみじみ心に沁みてくる、そんな楽しさが素敵です。

  • みなづき忍『先生のたまご』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

2011年6月14日火曜日

魔法少女おりこ☆マギカ

  魔法少女おりこ☆マギカ』、完結しましたね。アニメよりも陰鬱で、アニメよりも残虐で、癖のある絵柄、タッチに多少の読みにくさを感じつつも、一気にラストまで読み切ってしまって、いや、このあたりはさすがだと思います。魔法少女殺しをしている謎の魔法少女。その理由はなんなのか。第1巻ではそれが明かされないままに、そしてこの第2巻で織莉子の行動の根幹にあるもの、それが語られて、なるほど、織莉子にも充分に理があるわけだと知らされて、しかし、それでわかりあえないというのが悲しい。いや、相手の思いをわかってしまったからこそ、歩み寄ることができない、そういう話だったのかも知れません。

魔法少女になったことで、世界の滅びる瞬間を予見してしまった織莉子。彼女なりにこの世界を救う方法を考えた結果、鹿目まどかの抹殺が選択された。仲間のキリカとともに、まどか抹殺に動く織莉子。対し、まどかを死なせないために戦う暁美ほむら。この対立は見事であったと思います。まどかというひとりの少女の命よりも世界の存続することを重視する織莉子と、この世界の存続よりもまどかひとりの価値を重く見ているほむらと、完全に違っている価値観がために、ある種誰よりも近しく問題を共有しあえているというのに、ともにその問題に対することができないんですね。こうした価値観の対立は、物語を劇的に盛り上げて — 、どちらかが正義ではないんです。大切に思っていること、優先するものが違っているだけで、対立する必要なんてないのに、対立してしまう。そして、そのどちらもが、少しずつ方法を誤っている。目的のためになりふりかまわないふたりのかたくなさ、それが物語を悲劇的な結末に向けて後押ししていた、そう思うのです。

しかし、このわかりあえないということ。アニメにもこうした要素はありましたが、それをより一層に強く押し出していたのが『おりこ☆マギカ』であったと思います。そのわかりあえなさは、ほむらと織莉子に顕著で、そしてほむらとまどかの間にも見ることができて、このまどかの、そしてさやかの思い動いたことが生んだ結末 — 。その直前に、これまでわかりあえることのなかった魔法少女たち、彼女らの共闘し、ともに問題を乗り越えることのできた、そうした様子が描かれただけにショッキングで、ああ、なんでまどか、あなたはそう足手まといなの。私が絶望しそうになってしまったのでした。

けれど、こうして足手まといにもなってしまうところ。それぞれに、それぞれの動因、彼女らを動かす意識があるいうことが、この漫画、『まどか☆マギカ』のシリーズの面白さを支えているのだな、そう思わされました。この『おりこ☆マギカ』の物語は、ほむらの旅の途中、ひとつの可能性に過ぎない。そうでありながら、この一回を生きる織莉子たちにとっては、唯一の可能性であった。それだけに、最後に悲願を遂げた織莉子の後悔は痛ましく、それだけに最後の場面、一種救いと感じさせる明るさは、読者にとっても救いとなった。そう思わずにはおられないのですね。

  • ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ』第1巻 Magica Quartet原作 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ』第2巻 Magica Quartet原作 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ』第3巻 Magica Quartet原作 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ムラ黒江『魔法少女おりこ☆マギカ』第1巻 Magica Quartet原案 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ムラ黒江『魔法少女おりこ☆マギカ』第2巻 Magica Quartet原案 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。

Blu-ray

DVD

CD

2011年6月13日月曜日

『まんがタイムLovely』2011年7月号

『まんがタイムLovely』2011年7月号、発売されました。表紙は『はじめのちひろ』、空を見上げるはじめと、アイスキャンディーを食べてるちひろ。初夏の雰囲気、ということみたいですよ。で、ここで残念なお知らせ。7月号をもって『Lovely』休刊とのことです。でも、うん、なんというか、あんまり驚かない。なんとなくそんな気もしてたし、今月号で休刊を予想させる兆候は観測されてましたし、ああ座して死を待つより、起死回生を狙って一発リニューアルを打ってみた。けれど、それでも駄目だったかあ。昨年末に『ラブリー』が終わり、新生『Lovely』も終わって、私の四コマ入門となった雑誌は完全に失われてしまったんですね。

これで終わり。掲載作も別の雑誌に移籍するようなことなしに、全部きれいに終わっちゃうみたいです。それを受けて、それっぽい終わり方をしているものも結構あって、ある程度この展開を予測されていたのか、あるいは急遽、最低限のことを盛り込むべく頑張ったのか。後者なのかなあ。物語を広げるために、いろいろ伏線を用意されてた方もいらっしゃった。その解決を今回掲載の回、実質の最終回で可能なかぎり拾ってみたり、回収できないながらも一区切りつけてみたり、いろいろ苦心のあとが見えますよね。実際、悔しく思ってる人もあるんじゃないかなあ。

『Lovely』は5号で終わったわけですが、それだけ続けばやっぱり気になる漫画も出てくるわけで、それらが軒並読めなくなるっていうのは、読者としても残念、それは実際本心なのです。この段階で、どれが好きだった、どの続きが気になると、いちいちあげることはしませんけれど、もしこの先を読めたら、そう思うのはひとつやふたつではなかった。ええ、すごく残念です。

結果的に休刊となってしまいましたけど、休刊するつもりでリニューアルしたなんてわけはないでしょう。なんらの復活の可能性をつかんでたんだと思いたい。けどそれは叶わず、休刊に。これは四コマを好きで読んできた、そんな私にとっても、ちょっとした一区切りになる出来事だったように思います。

