2013年2月25日月曜日

『まんがタイムきららフォワード』2013年4月号

『まんがタイムきららフォワード』2013年4月号、昨日の続きです。

『魔カリキュラム!』、人間の発する負のエネルギー、それを高め一人前の悪魔になるべく日々頑張っている阿久マヤ。なのですが、どうもこの人、いや、人じゃないけど、根が善良っぽくって、ちょっと不器用で、それが可愛いなと思うわけです。昼食は寮母さんが作ってくれたラブリー弁当。学校ではいつも友達に囲まれて、って、本当は単独行動しようと思ってるんですが、皆の勢いに負けている。その駄目っぽさね。人の群れたがりを面倒そうにいいながら、本音はそれがちょっと嬉しかったりする? ひとりぼっちは寂しいもんな。ええ、今回も、悪魔の性質でもって人の負のエネルギーの澱む場所にきてみれば、子犬がいじめられている。悪魔ならば、その状況をも望ましいと思わねばならないところ、マヤはちょっと違う、子犬に同情して、けれどどうしたらいいか決めかねているんですね。たまたま駆け付けた友達に先をこされてしまった。自分のできなかったことをかわりにしてくれて、これでマヤの良心の呵責、重荷はおりたのでしょうか。優しい悪魔、自分の昔の境遇に子犬を重ねあわせてたんですね。子犬を飼うことになって、いいパートナーになるのでしょうか。そうだったら、大変によいと思いますよ。

『はじおつ。』は二本立て。本編では、甲斐くんに本当のことを告白しないと、そう思って焦りながらも、全然それがかなわない向日葵。この人の通常運行って感じがしますが、がんばろうという気持ちと、周囲がカップルカップルというものだから、全然いい出せなくて、もうすぐ夏休みになる、毎日は会えなくなるけど、こうやって遊ぼう、そういった甲斐くんの言葉に揺れる。もうわかっちゃったんですね、なぜこうしておつきあいするようになったのか、それをつぶさに伝えてしまえば、もう会えなくなる。それを怖れているんですね。いや、本当に素直にいっちゃえばいいんだと思うんですけどね。男性恐怖の克服に、優しそうなあなたに声をかけた。そうしたら好きになってしまった。いや、まだそこまではいえるほどではないのかな。でも、本当に素直な気持ち、それを伝えればちゃんと伝わる、そう思うんだけど、まあ怖いよね。さてさて、一本目は家政婦、じゃないや、乙木くんによる向日葵観察ですよ。いや、向日葵がめちゃくちゃ男性を苦手にしている、それが見事に彼に伝わって、印刷物のくだりとか面白かったなあ。そして乙木くんの彼女登場。ああ、あれは面白い。しかし、彼女さんのこと「これ」って! 幻の彼女。この人たちもまた面白そうな人材でありますよ。

少女素数』、最終回を迎えましたね。お兄さんの最後の仕事。大学にいくと決めて、今の仕事に一旦の区切りをつけた富士夫。成果物を梗子さんに渡すというのですが、そこにあんず、すみれもついてくるというんですね。いやあ、すみれが押します押します。身嗜みについて。梗子さんの好みに、っていうんですね。しかし、本当にひとつの区切りとなる、そんなエピソード、いえもちろん最終回だからひとつもなにも、物語的にはすべての区切りなのですけど、劇中の彼ら、物語が幕をおろした後も、彼らの人生は続いていく。それを如実に感じさせて、ゆえにひとつの区切り。梗子さんにとっても、これが最後の仕事だっていうんですね。家業、いちご農園の関係で今の仕事をやめる。それを聞かされて、ここでやっぱりすみれが押すんですね。どうするの? いや、この物語において、一番成長したのはこの子なんだろうなあ。お兄ちゃんを取り合っていた、そんな子はだんだんに大人になりつつあって、兄の恋を後押しするまでになった。そう思ったら、まだお兄ちゃん大好きだったりもするんですけど、でも、ほんと変わった。物怖じしなくなった。ええ、皆、すみれもあんずも、富士夫も、皆、それぞれに前に進んでいたんだって、実感させられる最終回でありましたよ。そして、自分がこうして感じていること、それは富士夫にとっての実感でもあって、けれど変わることはなにも心配することじゃない、その彼の結論。大切なもの、それをちゃんと大切に守っているかぎり、人は変わらない。この物語では少女のそれと語られていますが、けれど富士夫を見れば、それは男女の差などない、人という存在、そのものについての思い、それと感じられたのでした。人はうちになにを守っているか。それは、人により違っているかも知れない。少女性や少年性、また若さや夢、誇り、いろいろあるそうしたなにか、それがその人を輝かせ、またその人を支える力、いわば本質といってよいものとなるのだろう。そう思わせてくれる物語でありました。

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