2015年2月14日土曜日

ブレンド・S

 KR系に限らず、まんがタイムコミックスはカバー下表紙絵も楽しみのひとつであるわけですが、いやあ、びっくりしましたよ。『ブレンド・S』、カバー下のおまけ、もう、これ、最高だと思う。いやもう、表紙でがつん、裏表紙、駄目押しでがつん。素晴しいわ。もう、これ、最高だと思う。見事にこの漫画の魅力を体現していまして、ええ、楽しく連載を追いながらも、はたしてこのお店のコンセプトはいけてるのか? ずっと疑問に思ってきたところを、ばっちり大丈夫だったろ? そう実感させてくれたという点においても、実に優れたおまけでありましたよ。

さて、そのお店というのはですね、喫茶店なんです。ただしちょっと仕掛けがありまして、給仕をしてくれるスタッフ、それぞれに属性が設定されているんです。属性? ほら、オタク的用語にいうところの属性。妹属性とかそういうの。喫茶店スティーレにて働いているのは、まさしくその妹属性の麻冬さん。この人めちゃくちゃ可愛くて、けど一番年上。うん、素晴しい。ツンデレ属性の夏帆。この人もすごく可愛くて、しかもゲーム好きとか、ある種の層にがっつんがっつん働きかけますよね。そして我らがヒロイン、苺香さん。この人はドS属性。優しい心根に細やかな気配りのできるこの子が、なんでよりにもよってドS!? いや、まあ、けれど、妥当かなあ。うん、妥当なんじゃないかな? そんな説得力があるんです。

苺香さんのドSキャラ。これがなんでこんなにも生きてるのかというと、その台詞や行動の的確さもあるのでしょうが、加えて彼女の本当の性質、さっきもいいましたよね、優しかったり繊細だったりする、そういう部分が読者に開示されているところにもあると思うんですよ。お店にきたお客さんに酷いこといったりするわけです。けど、本当にこんなこといっていいのかな? 申し訳ない、って、苺香はいつも思っている。ああ、いい子だなあ、とここで彼女の美点は強調され、そしてその美点が強まれば強まるほどに、思わず発揮される彼女のドS面、その鮮烈さも際立とうというものなのですね。ええ、ほんとはそんなじゃない子が、そんなことをいってしまう展開の妙に面白み覚えれば、失敗して空回りしている苺香に、ああ、健気だなあ、ほんとはいい子なのになあ、そんなこと思ってしみじみする。

最初は、そういった空回りしてしまう自分のこと、悩んでた苺香ですけれど、個性といっていいのか、むしろ特性というべきか、それを活かすことのできる環境を得て、迷いながらも、ありたい理想の自分に近付いていければよいなあ、なんて思ったりしてしまうわけなのでありますが、それはおそらくはこの漫画のテーマではなくて、けれどふいに見せる苺香の優しい笑顔に、店長ならずとも心ときめかせるもの、やっぱりあるんですね。ええ、すごく美しいんです。

ああ、そうそう。この漫画、店長はじめとする男性陣もいい味出していますよ。ただ、あまりに影が薄いので、あえてコメントしませんでしたが。あえて、しませんでしたが!

  • 中山幸『ブレンド・S』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2015年。
  • 以下続刊

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