  • 『まんがタイムLovely』第18巻第6号(2011年7月号)

2011年6月12日日曜日

田中さんちの白米ちゃん

 こんな漫画も描いてらしたんですね。『田中さんちの白米ちゃん』。作者は池尻エリクソン。ちょっと個性的な絵柄、そしてネタがよく練れている。最近はやりのラインではないんだけど、漫画としては抜群に面白い。そんな漫画を描く人と思っていたものでしたから、単行本が出てるとなれば買わないわけにはいかないですよね。どんな漫画であるか、表紙を見てもちょっとわからないのだけど、池尻エリクソンなら間違いあるまい。それくらいの安心感ある作家であります。だからぜひ売れて欲しい。これを足掛かりとして、ぐーっと伸びていただきたい。そう思っているのです。

さて、『田中さんちの白米ちゃん』、これすごくいいですね。食卓擬人化ものとでもいったらいいのかな。主人公は、田中さんのうちに住んでいる白米ちゃん。秋田のお米。スーパーで超特価で売られてたことが決め手になって、田中さんに選ばれた。なんていうと、ちょっとわびしい感じもしますけれど、読んでみれば白米ちゃんが明るくいい子で、そんなわびしさなんて、まったくもって皆無なんですね。白米ちゃんは、みそ汁ちゃんと仲良しで、食卓に並ぶみんなは、おいしく作ってくれる田中さんのことが大好きで、というほのぼのとした味わいがすごくいい。で、さすがは池尻エリクソンといったところでしょうか、やっぱり可愛いだけじゃない。ちょっとシュールだったり、ちょっとナンセンスだったり、そしてシニカルだったり。いや、面白いですよ。表紙、カバーをとっぱらった下にあるおまけの漫画、その時点で笑っちゃったくらい。全然内容もキャラクターも把握してない時点でおかしいっていうんですから、漫画としての基本的な面白さ、それはもう揺るぎないものがあります。

これまで何タイトルかこの人の漫画を見てきましたけど、キャラクターの可愛さという点においては、この漫画が一番だなって思います。万人に通じる、そんなマスコット的な可愛さがあって、子供が見ても喜びそう。内容もシンプルだし、するするとスムーズに読めて、そんなところに気の利いたネタが投入されるものだから、くすりと笑ってしまうんですね。しかし、納豆の威力がすごい。あの絵柄の強烈さでもって、どんな状態からでもオチに持ち込める、そんなキャラクター。白米、みそ汁はじめ、他のキャラクターは可愛かったりするのに、納豆だけなぜこんなに!? と思うくらいの扱いで、でも納豆の特徴というかはよく表現されてるようにも思うのですね。

この漫画の登場人物は基本食べ物なので、食べられてしまう運命にあるというのがなんだかシュールで、まあたまにこぼれてしまったりもするんですけど、みそ汁ちゃーん! でもそんな不幸な事故があろうとも、次の食卓にはちゃんと帰ってくるっていうのが面白いんですね。いや、たまにシチューに汁物の座奪われたりして、食卓にのれないこと、悔しがってたりするんですけども。ともあれ、こんな風に自分がおいしく調理されて、食べてもらって、ということをしあわせと感じている食べ物たちの様子、それは子供のころに聞かされた、お米には神様がいるから大事に食べないといけない、そうしたことを思い出させてくれまして、ええ、なんだか、そういう日本の感性みたいなものが通じてるなって思ったりもするのですね。

2011年6月11日土曜日

Aチャンネル

 今日は待ちに待った『Aチャンネル』のイベントでした。アニメイト、ゲーマーズでBD/DVD第1巻を買った人に渡される応募券。そいつに必要事項を書いて送ると当たるかも知れない参加券。ええ、当たったのですよ。「Aチャンネル」Blu-ray & DVD1巻発売記念イベント【ゲーマーズなんば】。なんと、私に当たるってことは、応募数少なかったのか!? やばいのか!? どんなことでもネガティブに捉えてしまえる、それは私の数少ない才能です。

さて、イベント当日である本日、心配だった雨もあがって、わあこれは幸先よいじゃないですか。朝、そこそこ早く起きて、録画していた『Aチャンネル』など見ながら出発時間を待ったのですね。それと、着ていく服、それなりにこざっぱりした格好でいこうと思い、佐藤先生を彷彿とさせるシャツを探した。ええ、やっぱりアニメのイベントにいくなら、そのアニメにあった服装がある。そう思ったんですね。というわけで、滅多に着ない派手なシャツを出してきたのでした。

場所はゲーマーズなんばとありますが、ここは日本橋からアクセスした方がわかりやすい。というわけで、大阪地下鉄恵比寿町からゲーマーズに向かいます。途中、ちょこちょこ模型店などに寄ったりして、しかし日本橋もずいぶん風景が変わってしまいました。と、昔語りしてもしかたない。

ゲーマーズにつくと、沢山人が集まっていて、なるほど、この人たち、イベント参加者なのだな。少しはやくついたので少々待ちました。まずは入場抽選。これで入場順が決まりまして、そして入場。ちゃんと来場者が葉書の宛名本人であるか確認するんですね。身分証明になるもの持ってこいとは書かれてなかったので、クレジットカードで代用。まあちゃんと確認するけど、それくらいの融通はききますよね。待ち時間中にアンケートというか質問を書いていたのですが、これも入場時に渡します。

しかし、こういうイベントものすごい久しぶり、というか、これくらいの規模のははじめてだったのですが、すごいですね。参加者の熱気が違う。司会者が登場して、挨拶に対する拍手のレスポンス。びっくりしました。そんなに大きな会場ではないし、人数もそんなに多いわけでもなかったのに、すごいデシベル。拍手の一音一音が背を圧倒する。私みたいなぬるいのがいてごめんなさい。そんな気分。司会でそのレベル、ということは、本日のメイン、内山夕実さんと寿美菜子さんが登場した時はどうかというと、いやもうものすごい。みんな熱心だなあ。私は前の方の席にいたので会場の状況、よくわからなかったのですが、かなり熱の入ったものじゃないかなって想像される、そんな拍手と声援でした。

