2012年3月6日火曜日

スマイル・スタイル

 作者の名前が筋肉☆太郎。最初、どうしてもこの名前と『スマイル・スタイル』がつながらなくってですね、ええと、ああ、『スマスタ』の人、何度も確認して、やっとこさ浸透した。いえね、だって、ペンネームに予想されるものとあまりに違いすぎるんですもの。どんな破壊的なギャグなんだろう? いや、違う、むしろもっとホモホモしいなにかか? なんて思ってしまうけれど、実際はもっと繊細で、ほのかに百合百合しい、そんな漫画でありまして、いや、ごめん、ちょっと嘘。いきおいよく、元気いっぱいに畳み込まれる、つっこみ、それがたまらなく面白い漫画です。

いや、ほんと、これちょっと人前で読んじゃいけないタイプの漫画です。ヒロインは山咲百合、女子校に転校してきたお嬢さん。明るく気さくな女の子、なんですけど、いやもう、女の子を見ると手を出してしまう、なんでかそんな悪い噂が流れてしまっていて、まずは寮にて怖れられ、そして学校でも怖れられ、といった様子。その誤解をとこうと一生懸命な百合、それがもうたまらなく面白いんですね。次々繰り出されるつっこみが元気いっぱいだ! そして、全力で追いかける落ち、あれがもう大好きで、じわじわ効いてきていたのが、一気にどかんと笑いに昇華しそうになって、いやもう危険。ひとりで読んでる時ならいいんですよ? 大声で笑ってもさ。でも、誰かに見られてたら、ねえ。漫画読んで大笑いとか、いや、いいんだけどさ、でも、やっぱ外聞だって気にしたい。

うん、だからこの漫画はひとりで読もう。

これはセンスなんでしょうか、なんともいえないタイミングで、なんともいえず絶妙なものを合わせてくる、そんなところが面白くて、例えば『がまんタイムきらら』。そんな名前の雑誌の表紙、煽りにがまんできない。いや、それこそがまんできませんから。『がまんタイムきらら』は耐えたんだけどなあ。そんな具合で、少しずつ少しずつ面白さが蓄積していって、いつか飽和する瞬間がやってくる。回復の隙を与えてくれないんですね。ひとつの振りに、何段も重ねてくる。それこそ一コマ目で振って、あとの三コマ全部がつっこみみたいな、あるいは四コマ一本の中に何度も振って受けるがあるとか。密度高めの畳み掛け。勢いよく、飛び込んでくるかのような元気さでもって、次々と。それがもうたまらん面白さで、笑いをこらえつつ読む。ああ、しあわせだな、そう思えるのはこういう時だと思います。

しかし、この漫画、百合は結構な被害者というか、主に寮長に、それから先生に酷い目にあわされてるわけですが、けれどそれでも暗くなったり、酷い! 可哀そう! みたいに感じないのは、根っこに明るさのあるためなんだろうな、そう思います。明るくほがらか、元気があふれてる。そして、時に感じられるフェティッシュな魅力。いや、あの初制服のシーンとか、ブラウスのステッチ! あの感触は素晴しかった。もう大好き。面白可愛くて大変です。

  • 筋肉☆太郎『スマイル・スタイル』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2012年。
  • 以下続刊

引用

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