2015年12月14日月曜日

ゆるキャン△

 出てましたね、単行本。『ゆるキャン△』、これ、とっても面白い。作者、あfろって人の漫画は、『月曜日の空飛ぶオレンジ。』とか『シロクマと不明局』とか読んできたんですけど、そのどちらもそこはかとなく意味わからんみたいなぶっとんだところがあって、それこそが見どころであるのですけど、ものすごい振り回されるみたいなところと、なるほどちゃんと筋を追っていけばわかる、しっかり構成されている、そう思わされるところが混在して、その翻弄されるように読むのが面白かったんですが、今やってる『ゆるキャン△』は随分とその感触が違います。表現も四コマからコマ割り漫画に変わって、より一層にぶっとんだもの見せてくれるのかな? そう思いながら読みはじめた第1話、おお、なんだこれ、すごい! なにこれ! すごい! ええ、ほんと、すごいんですよ。

タイトルにいうゆるキャン、ゆるいひとりキャンプなんですけど、女子高生のお嬢さんが、ひとり、冬の富士山麓のキャンプ場にて、寒さに震えながらキャンプを楽しむ、そういった第1話。驚きましたね。ぶっとんだ表現とかないの。かわりに、描かれた自然の雄大さ、その表現のでっかさ、大きさ、うわーっと広がりをもって目の前に世界が! みたいなインパクト、ほんと、これ、素敵、なんていいの! もうね、一発で好きになった。ほんと、これ、読むべきだと思う。キャンプとか苦手? うん、大丈夫、私も寒い日なんて外には出ない。でも、このキャンプに楽しみを見出す女子たち、彼女らの感じている楽しさ、面白さはしっかり伝わってくるものがあるよ。素晴しい。最高だと思う。もう夢中になって読んでる。

楽しく読んで身につくキャンプの知識。第1話とかだったら、火をおこして云々とかね。あとキャンプ料理とか、テント、寝袋、その他キャンプ場の約束ごととか、そういうのが妙に淡々と描かれるんですけどね、なんでだろう、この説明読んでるだけで面白いの、なんでなんだろう。わくわくするの。火なんておこさないのに。コッヘルで調理とかしないのに。寝袋で寝ることも、テントに潜り込んで寝ることもないっていうのに、ただただそうした説明が面白くって、そして彼女ら、とりわけ主人公、でいいんだろうか、リンのテンション低めに、けれどキャンプを楽しんでいるその風情がすごく情緒感じさせてくれて、詩的、素敵、すごくいい。

ざっくりとした筆致で、かと思えば結構な緻密さでもって描かれた背景、情景が、作風によくマッチして、これもまた魅力となっています。今どきの漫画なのにね、普通に当たり前にスマートフォンとか出てくる漫画なのにね、不思議と感じさせるノスタルジー。絵のタッチの感じさせるあたたかみ、それは密度高いハイビジョンのそれでなく、どこかフィルムの描写思い出させるような、情感に訴えるような味わい持って広がって、それがゆえに、今の、現在の彼女らのエピソードを、まるで自分も昔に経験してきたかのような、そんな不思議な印象ともなって読ませることになっているのだと、思ったり思わなかったりするのですね。

しかし、ほんと、『ゆるキャン△』面白い。リンとなでしこ初顔合わせのシーンとか久しぶりに見ましたけど、そうだ、そうだった、こんなだった! そう思いながらも、面白くっておかしくて、もうたまらんインパクト。ゆったりとした時間、自然に身をゆだねる感覚と一緒に、人と人の出会って面白い、そういう感触もまたいい味わいとなっております。とりあえず、リン、なでしこ出会いのくだりは絶品なので、是非広く読まれてほしい。そして、あのおかしみにニヤニヤして欲しい、なんて思うのでした。

  • あfろ『ゆるキャン△』第1巻 (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) 東京:芳文社,2015年。
  • 以下続刊

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