イベントは1時間ほど。内容は、入場の際に集めた質問、それに答えるというものと、サイトでもやってるの? ターンAチャンネルっていう、四コマを逆に並べて台詞を考えるというの、あれすごいですよね。簡単じゃないと思うんですけど、ちゃんと成立させてらっしゃるの。あれは本当に見事だと思います。そして、じゃんけん大会もありました。サイン入りの台本をかけてじゃんけんをする。台本は1話から10話まで、1冊ずつ、つまり当選者は10名。ああ、これは欲しいね。私はわりと冷笑的に見てるだけを気取ったりする嫌なやつなんですけど、参加しましたね。でも、勝ち進むのは難しく、1度だけ決勝戦、ここで勝ったら台本ゲットだぜ! というところまでいきましたが、あえなく敗退。ええ、あれは厳しい。勝ち残った人はなかなかの強運の持ち主と思いますよ。あ、そういえば、2回戦。内山さんがひとり勝ち、全員を撃墜してしまったっていうのは面白かったなあ。

さて、話された内容を少々。まず、大阪のイベントは応募数およそ300で、倍率としては3倍ほど。選ばれた質問は、どの歌が好きですか、気に入っているエピソードはなんですか、レコーディングとか収録のエピソードを聞くものもありましたかね。まあ、細かい内容は、メモとってた方もいらっしゃったので、その方がBlogなりなんなりで書いてくださるだろうから、ここでははしょりまして、しかしあの挿入歌、気にいってる方、多いんですね。私も実際あれ好きでして、毎回の歌、あれがなかったらBD購入に踏み切っていたかどうか。あ、そうそう。寿さん、普段関西地元の人と話す時には自然に関西弁になるんだけど、演技として話す関西弁、これは意外と自然には出てこなくて苦心したというの、以前にもおっしゃってた(コメンタリーだっけ?)ことですが、それに対し、内山さんがとげとげしさのない柔らかい言葉で好きといったようなの、これはよかったなあって。実際、寿さんの関西弁、ユー子さんの関西弁といってもいいかな、あのあたりのやわらかさは、実際に使われている関西弁のそれをうまく表現していると感じていて、すごく好感持ってるんです。

と、内容とその感想を書くとめちゃくちゃ長くなるので、このへんで。いや、しかし、楽しいイベントでした。東京の方は来週ですね。きっと楽しいので、楽しみになさるとよろしくてよ!

  • 黒田bb『Aチャンネル』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 黒田bb『Aチャンネル』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

BD

DVD

CD

2011年6月10日金曜日

『まんがタイムきらら』2011年7月号

『まんがタイムきらら』2011年7月号、昨日の続きです。

『スワンプX』、ゲストです。ヒロイン沢知さんに忍び寄る不穏な影、ってクラスメイトなんですが、沢知佳水香を魔法少女にしようと狙う白山島。なかば、というか、かなり無理矢理に変身させて、でもその意図がよくわからんという漫画です。なんかね、魔法少女に憧れていると、それを叶えたいから沢知さんに押し付けたと、まあこれ、おそらくは着せ替え人形的なあれですよね。本気で嫌がる沢知さんはいい感じ。あの最後の大オチなんてのもね、実にいい感じでした。で、お姉ちゃん、文香、この人のポジションもいいですよね。最初、てっきり敵かなんかかと思ってまして、見事にやられました。

『箱入りドロップス』、連載になりました。これは嬉しいです。とにかく雫がいいよなあ。あの、えらいこっちゃ。こういうのがすごく好き。やめとけいわれてるのに、エスプレッソ注文して、抹茶シェイクと交換してもらうとかね。陽一が親切で、いや、もう、この人、すごい好きです。現実を突き付けられてへこむとかね。そして、打たれ強そうな萌、この人も恋愛においては乙女なのか。へこむ! もう面白い。なんかね、すごく仲がいいよね。もう、この雰囲気がすごくいいんですね。

『だいすき♡』、おお、新キャラだ。千夜に忍び寄る怪しげな、っていや別に怪しくはないか。眼鏡の素敵なお嬢さん。すごく可愛いよね。けど、なんだか妙に情報探ってて、やっぱり怪しい。ははあ、なるほど、つまりこの人、瀬戸香乃子さんは生徒会長志津さんのこと好きなんだな! そう思ったんですが、もしかしてそう思わせて、実は兄貴狙い? 志津と兄貴の会話では、兄貴狙いなんじゃないかなんていってましたけど、それはつまりは志津狙いと読者に予想させて、そしてやっぱり兄貴でしたってくるの!? いやきませんでした。ばりばりの志津狙いで、スイッチ入った香乃子は最高だ! そして志津も! しかし面白かった。この人の漫画、やっぱり大好きです。

『ぷにぷにく』、ゲストです。体型が気になる河上みわがヒロイン。なんだかんだ理由つけて食べるっていうのね、登校中に食パンは定番だけど、5枚切りで3枚かあ。これ餅っぽく見えるけど、耳は切ってあるのか。はいいといして、登校中、食パン、ぶつかるのコンボ。で、だいすきときた。小長谷あんり、ぽっちゃり系の女の子が好きなのか。この子が尾崎さちことみわを取り合う。いや、違うか。みわにダイエットをすすめるさちこ、それを妨害するあんり、そんな話。いや、これがなかなか面白くて、よかったのですよ。

My Private D☆Vは竹本泉です。素晴しいな。ソバカス、三つ編み、メガネ、太い眉、他なんですが、いくら好きだからって全要素を盛り込んだら駄目になっちゃうよっていう見本があって、これは面白い。うじゃうじゃ。しかし、三つ編みの描きわけとか、全然意識してませんでした。で、ソバカス、胸元にも描いてあるの見て、なんと、これはめずらしい気がします。いや、そうでもないのかな。それで、サド点っていうの、そういういい方があるんだ! はじめて知りました。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第7号(2011年7月号)

引用

  • 津留崎優「箱入りドロップス」,『まんがタイムきらら』第9巻第7号(2011年7月号),143頁。

2011年6月9日木曜日

『まんがタイムきらら』2011年7月号

『まんがタイムきらら』2011年7月号、発売されました。表紙は『しかくいシカク』であります。右手にデジタル一眼、左肩にコンパクトをのせた十子さんであります。いや、これコンパクトカメラじゃないな。ライカM8か。そうかあ、ライカもデジタルだったのか。*ist Dの液晶モニターには魚が、ライカには茜が映っていて、なるほど、これが本編扉に続くんだ。十子がこうしてファインダーにとらえたもの、その状況がちゃんと描かれるんですね。

で、十子の肩にとまったり、十子を殴ったりしてるの、ゴリラポッドやね。これ、妙に気になるミニ三脚なんだけど、あったら便利と思いながらも買ってません。

けいおん!』は、まいったな、めちゃくちゃ面白いよ。晶にアグレッシブにアタックしていく唯も面白かったんですが、面白かったの、澪と幸ですよ。背高くていいね! から気にしてたならごめんなさい!! までの流れなど、最高よ。澪は何気なく、というか、それこそ本心からかっこいいなっていってるんだろうけど、そうかあ、林幸さん、気にしてらっしゃるんだ。こんな風にして、恩那組の面々のキャラクターがわかっていくの、すごくよいと思います。なにも不安に思うようなことなかったわ! そして、履修計画とその失敗とか、へー、そういう取り方すると後悔することになるんだ。な、なんで? 私は月曜から土曜まで入ってたからなあ。なんであの頃、あんなに勤勉だったんだろう。ともあれ、履修計画とかちょっと高めの部費とか、こういう高校時分にはなかった話が出てきて、ああいよいよ大学なんだな、これまでとは違うんだって思う。この感覚、すごくいいと思いますよ。

『スマイル・スタイル』、なんか変に面白かったです。夜中にかき氷を食べる、って、おろし金でできるものなのか。いっぺん試してみようか、と思ったけど、うちにはかき氷器があったりするからなあ。さてさて、メインはかき氷じゃないですよね。紅葉と歩の関係っていいますか、どちらかというと紅葉が歩のこと好きでちょっと依存気味? みたいに見えますよね。そうした気持ちの行き交う様、面白いなって思ってたら、後半、寮長が出てから、面白さの傾向があからさまに変わった! いや、「今明らかに」とかめちゃくちゃ面白かったですよ。

『ホシゾノギルド』、タイトルからはいまいちどういう漫画なのかわからなかったですが、読んでみて、なるほど。ギルドって、ミッションを受けてそれを達成してという、そのミッション、依頼をとりまとめるあのギルドでありましたか。職工組合かと思ってた。さて、中学の頃の先輩に、高校で再会した鮎川ハル。そうしたら先輩はすっかり性格が違ってしまってた。その変化はハルとの出会いがきっかけになってたっていうの、なんだかいいなって思うんですね。さて、登場人物はハル、同級生の小佐野日向、そして先輩でギルドの長、上之園梨乃。梨乃はちょっと小柄なツンデレ系。もともとは内気だったのが、アクティブになるためツンデレをインストールしたっていうんですね。ちょっと面白い。類型的なキャラクター、それをある種納得して受け入れさせる、そんな説得力がありますね。

『méid in the school』、ええと、スペル、これでいいのかな? ゲストです。ヒロイン志鶴はお嬢様。メイドがひとりついていて、メイ。この子にいろいろ申し付けるんだけど、メイは微妙に素直じゃなくて、ちょこちょこいうことを聞かない。命じられたことに、ちょっとはずして応える、そんなところがあるんです。叶衣、この人はふたりの友人、一般人で、主につっこみ役なんですが、そうかと思ったらちょっとうちに黒いもの秘めてるようでもありまして、そうした面が出てくると、つっこみ役がいなくなるどころではない。こういうのはなかなかに好みであるなって思いました。

  • 『まんがタイムきらら』第9巻第7号(2011年7月号)

引用

  • かきふらい「けいおん!」,『まんがタイムきらら』第9巻第7号(2011年7月号),46頁。

2011年6月8日水曜日

『Megami MAGAZINE』2011年7月号

 インターネットに出回っていた、『魔法少女まどか☆マギカ』のインタビュー。上条君はさやかのことどう思ってるとか、杏子とマミさんの魔法は本来どいうものだったかとか、そういうのが話されている記事の断片だけが流布されていて、けどその出展がわからない。ああ、この記事、きちんと読みたいなあ。ちゃんと出展も書いといてくれよ、そう思っていたら、twitterでこの記事内容に言及している人がいまして、もしかしたらご存じかもと聞いてみたんです。そしたら、教えてもらえた。『Megami MAGAZINE』の付録だって。わあ、これはありがたい、買ってくる! というわけで買ってみました『Megami MAGAZINE』。存在は知ってたけど買うのははじめて、もちろん読むのもはじめてです。

しかし、この見事に割り切った誌面、素晴しいですね。アニメ誌なんだけれど、男キャラというのが基本存在しない。そんな雑誌です。どこを開いても、美少女美少女美少女。男が出てきたと思ったら、女の子になりたい女装少年とか、あとはモブ。主人公だろうとモブ。潔いですよね。ああ、それから『ぱんつぁープリンセス』が載ってて、そういえば、これ、『Megami MAGAZINE』掲載だったっけか。さすが学習研究社。いろいろ研究しています。

さて、私の目当ては「『魔法少女まどか☆マギカ』 COMPLETE BOOK」でありますよ。虚淵玄のインタビュー、新房監督のインタビュー、そして声優5人による座談会。これ、どれを読んでも濃密で、ものすごい読み応えです。虚淵玄氏のインタビューは見開き2ページ。新房監督は1ページなんだけど、なるほどそういう意図が、あるいはなるほどそういう裏が、こういう見方があるのか。ものすごく面白かった。脚本に明確にされていなかったことで、アニメと漫画で違っているところとか。作り手の時点で解釈に違いがあるっていうのね、なるほどそういう余地を持った本であったのかと思ったりしたのですね。

そういう解釈の違いというのは、本を絵にする段階でも出てくるし、また演じる人においても同様に現われてくるもので、もちろん収録に際して意思の統一、解釈の統一などはなされるのでしょうけれど、大筋をはなれたところとなると、結構皆さん自由に感じて考えてらっしゃることがわかる。そうしたところ、思ったこと、疑問なんかも含めて自由に意見が交換されて、なるほど、こういう風に考えてらっしゃるのか。また私とは違う立場からの見方、それはすごく刺激的で、ああ、やっぱりこういういろいろ思えるもの、受け手によって違った感じ方、解釈、それらを許容するものはいいなって思ったのですね。

16ページと、そんなにページ数も多くない、まあ付録の小冊子ですからね、当然なんですけど、でもそれでも読み応えは抜群で、このために840円する雑誌を買ったこと、後悔なんて、あるわけない、でした。ほんとすごくいい。寝るまえにもう一回読もう。何度でも読もうと思える、すごくいい付録でした。

2011年6月7日火曜日

『まんがタイム』2011年7月号

『まんがタイム』2011年7月号、発売されました。表紙のテーマは料理のようですね。『おとぼけ課長』が炒めもの。手前には『らいか・デイズ』らいかが神妙に鍋に調味料投入していて、そして右上には大乃元初奈の新連載告知。ヒロインがメレンゲを作ってるカットが掲載されています。

『放課後のピアニスト』、見事やなあ、いいなあ、眼鏡可愛いなあ。というのはいいといて、レミをめぐる話。昔のレミを知っている人が、幼稚園のころのレミのことを語ってくれる。一緒のピアノ教室に通ってたミチルがレミと再会して、ミチルはピアノやめちゃってるんだけど、けどそれはレミのピアノのすごさのためで、圧倒されたんでしょうね。でも、それで無理だと思ったからじゃない。すごい人がいる、そんな人に会いたい、そうした気持ちを思い起こさせたっていうんですね。今回はレミのピアノ弾いているコマがいくつかあって、その姿、すごくいい。本当に魅力的に演奏しているシーンを描く人。楽しそう、そしてすごく濃密に弾いている、そう思うんですね。だからこそ、説得力もあるのでしょうね。

『スキップAD!いろはちゃん』、大乃元初奈の新作ですね。テレビ局もの。ヒロインはADをやっているいろは。ラーメン屋の取材、映像をしっかり作る、それだけでなく、ラーメンを食べてみてのコメントなど、素直ながらもちゃんともののよさに気付けて、理解して、そんなキャラクターなんですね。明るいヒロイン。おじさんにも気にいられてといった様子。こうやって、いろいろな現場で、気にいられたり、また大変な状況を乗り越えていったり、そうした展開が期待されますね。

『Fever!! — 貧乏レイジの同居人』、これ、めちゃくちゃ面白いです。無愛想な兄さんと、いろいろおかしな幽霊たちとのシュールな生活描いて、しょう油はキツい!! もう、これ、どうしようかと思うくらい面白かったです。いったい次にどんな展開、台詞がくるのかとか、予想がつかない。意外性が見事にきまるんですよね。見た目に地味な漫画なんだけど、その絵柄もまたこの味わいに貢献してると感じます。で、『Fever!!』は終わっちゃうんですね。ちょっと残念。けど、次号に載るという新作、それもちょっと楽しみで、面白いものだったらいいなって期待しないではおられん、そんな気になるのです。

PEACH!!』、最終回でした。武田が温泉旅館に本気を出した。なるほど、前向きな最終回を用意してきたのだなあ。広能と武田の気持ちをおもんぱかって、桃の湯を後にする岩井。明るく見送る広能に寂しさ覚えたけれど、実はそうじゃないんだってわかる。そんな展開にはぐっと胸がつまって、そして最後のページですよね。多くは語らない。けれど、それは充分に物語って、涙をしぼりました。容易に言葉にできない、そんな思いに打たれて、しばらくこのページを眺めて、感慨にふけっていました。自分の場で、自分の暮らしを大切にしよう。自分にできることをしよう。そうしたことが、語られてた、そんな風に思われて、すごく前向きな最終回という感想を、なお強めることとなったのでした。

  • 『まんがタイム』第31巻第7号(2011年7月号)

