2016年1月31日日曜日

『まんがタイムオリジナル』2016年3月号

『まんがタイムオリジナル』2016年3月号、一昨日の続きです。

『みつめるっ!上野さん』は、ほんと、根津さんのキャラクターが主役の上野さんを食ってますよ。さて、上野さんをともなって突然の海外ゆき。海外で待っていたのは、根津に惚れているっぽい美青年、フィルであります。この人との会話で出てくる、根津の萌えポイント。これがね、結構マニアくさくって、私はこの方面さっぱりだからよくわからんのですけど、熱量といいましょうか、そういうの感じられて、いいなあって思うわけです。そしてフィルの家が、代々日本の美術品を集めている理由が語られて、これもまたよかった。この漫画、いろいろナンセンスな表現、コミカルな展開あるんですけど、その根っこに美術や文化財に向ける愛惜の念とかあるように感じられるところあって、じわじわ好きになってきて、ええ、ほんと、いい漫画だなって思います。あなどれないですよね。

『北斎のむすめ。』、めちゃくちゃ面白かった。お栄と吉原の遊女たちとの手紙戦。お栄の手紙が酷い。私のことは遊びなのかと問われて答えて、仕事だよ。酷い。絵手紙とかどうかといわれて、よりによって地獄絵図とか、それにそえて、ありがとな。ほんと酷い。もう、めちゃくちゃ面白かったです。そして高尾花魁とのかけおち話。お辰に誤解などされながらの待ち合わせ。しかしこれが、もうね、高尾うわてですわ。もう全部お見通し。お栄の絵に惚れました。でもってこれが後のお栄の成功に繋るなんてね、ほんと、ちょっといいエピソードだったんじゃないでしょうか。面白くっておかしくて、そして実がある。いい話でしたよ。

『妄想乙女の文学会議』、ああー、なんだこれー、すごく沁みるよ。すごい。今回は更級日記扱って、最近よく聞く聖地巡礼。これ、千年前からありますよ。日記文学『更級日記』、平安貴族の娘の日記。その日常を見てみれば、今のオタク女子にそうそう変わらず、その説明に描写の巧みさ手伝って、もうね、ものすごく身近に感じてしまうじゃないですか。けど、古典をアピールしようという書店さんとの企画はもう終わっていて、だから、松島さんとのこうした時間ももう必要ないわけで、そして語られる倉野さんの少女時代のこと。それが今、こうして、『更級日記』に交差する。泣ける。千年前にも、同じ悩み、同じむなしさに苦しんだ、そんな人があったんだって、それを倉野さんが自分のことと引き寄せて、その背中のさみしさったらなかった! もうね、泣きそうになる。そうなんだと思う。倉野さんが菅原孝標女の思いを自分自身に重ね合わせたみたいに、私は倉野さんの気持ちを引き寄せるようにして読んでいたのでしょう。ええ、本当に、身に沁む話であった、そう思います。

『どす恋!りきしー女』はバレンタインデーのチョコレート話です。なんだろう、加奈子の母って魔女なのか? 人を恋愛に落とす惚れチョコなるものを作れるというんですね。試しに食べさせた父は大根を、弟は鏡に映る自分自身に恋をして、これはいけると惚れチョコ持って学校にいった加奈子の失敗ですよ。大野くんに食べさせたかったのに、茜とターニャに食べられてしまった。そのふたりのその後がですよ、いやもう、素晴しい。私はこれを待っていたんじゃないだろうか! 素敵世界が広がっていましたよ。チョコレート、大野くんにちゃんと届くんですよ、食べてもらえたんですよ、けどどうにも効いてる風ではなかったんですよ。加奈子はがっかり? それとも安心? けど、ほんと、加奈子にはよい未来が待ってそうですよね。シンプルだけど、こういう話好きですよ。

  • 『まんがタイムオリジナル』第35巻第3号(2016年3月号)

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