2017年10月31日火曜日

『まんがタイムきららミラク』2017年12月号

『まんがタイムきららミラク』2017年12月号、先日の続きです。

『ドルチェ×ドルチェ♪』。奏、実技には自信がない、そういってた子ではありましたが、成績表にずらりとC評価を並べてみせて、ああ、これはつらいな! わかる、わかるよ。自分も実技が苦手で悩みだったもの。この子、いざ本番となると実力を出せなくなってしまうんですね。いや、むしろ奏のよさが出せなくなるといってもいいのかも。明るさ、軽快さ、元気のよさ。いざ本番、ステージとなると硬くなって、そうしたこの子のらしさ失われてしまう。奏のこうした弱点を、シズクの店での演奏会、サナとの合奏といういつもとは違ったやり方で、少しずつメロディを伝えながらかたちにしていくことで、合奏の楽しみを引き出し、克服したっていうんですね。演奏することは楽しい。その根本的なことを思い出させて、奏のピアノとサナの尺八のコラボレーション。力を合わせて曲をかたちづくるということの面白さ、それはすなわちコミュニケーションの楽しみであるのだなあ。表現し伝える楽しさ、それは友人のマチがきてくれたことを嬉しく思って微笑む、そうしたところにもよくよく現れていたと思ったのですね。

『お願い!ロイヤルニート』。びっくりしたよ。だいたいこんな風に問題解決するのかなー、とか思ってたこと、まるで、ひとっつも、かすりさえしてないっていうのね! いや、だってさ、ほたるの学校に残れる可能性って、桜花の登校しかないじゃないですか。だから、友人のピンチに桜花が舞踏会を訪れ、ほたるを失いたくないから学校に通います! 美しい友情ですわ、桜花さん! みたいになるんだろうなーって思ってたのに、ぜんっぜん、ちっともあたらない。大外れも大外れ。もう、すごいわ、やられましたよ。しかしなにがすごいって、唐突のコッペリーにもやられたんですけど、あれですよ、桜花の寸劇。学校中の令嬢巻き込んで、ほたる退学を大問題に発展させて、なるほど皆でほたるを守ろうと学校に働きかけるんだ! って、その働きかけ方が酷い! 圧力じゃん! いや、正しい戦い方だなーとは思ったんですけど、寄付金を引き上げるだ、メディアに取り上げさせるだ、おおごともおおごと。しかも、作戦がうまくいったこと喜ぶ桜花の悪い笑顔! もう、この悪い桜花にすっかりしてやられましたよ。こうしてほたるの問題、どれもこれもきれいさっぱり解決させて、ああ、これでまた元通りの日常に戻っていくのですね。そう思ってたら、ここでもまた予想外の展開に放り込まれて、ええー、爆発……。ほんと、最後の最後まで油断できない、しっかりみっちり見せ場を用意してくれた漫画でした。楽しかった。最後のちょっとレトロな表現もね、とてもよかったと思います。

『酒場ユートピアへようこそ!』。まるでお客のこない酒場を切り盛りしているエレナ。お客といえるのはリィザとマリエルぐらい、というんだけど、教会の修理が思ったより早く終わりそうとマリエルに聞かされて、教会がなおったらもうマリエルはこなくなってしまう!? 強行手段に訴えようとするエレナが追い詰められた感あってよかったですね。しかし、お客さんを呼び込むためにどうしたらいいか。そうした悩みを持ちつつも、店に居着いている魔物の子、迷子のこの子をおうちまで連れていってあげよう。これ、ちょっとしたクエストですよね。自分のことよりも誰かのために頑張ろうとしたことが、結果的にエレナの悩みの解決に繋がった。一種理想的で、しかもその解決っていうのが、魔物の子が友達を連れてきてくれることだったという意外性もまたよかったと思ったのですね。ちょっとした多様性の花開く、そうしたお店になった。こういうの、好みの終わり方です。

『魔王城のお姫様』。姉メルルを探して旅をしてきたマール。その旅の終着点がいよいよ目の前に! みたいな状況に、ああ、姉と再会して終わりか。もう最終回も最終回ってやつだもんな。なにせ、巻末、一番最後の掲載でもあるわけだし……。そう思って読んでたらですね、いや、こいつは嬉しい展開でしたよ。さてさて、本編ですよ、マールと出会ったハルベル。すっかり持て余しているメルルをなんとかこの子に引き取らせようと画策するってんだから酷い話ですよ。誰がこの城に連れてきたの!? みたいな話ですが、まあ、メルル、手がつけられないもんな。メルルが城を掌握してしまってるというハプニングありの展開ですが、いやね、前回メルルが罠を仕掛けてたりしたじゃないですか。そいつにやられるだけじゃすまないのか! すっかり驚かされました。しかしなにが面白いって、フィオは敵になって出てくるわ、他の魔物たちもわらわらと! っていうのに、マール、強いな。この姉妹、どんだけなのか。まったく怯むことなく、どんどん先に進んでいくじゃないですか。メルルに帰ってもらいたいハルベルの思惑と、メルルと一緒にいたいドリィの戸惑いと、そうした色々な思いが交錯するのはよい感じでした。で、最後の最後、マールの眼前に立ちはだかったのは!? っていうの、あ、これで終わりじゃない! そうだ、そうだった、きららベースに移籍するんだった! やったー、まだまだ続くぞ! 終わらないぞ! ええ、もう、テンション上がっちゃいましたね。ええ、マールと魔王、いやさメルルの激突、どうなりますことやら。これはもうついていくしかないですよ。

  • 『まんがタイムきららミラク』第6巻第12号(2017年12月号)

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