2017年6月25日日曜日

『まんがタイムきららフォワード』2017年8月号

『まんがタイムきららフォワード』2017年8月号、昨日の続きです。

『江波くんは生きるのがつらい』。連載になりましたか! なんかこの漫画、癖になるような感触ありますよね。とりあえず、面白さよりもはやく過去の自分の失敗、勘違い、自意識の屈折が到達してくるせいですか? 読後感どころか読んでる途中からもうなんともいえない苦々しさですよ! 今回出会った女の子は、ひとり木陰に佇んで、謎めいた雰囲気。ここ…、どこですか? ミステリアスな問いに答えて、大学ですが…、いや、それはわかっとるだろう! くっと眉根を寄せて不機嫌な顔を作るんですね。この人と江波との対話。というか、それ以前に、これさっき大教室で出会った眼鏡さんだろう! 勝手に文学的雰囲気を感じて盛り上がる江波ですが、これね、会話は一向に盛り上がらないというのが泣けるんですよね、ほんと。でも今回、江波はいいことしたと思いますよ。眼鏡にネガティブな感情持ってたこの人に、ポジティブな評価を与えることができた。ええ、人助け、できてるじゃん! 一歩前進じゃん! と思いきや、それで駄目なのが江波なんだよなあ。ええ、やっぱり苦々しさが残る読後感。うん、江波よ、江波よ。

『なでしこドレミソラ』。恵真さん、頑張ってますね。商店街の縁日でステージをやる。恵真と美弥、香乃と陽夜の2チームに分かれて出演するというその意図が切実で、聴いてくれるかどうかわからないお客さんを前に、足をとめて聴いてみたいと思わせるような演奏をしないといけない。技術も魅力も足りない自分たちにそれができるのか。あえて人数を減らしたデュオでもって、向き合ってみようというのですね。このストイックさ。上手と下手で組んだらどちらかに負担がかかってしまう。だから同じくらいのレベルで合わせてみる。ええ、恵真、美弥組には冒険だと思う。あえて苦しい、きつい状況に飛び込んでいこうとするかのような気概感じさせて、ああ、このチャレンジでなにを得ていくのだろう。ひとり悩みをともに続ける練習の果てに、どういう景色を見るのだろう。この切実さには胸苦しさ覚えますよ。だからそれだけに美弥との組み合わせが恵真にとって意味あるものとなった、その瞬間には目の前がパッと開けたような気持ちがしました。そしてこれは、恵真にとってもそうだったのだろう。そのように思われて、ああ、いい漫画であるなあ。ふたりいい関係を築いているなあ。など思ったのでした。

『球詠』。埼玉予選の抽選会でありますね。県内の高校野球部が一堂に会する。芳乃のテンション、あの目付き、いかしましたね。この会場の描写でもって、県内の強豪含む面々をざっと知らせてくれて、ああ、これからはこの子たちが新越谷の彼女らの前に敵としてあらわれてくるのだろうなあ。実際抽選の結果、強豪とぶつかることとなって、これはよいことなのか悪いことなのか。少なくとも読者である自分にはいい展開なのではないか。だって、熱い展開、今抽選会の場においてネガティブな視線を注がれた彼女らが、その実力でもって強豪を打ち破る、そんな展開がくるんだってことですよ。ええ、わくわくさせられますね。練習の情景もよかったですよ。対戦する相手の投手を研究し、自軍の投手と練習を重ねていく。投手ヨミを前にして、練習ながら静かに燃える希が熱い。ああ、彼女らは仲間であると同時に対戦してみたい強豪でもあるんだなって。こういう関係、ほんとかっこいいですね。初戦の相手、影森高校の情報収集もよかった。エース中山の威圧する振り返り! なんかの能力者!? ともあれ、芳乃に伊吹が付き添った理由、面白かった。そうだ、野球選手の真似が得意っていうの、こういうところで活かされるのかって、ほんと、いいキャラクター揃っていますよ。

『まんが家cherry!』、結構気にいってますよ。漫画家を目指す桜井春香。編集部に打ち合わせにきました、というんですが、担当編集氏がすごい! 見た目は怖いけど、って、いやいや、この世のもんじゃないよ! この漫画はこういう無茶な外見、風貌とかがおかしいですよね。ほら、アシスタント先の先生の仕事着とかさ、ほんとおかしい。今回の皆でネームを見て、感想会をしよう。全員で読み上げてみよう。その過程に描かれる意外な側面、かっこよかったり、コンプレックス刺激されたりみたいなところは面白く、ネームの問題点を指摘し改善していくところは頼もしく、読んでいてテンポ含め気持ちよさあります。コミュニケーションの楽しさと問題解決の面白さがいいバランスでつりあってますよね。そしてほんといい仲間に恵まれてる、そう思わせる親しみやすさが魅力になっています。そうそう、今回よかったの、やよいの一言ですよ。春香のネーム見終えて開口一番、おもろいやんけ。よさをまず見出し、そこから指摘に入っていく。そうした態度、やっぱりよいなって思ったのでした。

0 件のコメント: