2017年10月24日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2017年12月号

 『まんがタイムきららフォワード』2017年12月号、発売されました。表紙は『あんハピ♪』。黄葉したイチョウの葉が散る中、寄り添うはなことヒバリが表紙であります。寄り添うというか、ヒバリに抱き付くはなこといった方が正しい感じですね。いつものように、屈託ない笑顔見せているはなこと、いつになく照れている? いや、これもいつも通りかな、ちょっと頬染めているヒバリ。イチャついてるようにも見える、なかなかに魅せるイラストでありますよ。

『ライター×ライター』、新連載です。アニメの脚本で賞を取りデビューを果たしたものの、デビュー作は奮わず、その後も脚本の仕事が続かない。なんとかバイトで食い繋いでいる、そんな苦境にある橋本カエデが主人公です。これ、家族に理解がないのはつらいですね。とはいえ、自分の生活を自分で面倒見きれていない。実家からの仕送り頼りというのもまたつらいよなあ。そんな彼女に転機がきた? 受賞作で世話になったプロデューサーから声がかかって、お、仕事かい? そう思ったら、アニメ脚本家十文字ユキカとのルームシェアを提案された? カエデもユキカも驚いているわけですが、はたしてこれがどういう意図によるものか。まずはショックを与えて、次で意図を、あるいは課題を提示しようといった感じでありますね。

ゆるキャン△』、なでしことお姉ちゃん、いい関係だなあ。バイトを探してるなでしこの苦境見兼ねて、たまたま見つけたバイトを紹介してくれるだけじゃなく、そのお店のね、天重、ご馳走してくれるとかさ、だいたい今までも車出してくれたりしてたわけで、ほんと、妹、大切にされてるって思いますよね。今回はそんな妹からの恩返し。バイトの給料はキャンプに使うんだよっていうなでしこが、冷え性の姉のためにオイル式カイロをプレゼントするのね。これ、冒頭での使い捨てカイロと、序盤でのハンディカイロの話題、これがあんまりにもそのまんま繋がるもんだから、ああ、そうだよね、やっぱり、予想通りだったんですけど、でもその当たり前がいいじゃありませんか。あの、お姉ちゃんの表情、ぽつりとこぼした言葉に染みる愛情。対し、しあわせそうに眠っているなでしこの表情もやりきった感ありましてね、大きくは語らない中に、このふたりの心情が見えて、とても素敵でした。

『はるかなレシーブ』。引っ込み事案だったエミリ。クレアと一緒にビーチバレーをするも、ずっとクレアお姉ちゃんの影に隠れるようにプレイしてきた。そんなエミリの転機となった試合。ああ、クレアの敗退。これ、相手はかつてのかなたか。かなた、成美ペアか。もう、エミリにもかなたにもドラマがあって、エミリはクレアと対等のプレイヤーになる。そしてかなたも、伸び悩んで、一度背を向けたビーチバレーに再び向き合い、自分の位置を確立しようとしている。前に出て打ち込んでくるエミリ。対し、レシーブをもって攻勢に出るかなた。互いに知った相手の、これまで知らなかった側面。そしてエミリにとって攻撃的なプレイに転じたかなたこそは、かつてのかなたの姿。ああ、ここにあの時の続きとなる戦いが繰り広げられようというわけですね。エミリは、いかに自分が変わったか、それを見せる場となるわけなのですね。

『なでしこドレミソラ』。ホームとアウェイみたいな話ですね。ひびき庵での演奏とお祭りでの演奏と、結構な好評を博した彼女たちだけれど、自分の学校での演奏、文化祭の演奏となると勝手が違う。恵真がシビアでいいですね。集客力が、話題性が大切だと。どれだけいい演奏をしようと、知ってもらえていないと人が集まらない。これ、本当にそうですよね。これは真実そのとおりだと思う。しかもこの子のすごいのは、こうしたことを陽夜に実感させるべく、昼休みにミニライブを開く。スパルタやわ。演奏が魅力的であることは絵が表現して見せている。けれどそれが届かない。美弥の感じるもどかしさ。手掛かりのないところでもがくような感触。ああ、ほんと、これ、キツいよね。と、そこに、つまらない音だっていいにきた子がいて、里歩、かつての美弥を知っている子。里歩にその言葉の真意を聞きにいく美弥は、ほんと強い子だと思います。しかしそれで返ってきた言葉が、昔のあなたが好きだったのに。好きだったのに!? 大変なことになったーっ!? いや、しかし、里歩のこの言葉がなにか美弥たちの音楽に変化を与えるのか。今、直面している課題を超えるきっかけとなるのか。あるいは里歩の抱えているもの、それが美弥たちとの関わりによって雪がれるのか。いや本当に、予想もつかないことになっててわくわくさせられます。ところで、美弥は里歩のこと覚えていないのか。この非対称性もなにか意味ありそうですね。

『HL0.5』、ゲストです。まさかの地獄改革ですよ! 男女共用の地獄は風紀上よくない。そんな意見から女性専用地獄が作られることになって、というか、至れり尽くせりじゃん! しかし、どうしたらよいかわからない。それで連れてこられたのが相川相、17歳。生きながら地獄に連れてこられたのか。でもまあ、地獄落ちってわけでもないんだな。HL0.5の管理者ヤマに請われて、死神ツミと食人鬼ルルと一緒に暮らしながら、地獄を改善していくのだけど、地獄が住みやすくなってもいいのか? という問い、ちゃんと劇中に相の口からも出るんだ。しかもいいんだ! 地獄改革にいつかくる死後の生活のためでもあるっていっちゃう相とかね、なるほどこれ重要だ。そして人の身である相と、地獄の住人であるヤマたち、彼らの思うところが重なるところとかね、なかなかに面白い前提作って、そこに彼女らの思惑、意図、望み、願いをのせていくところ、なかなかによかったと思います。

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