2017年11月12日日曜日

シン・ゴジラ

 テレビで『シン・ゴジラ』をやってまして、つい見ちゃいました。見入っちゃいましたね、大河ドラマとの合わせ技で夜のまとまった時間をほぼ全消費してしまって、ちょっとあれやこれやいろいろやるというのは無理な感じ。なのでもう簡単に、ざっと雑感だけ書いてしまおうと思うんですが、ほんとに簡単にいうと、やっぱすごいなあ、面白いなあ、に収束してしまう。私はこの映画、映画館で見てたんですよ。はじめての4DXで見た映画になったのですが、『シン・ゴジラ』に関しては、特に4DXでなくとも充分楽しめたのではないかな、そんな印象も持っています。意外と静的な映像が多いといったらいいでしょうかね。自分が劇中において、起こっている事象を体験するというよりも、今この国の首都において起こっている異常災害を、メディアを通じ見守っている、そんな感触があったといいましょうか。あるいはこの感想は、ここ数年の災害にまつわる経験がそう思わせているのかも知れません。

しかしそれにしても、去年は映画がものすごかったですね。とりわけアニメとか特撮とかがそうで、まずもって『シン・ゴジラ』で度肝を抜かれたと思ったら、続いて『君の名は。』が爆発的な大ヒット。それでさすがに終わりかと思いきや、いよいよ年が暮れるというその目前に封切られた『この世界の片隅に』。おそろしいことに、この映画、1年たってもまだ劇場にかかってますからね。アニメ、特撮といった、いっちゃあ悪いですが、あまり映画のメインストリームではない、そんな印象さえあるジャンルがこうも立て続けにヒットして、しかもいずれも評価が高くて、なんて一年だったのだろう。ちょっと尋常とはいいがたい。さらに加えていえば、その三作、どれもどこかに先の震災にまつわる傷、それを抱えているように感じられたのも印象的でした。いや、それは映画がではなく、見てる私が、だったのかも知れませんけれども。

『シン・ゴジラ』、私をとらえた描写、それはもういくつもいくつもあったのですが、なかでもひとつ選べといわれたら、もうね、ありきたりなんですけどね、首都を壊滅させたシーン、あれですよ。ゴジラが吐くビーム、あれがおそろしく印象的で、こわいとかすごいとか、そういうのもう全部すっとんでいっちゃって、ただただ圧倒されてしまいました。ここまで圧倒的な、もう駄目だ、どうしようもないという諦めに似た感情が、映像の美やその音響の鋭さによって意味を剥ぎ取られてしまって、起こっていることをまるで空白そのものになった自身がその身体の全面でもって、ただただ投射されるままに受けていた。ただ生起する現象を、またひとつの現象にほかならない私が、ごうごうと風を受けて揺れるに似たありようでもって、あぶりだされていた。なんともいえない感覚であったことを今も覚えています。

今回のテレビ放送は途中にCMが入るから、インターバルができて、一息つくことができて、だいぶ楽に見ることができましたね。映画館だと、当然ですけど全部が一続きでしょう。濁流のような情報の流れに、あっぷあっぷしながらとにかく食らい付いていくような映画でした。けどその圧倒される感覚があったからこその『シン・ゴジラ』でもあったなあ。大きなスクリーンに、巨大な、それこそこれまで見たこともないような異形の生物がその巨体を揺らしながら迫ってくる。テレビじゃ残念ながらそこまでの迫力、まるで向こうからのしかかってくるような、はないですからね。ええ、可能なら映画館で見たい映画のひとつだと思いましたよ。

ですがね、今回のテレビ放送。いつもなら早々に寝てしまううちの年寄がですよ、頭っから最後まで、もう食い入るように見てました。最初は途中で寝るつもりだったらしい。ところが、そうもいかなくなったらしい。圧倒されたんでしょうか。CMの間もまるで固定されたみたいに席を立つこともせず、ただただ見入ってました。あんな父親見るのはじめてかも知れん。『シン・ゴジラ』のスポンサー、破格の効果でしたよ。提供の甲斐があったってもんですよ。それくらいに人を引き付け、釘付けにする。すさまじい映画だと改めて感じさせられました。

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