引用

  • 城戸みつる『Fever!! — 貧乏レイジの同居人』,『まんがタイム』第31巻第7号(2011年7月号),183頁。

2011年6月6日月曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年7月号

『まんがタイムジャンボ』2011年7月号、一昨日の続きです。

『炊飯器少女コメコ』、ゲスト2回目です。母親から送られてきた人型炊飯器コメコ。なんと、これを企業に売り込むつもりらしい。って、炊飯器としては問題ありのコメコ。売り込んじゃ駄目だろう。さて、このコメコは、仲良くなるほどおいしいごはんが炊ける、すなわち、仲がよくないとうまく炊けないのか。そんなわけで、炊飯器と仲良くなるべく、頭をなでる尊。シュールっちゅうか変な漫画だなあ。で、尊の幼なじみ伊藤歩香が登場。コメコとアユカのタケル争奪戦がはじまる? こんな炊飯器いやだと泣くアユカがいいな。私もこんなの嫌だ。けど、漫画自体は悪くない感じ。ちょっと面白く感じはじめています。

『すいーとプロミス』、いよいよ終わるんですね。その前段として、光介が引っ越ししていっちゃう。その準備の光景描かれて、ああ、ふたりの光介に対する気持ちは、昔の引っ越し、その時の記憶に根差しているのかな。そう思わされるところあったのですね。光介と結婚する気満々の綾姉。対してこれまで素直に気持ちを表明してこなかった椿。彼女の気持ちが溢れる展開に、ああこれを見たかったのかも知れないな。そんな思いがしたのでした。次回、最終回。かと思ったらそうじゃないのか。この展開に勝手に終わってしまうと思ってしまった。しかし綾と椿の間で板挟みの光介。これは期待される展開です。

『輝け☆星の川高校自由形』も『天文むすめ』も大好きなんだが、ほんと、よろしくお願いしますよ。『交換留学生ルーシー!!』が終わろうとしていて、『宇宙猫娘団』が終わって、もしや『輝け☆星の川高校自由形』や『天文むすめ』も終わろうとしてるのではあるまいな。ものすごく不安なんですよ。というのも、このあたりの漫画が好きだからで、翼の泳げない理由、それは自分のせいだと思う双葉とそうじゃないから気に病んで欲しくない翼と、こういう互いに相手を思いあっているっていうのね、すごくいいと思うんです。翼のそばにあろうとする乙女も、変わり者なんだけどすごくいい子で、もうすごくいいと思うんです。

で、『天文むすめ』、ビニールプールでお風呂、なんですが、いよいよ暑くなる季節。それで、ヒロインがくさいとか、すごいよね。美少女いっぱい、で、夢を売る、みたいな漫画じゃないのんか。いや、それでも夢はいっぱいだと思う。水着着用で屋上露天風呂。ひとりそうじゃない人がいたりしたけど、ちょっと色っぽくて、すごく可愛くって、そして楽しいっていうのね。気にいっているわけですよ。レティちゃんのガンマ線耐性とかも面白い。もう普通に宇宙人として生活してる。そんな様子、好きなんです。

今は終盤に集まってきている漫画。これら、あんまり急いで終わらせたりはしないで欲しいな。そう思っています。『宇宙猫娘団』も終わって、『ルーシー』も終わりそうで、これ以上、いろいろ終わるのはちょっと寂しすぎると思うんです。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第7号(2011年7月号)

2011年6月5日日曜日

『まんがタウン』2011年7月号

『まんがタウン』2011年7月号、発売されました。表紙は人気連載そろいぶみといった様子。『新クレヨンしんちゃん』、『うちの大家族』、『かりあげクン』、『少年アシベ』、『そんな2人のMyホーム』、『派遣戦士山田のり子』、『はいぱー少女ウッキー!』、『鎌倉ものがたり』、それぞれの主人公が表紙に並んでいます。

そんな2人のMyホーム』、最終回ですよ。とはいえ、実質的に物語は前回に終わっていたといってよく、なので今回は、物語のその後の話といった感触です。舞ちゃんが結婚して、子供が生まれて、育って、その様子を描いて、この一度に描かれた数年が、この家族とその家族につらなる人たち、皆のしあわせをよく伝えてくれました。父と娘、ふたりの暮らしからはじまって、最後には大きな家族になった。これはたしかにしあわせを描いているな、そう思わされるのです。

『ファミコン』、ゲストです。美月李予ですね。さて、この漫画はなかなかに不思議な家族描いていまして、母子家庭に育ったお嬢さん。お母さんが再婚して後、亡くなって、その父が再婚して、母と兄が一緒に新しくできた。なので、ヒロイン乃子、家族の誰とも血が繋がっていない。けれど家族というの。今はこと血縁が重視される時代であるようだけれど、そうじゃない家族関係があってもいいよね。そう思う私には、なかなかに期待しないではおられない、そんな漫画であります。

『かしこみっく』は、かしこみ神社に吸収されてしまったおいなり神社のふたりが、なかなかに不憫な生活で、けどそれでもへこたれてないっていうのがいいなと思います。いずれ再興をと願い、しかしなかなかそれは難しそう。考えれば、というか、考えなくとも酷い待遇なんだけれど、これがただただ酷い、可哀そうにならないのは、この作者の味なのだと思います。

『ほほかベーカリー』も最終回を迎えました。ナホナブレッドが大当たりで、それが話題となって、ついにはナホナと日本の親善大使に! っていうんですが、ああ、これはどうもそうっぽいなって思いながら読んでたら、ああ、やっぱりそうでした。ってことは、三谷の真実、あれはどうなのだろう。しかしきれいな夢オチでした。理想的あり方ですよね。そして、ナホナブレッドまで夢かと焦るホホカの様子。あれ、本当に夢にされちゃうのかと思ったけど、さすがにそこまではなかった模様で、けどこういうあいまいさでもって揺さぶってくれるところ、とても面白かった。ええ、いい最終回だったと思います。

  • 『まんがタウン』第12巻第7号(2011年7月号)

2011年6月4日土曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年7月号

『まんがタイムジャンボ』2011年7月号、発売されました。表紙のテーマは食、みたいですね。中央にはハンバーガーを食べようとしてる『じょしもん』美々があって、その周囲に、串カツのお皿持ってる『レーカン!』天海さん、たこ焼食べてる朝倉さん、えらい盛りの天丼差し出してる『炊飯器少女コメコ』、そしてこれはええとゼリィフライですな。いつぞやの話、思い出しますね。井ノ頭さん、ゼリィフライを食べてます、って、実はコロッケだったらどうしよう。

つうわけで『でり研』、新入生がはいってきました。東雲司。ちょっと生意気な男の子。けど微妙に純情で、可愛いなあ。女性たちの、気付いてないうちはそうでもないのに、気付くと隠す、気にしてない風に見せながらそれでも隠す。こういうの、面白いなあと思うのだけど、意識せずとも目が追ってしまう男の立場としては、なんだか申し訳ない。で、『Ohでりしゃす!!』が復活掲載。ああ、これは嬉しい。思えばこれが好きで、連載を望んでいたんでしたっけね。けど、またこうして皆に会えたっていうの、嬉しいなあ。まあ、田尾さんはでり研先輩として出てましたけど、そうした繋りもあっての復活なんでしょうね。2巻が出た暁には、『Ohでりしゃす!!』も収録されたら嬉しいなって思いますよ。

『先生だって嘘をつく。』これ、なかなかに面白いかも知れません。彼女ができた、仕事も決まった。けど、その彼女というの、勤めることになった学校の生徒だった! しかも担任するクラスの子! っていうの、高村芽里衣さん、この子、可愛いな。しかし、南先生というの、主人公大神のそうした状況、わかってたんだ。生殺与奪の権を他人に握られてる。そんな大神の安らぎはやっぱりメリーで、けどばれると終わっちゃうっていうのね。いいなって思うんですけど、その関係にちょっと影さすようなラストシーン。なんだか簡単気楽なコメディだけじゃないっぽい雰囲気があって、心ひかれるものがありますね。

『あゆみさんは心配性』、これ面白いですよ。お姉さんが心配性。それでいろいろやらかしてくれるんですけど、自宅で、身内に、職場で、同僚に、けどそれがちょっと迷惑かけたとしても、嫌味に感じさせない、その雰囲気、あゆみさんの人柄ですかね、それがいいんですね。裏目に出たりもするけれど、すごくいい人っていうのはこれでもかと伝わってくるんですよ。その感じ、それがすごく魅力的です。

『はなな大増刷!!』、はなながお泊まりの準備してるシーンからスタートですが、本編はお泊まり風景ではなくて、郁子ちゃんのもとに元漫研の面々が終結、といった展開。前回再会した先生と、そしてお隣の海老根くんが、郁子ちゃんのピンチに集まって、ほんと、すごくいい展開。なんかわくわくさせられます。連載が増えた。ページも増えたで手が足りない。それを手伝おうという先生、で、必要な機材を提供してくれるのは海老根くん。この皆が手助けしてくれるっていうのが、ほんとにいい。仲がいいなあって思って、ほんと、いいですよ。ところで、藤堂先生、この人、めっちゃくちゃ可愛いです。あの髪くくったところなんて最高で、素朴で素直な笑顔とかもね。いや、この漫画に出てくる人、みながそうだと思います。素直な人たち、それがすごくいい。安心させられる、ほっとする、そんなよさがあるんですよ。

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第7号(2011年7月号)

2011年6月3日金曜日

secret base — 君がくれたもの

 『secret base — 君がくれたもの』は、ZONEの大ヒット曲。ある程度年齢のいった人なら、まず知らない人はいないんじゃないの? そう思うほどにあちこちで聞かれた歌でした。実際ZONEについてほとんどなにも知らない私でも、この歌は知っていた。そして、好きだったんです。なんといったらいいか、聴けば胸に切なさが押し寄せて溢れる、そうした情感に満ちた歌。だからでしょう。4月からはじまったアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、エンディングテーマにこの歌が流れた時、正直、ずるいと思った。もう、泣けてしかたがない。ええ、ずるいと思ったんです。

 しかし、これ以上はないと思わせる選曲ですよね。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 — 『あの花』は、子供のころに皆で遊んだ秘密基地、そこで起こってしまった出来事を忘れることができないまま、高校生になった今にもひきずってしまっている。そんな少年少女の物語。切なく悲しい思い出、あの頃に気持ちを残してきてしまった彼ら彼女らの回復や再生の物語になるのだろう。そうした予感をさせるのですが、いやまだ物語は半ばです。この先どうなるかは今もってわからず、それゆえに先が気になる、そんなアニメであるのですね。

『あの花』の第1話を見たときは、正直、かなり辛かった。つらかったり、悲しかったりする展開を、素直に受け入れることができない、そうした精神状態もあったのでしょうね。こういう痛ましいの、やめてよ、ほんと勘弁してくださいよ、そう思うところもあったところへ、エンディングの『secret base』。これはたまらなかった。ほんと、やめてよ — 。けれど、私はきっとこの歌のシングルを買うだろう。そう思った。そして、こうして手にして、聴いて、改めていい歌だなって思って、けれど聴くたびに切ないよね。ええ、けれど、ただ切なさだけではない、そうした気もするのですね。だからこそか、この選曲は見事であるな、そう思わないではおられないのですね。

BD

DVD

CD

2011年6月2日木曜日

『まんがホーム』2011年7月号

『まんがホーム』2011年7月号、発売されました。表紙は、夏の涼なのかな。メインには『らいか・デイズ』らいかがアイスキャンディーをふたつ割りにして、ひとつをこちらに差し出している絵です。かたわらには、着物の背を緩めて扇子であおいでいる椿さん、髪をポニーテールにまとめソフトクリームを食べている外村さん、そして、暑さにうだっている『夫婦な生活』みえこさん。その隣には『リフォーム!』赤城さんがいて、今月はこの2タイトルがコラボする特別編であります。

『椿さん』がなんだか盛り沢山ですよ。前半は単発のネタを連ねてみせて、そして後半はちょっとしたシリーズもの。草野邸の秘密。あたかも忍者屋敷であるのですが、仕掛けの数々を活用して、尋常でない立ち回りを披露する椿さんが、もうめちゃくちゃ面白いです。で、この忍者屋敷ネタが、冒頭の稔の悩み、そこに繋ってくるんですね。この展開は見事でした。

おしのびっつ!』、今回はしのぶ、くないの忍び設定がびしばし生きていて面白かったです。学校周辺に出るという不審者の話題。それに、自分じゃないと抗弁するくないがすごいな。今回は、くないの変質者なら宣言あり、しのぶと先輩の公認カップル認定発覚があり、そして女装癖あり、見どころたくさんで、えらいこと楽しかったです。しかし、それにしても、ふたりのお母さん。この人は素晴しい。まったく動じない、その上、容赦がないっていうのが素敵です。

『ミライカナイ』、終わってしまいました。フェイが未来に帰ってしまう。フェイ個人の都合ではなく、時間を越えるゲートに不具合が出た。帰らなければならない。というんですね。まだ帰りたくないというフェイに、このまま今で暮らせばいいというヒロシ。フェイを引き止める本心をしっかりと言葉にして伝える、その場面はよかったなって思って、そして時計のエピソード。ベタなのだとは思うのですよ。ラストなんかは特にそう思わせられるところ大きくて、けれど、それでも、この感触は好きだったりするんですね。ちょっと甘いお話。ああ、終わってしまうのは残念です。

そして、『あなたなんか大嫌い』、こちらも最終回。ああ、ここしばらくの『ホーム』に感じられた雰囲気、それががらりと変わるかも知れない、そう思わされますね。幼なじみの男の子ちきりに、ももがいかに好きといわないか。そういう話だったように思います。ちょっといじわるっぽいちきり。気になるんだけど、その気持ちを素直に口にしていいのかどうなのか。迷ったすえに、いつも決まって大嫌いといってしまうもも。ふたりの関係はちょっとこそばゆくて、面白くって、好きだったんですよね。でも終わってしまう。残念ですが、しかたないのかなあ。

天子様が来る!』の「見てみたい」。ああ、リコーダーは絵面よくないのか……。でも、フルートの見栄えのよさっていうのはわかります。アシンメトリーなのがいいんでしょうかね。でも、オカリナはわりといけそうよ? 「もどった」のシンプルな面白さ。こうしたところなど、作者の面目躍如であると思います。で、最後の彼女。あれはいいですね。サバイバル力に期待できるところもナイスです。

  • 『まんがホーム』第25巻第7号(2011年7月号)

2011年6月1日水曜日

魔法少女まどか☆マギカ

 『魔法少女まどか☆マギカ』のコミックス版、完結しましたね。アニメと同時進行で描き下ろしで刊行される。そうした手法に、私、最初は警戒を示しまして、アニメも見るものか、漫画だって買わないぞ、無視だ無視、黙殺だ、って思ってたのですが、気付けばBDまで買ってしまっています。ええ、すっかりはまった。あれは面白かった。となったら、そりゃもう漫画だって買うよ、買わずにすますものですか。てなもので、ええ、遅まきながら購入しまして、ええと2巻時点ですね。すぐさま読んで、それから最終巻の発売されるのを待っていたのでした。

そして、第3巻、読んで、いや、これいいですね。最初は、アニメには見劣りするな、なんて思っていたんです。ほんと、申し訳ない。いろいろと物語に盛り込まれた要素、それらを消化するには紙数が足りなくて、充分に描ききれてない、薄味というか駆け足というか、そんな印象を持ってしまっていたんです。でも、読み進めるうちに印象は変わって、選択的にエピソードを絞って描かれることで、主となる彼女らのドラマに自ずと集中するし、またアニメではあまり描かれてなかったところが描かれたことで、なるほど、こうした設定があったのか、みたいなことが伺えたりと、アニメとはまた違う感触がある。けれど、伝わる本質には、アニメのそれに同じものがあって、こうしたところに両得といった感想を持つのです。

しかし3巻は濃密でした。ページは少ないだろう、その予測はまさにあたったのでありますが、それが結果的にアニメで描かれていたこと、それを濃密に表現することに繋がっていたと感じます。もしかしたら、アニメを見たからこそ、そう思うのかも知れませんけどね。ある種、説明不足であったのかも知れない、そんな風に思いもするのですが、けれど余計な説明なんていらない。まどかをはじめとする魔法少女たちの思い、感情が絵に、台詞に充分に乗って伝わってくる。引き込まれましたよ。一気に読み切った、そうせざるを得なかった。読むものの気持ちを掴んで、引っ張っていく力。それは確かにあった、そう思うのですね。

この漫画は、台本をベースにしているのだそうなので、アニメに同じく感じられるところは台本に書かれているところ。そしてアニメに少し感触を違えるところ、それは漫画化に際して作者の解釈し、表現されたところなのかも知れないなって思っています。この解釈による違い、それは『まどか☆マギカ』の物語をふくらませて、豊かにするものであったなと感じています。

  • ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ』第1巻 Magica Quartet原作 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ』第2巻 Magica Quartet原作 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ハノカゲ『魔法少女まどか☆マギカ』第3巻 Magica Quartet原作 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ムラ黒江『魔法少女おりこ☆マギカ』第1巻 Magica Quartet原案 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • ムラ黒江『魔法少女おりこ☆マギカ』第2巻 Magica Quartet原案 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

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